(レポ&写真) [全日本キック] 3.8 後楽園:小林&金沢、一回戦敗退。世代交代加速
全日本キックボクシング連盟 "ALL JAPAN KICKBOXING 2003 3rd. BOUT 全日本ライト級最強決定トーナメント" 2003年3月8日(土)東京・後楽園ホール 【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板スレッド]
レポート&写真:井原芳徳
<トーナメント概要> 組合せは第1試合開始前に綱引きによるクジで決定(写真)。全試合サドンデス形式の3分3R、ヒジ・首相撲禁止の特別ルール。契約ウェイト62.00kg。
※次回5月23日(金) 後楽園大会で準決勝&決勝。準決勝組合せは花戸忍 vs. 任治彬、大月晴明 vs. 大宮司進。チケット4月5日(土)より発売。
第7試合 トーナメント一回戦Bブロック サドンデスマッチ ×小林 聡(藤原ジム/WKA&WPKC世界ムエタイ・ライト級王者) ○任 治彬[イム・チビン](韓国・IKMF/IKMF韓国格闘技協会ライト級王者) 2R 1'53" KO (パンチ)
小林が細かい動きでプレッシャーをかけながら左フックを当てるが、任もパンチで応戦し、1Rはほぼ互角。だが2R、開始早々から任がパンチで速攻を仕掛け、さらには得意の回し蹴り。完全にペースをつかむと、ストレートで小林をひるませ、左右のフックを畳み掛けダウンを奪取。9カウントまで寝転んだままの小林は、10カウントの間際に大急ぎで立ち上がるが、時すでに遅し。レフェリーにしがみついて続行を訴えるが聞き入れられず、まさかの初戦敗退となってしまった。
左目を腫らし控え室に戻った小林は「敗因はわからない。気持ちはまだやれてた。作戦は特にない。やられたらやり返すだけ。相手候補の4人のビデオは一通り見てたけど、任の印象はこれといってなかった。今は何を言ってもいいわけになる」とガックリ。この日はかつてのライバル・金沢も一回戦敗退し、ウェルター級王座決定戦では三上洋一郎、スペシャルマッチではMAのラビット関も敗れ、ベテラン勢が失速。世代交代の波を感じさせる大会だった。 一方の任は打倒・小林を目指しトーナメントに参戦し、一回戦で見事実現してみせた。通算戦績はこれで31戦30勝(21KO)1分。全日本キック勢相手では、昨年10月の藤牧孝仁に始まり、12月の山本優弥、1月の大月敦史、そして小林と4連勝。準決勝ではデビュー以来16連勝中の花戸忍との無敗23歳対決が実現する。小林も金沢も消えたが、トーナメントはまだまだ見どころが尽きない。
第6試合 トーナメント一回戦Cブロック サドンデスマッチ ○大月晴明(AJパブリックジム/全日本ライト級王者) ×藤牧孝仁(はまっこムエタイジム/全日本ライト3位) 1R 1'41" KO (3ノックダウン:パンチ)
ヒジ・首相撲禁止の特別ルールは、ムエタイスタイルの藤牧には不利で、パンチを得意とする大月には有利。だが今の大月からは、ルールうんぬんを超越した凄みが感じられる。 独特のノーガードの構えから大月は左右のフックを振り回し、命中させなくとも勢いだけで藤牧を圧倒してみせる。パンチラッシュで最初のダウンを奪うと、左ジャブで2度目、右ストレートで3度目のダウンを立て続けに奪い、全く危なげなく完勝。これで大月の通算戦績は11戦11勝(10KO)無敗。準決勝では金沢を下し勝ち上がってきたシルバーウルフの大宮司と対戦する。
第5試合 トーナメント一回戦Aブロック サドンデスマッチ ○花戸 忍(高橋道場/全日本ライト2位,COMBAT2002王者) ×山本優弥(空修会館/全日本ライト7位) 延長1R 判定2-0 (10-9,10-10,10-9) ※本戦3R 判定0-0 (30-30,30-30,30-30)
花戸は得意の首相撲がルール上禁止されている影響もあり、攻撃の歯車が今一つ噛み合ない。広島の高校をこの春卒業する山本は、逆に花戸の攻撃をもらっても笑顔を見せ、楽しみながら試合をしている様子。パンチ、ミドルを的確に当て、3Rには花戸のお株を奪うようなカカト落としまで披露し、観客のハートをつかむ。本戦は大差なくドローに終ったが、花戸は延長で底力を発揮。手数と有効打で上回り、なんとか連勝記録を16に伸ばし、準決勝への切符をもぎとった。
第4試合 トーナメント一回戦Dブロック サドンデスマッチ ×金沢久幸(TEAM-1/WPKC世界ムエタイ・スーパーライト級王者) ○大宮司進(シルバーウルフ/ISKA世界スーパーフェザー級王者) 判定0-2 (29-30,30-30,29-30)
魔裟斗のアドバイスを受け、大宮司が単発ながらも得意の右ストレートを当てていく。金沢のバックハンドを見切り、パンチの連打もしっかりブロック。3Rにローを着実に叩き込んだことが評価され、僅差ながらもベテラン金沢から金星。準決勝では無敗の全日本ライト級王者・大月と激突する。
第3試合 全日本ウェルター級王座決定戦 5R ×三上洋一郎(S.V.G./1位) ○山内裕太郎(AJパブリックジム/3位) 4R 1'15" KO (3ノックダウン:膝&パンチ連打) ※山内が第21代王者に
山内の右ローが功を奏し、2R終了間際にパンチの膝も畳み掛けてダウンを奪取。3R後半こそ三上に左ミドルとボディで反撃されたが、4R開始早々に右フック2発の膝の連続攻撃でまたもダウンを奪う。これで右目がふさがるほどダメージを負った三上から、さらに飛び膝でダウンを奪い、最後は膝とパンチのラッシュでノックアウト。昨年1月のデビューからわずか6戦目で、山内が頂点に登り詰めた。本人は「まだ王者の器じゃない。目の肥えたファンに認められる王者になる」と謙虚なマイクアピールをしたが、トーナメントを通じて大きく成長したのがわかり、今後の活躍がとても楽しみだ。
第2試合 スペシャルマッチ 59kg契約 5R ○増田博正(ソ−チタラダジム/J-NETWORKフェザー級王者) ×前田尚紀(藤原ジム/全日本フェザー級王者) 1R 0'19" KO (パンチ)
前田がいきなりラッシュで増田をコーナーに詰めるが、増田は左のカウンターをクリーンヒット。この一撃だけで前田を葬り去った。
第1試合 スペシャルマッチ 55kg契約 5R ×ラビット関(山木ジム/MA日本スーパー・バンタム級王者) ○藤原あらし(S.V.G./全日本バンタム級3位) 4R 0'57" KO (パンチ)
関の得意技の左ハイを見切った藤原は、パンチとローで着実な攻めを見せる。3R、関の飛び膝に合わせ左フックをヒット。最初のダウンを奪うと、4Rも序盤から左フックでダウンを奪い、さらにパンチラッシュでダウンを奪ったところでレフェリーが試合をストップ。「安川選手とやらせてもらえると思ったに、3位の選手を当てられたのが腹立たしい」と語っていた関を、完勝といえる内容で葬り去った。関の言葉を意識してか、マイクを持った藤原は、「安川さんは僕の2倍強いです。他団体の皆さん、安川さんと戦いたければ、まず僕と戦ってみたらどうですか?」とアピール。昨年1月のデビュー以来の戦績を8戦7勝(5KO)1分とし、バンタム級の最注目選手にのし上がった。一方の関は23日のMAディファ大会との連戦を目論んでいたが、この負けにより欠場することとなってしまった。
オープニングファイト第3試合 全日本ライト級ランキング戦 サドンデスマッチ (延長1回) ○島野智広(建武館/元全日本ライト級2位) ×関 博司(名古屋JKF/元NJKFフェザー級2位) 判定2-0 (30-29,29-29,29-28)
建武館移籍初戦となった島野が、2年3ヶ月ぶりの試合の関に手数で上回り僅差の勝利。
オープニングファイト第2試合 全日本フェザー級ランキング戦 サドンデスマッチ(延長1回) ×岩浅晶士(S.V.G./7位) ○山本真弘(藤原ジム) 判定0-3 (26-27,26-28,26-28) ※2R岩浅2ダウン、3R山本1ダウンあり
序盤から回転の早い攻撃を見せる19才の山本。2R残り1分に右アッパー一発でダウンを奪うと、残り20秒にもパンチの連打で2度目のダウンを奪う。だが3R序盤に岩浅の膝一撃にひるみ、右ストレート一発で互角に持ち込んだが、残り1分に膝の連打をもらいスタンディングダウンを宣告されてしまう。結局2Rの攻勢で点数を稼いだ山本が辛勝。
オープニングファイト第1試合 全日本ウェルター級ランキング戦 サドンデスマッチ(延長1回) ○箱崎浩康(TEAM-1/4位) ×小松隆也(建武館/6位) 延長1R 判定2-1 (10-9,10-9,9-10) ※本戦3R 判定1-0 (30-30,30-29,30-30)
1月のウェルター級王座決定トーナメント準決勝で敗れた同士の対戦。膝主体の小松に対し、箱崎はパンチとキックの手数で上回り僅差の判定勝ち。
フレッシュマンファイト 70kg契約 3R ×水越幸雄(サンライクジム) ○丸山浩紀(名古屋JKF) 2R 1'20" KO
Last Update : 03/21
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