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(レポ&写真) [修斗] 1.24 後楽園:村浜兄、ブレナンから金星!植松はホーキに善戦

サステイン "プロフェッショナル修斗公式戦" 2003年1月24日(金)後楽園ホール

  レポート&写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・修斗スレッド]

メインイベント ライト級 5分3R
×植松直哉(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY/6位)
○ジョン・ホーキ(ブラジル/ノヴァ・ウニオン)
判定0-3 (27-29,28-29,27-29)
※3R ローブローによりホーキに減点1

 1R、ホーキの素早いタックルを切った植松は、ロープ際でホーキの腕をロック。グラウンドに持ち込んでも執拗に腕を狙い続け、いきなりチャンスを得る。だがホーキはそれを外すと、持ち前の柔術テクニックでじわじわポジションを移行し、3分頃にはマウントポジションとなる。強烈なパンチを振り落とし、植松万事休すかと思われたが、植松は体勢が崩れたところでインサイドガードに戻し、さらには残り10秒で足関節を狙ってみせる。

 2Rもホーキは開始早々タックルで突進。下になった植松は倒れた直後に足を効かせスイープを狙うが、ホーキがロープに跳ね返ってしまい失敗。またもホーキの柔術地獄に苦しみ、3分頃にマウントを奪われる。ホーキは植松の片腕を殺したまま顔面パンチを連打する非情な攻撃を見せ、さらに肩固めも狙い試合を優位に運ぶ。
 3R、さすがに植松に動きを見切られたホーキは、再三に渡りタックルを切られてしまう。そしてコーナーに植松を押し込んだ時、膝蹴りを植松の股間に当ててしまい、減点1を喫する。点差が縮み、最後のチャンスに賭ける植松は足関節技の猛攻を仕掛けるが、ホーキはディフェンスに徹して時間いっぱいまで逃げ切り、判定勝ちをおさめた。
 大方の予想通りのホーキの勝利だったが、ここまで対戦相手にチャンスを与えたのは初めて。昨年9月のバオ・クアーチ戦に続く黒星となった植松は、試合直後こそ涙を浮かべていたものの、「『俺のやってきたことは間違ってないな』と思えるところのある試合だった。あきらめるつもりはない」と語り、ホーキ相手の健闘で自信をつけた様子だった。

第8試合 ウェルター級 5分3R
○村浜天晴(WILD PHOENIX)
×クリス・ブレナン(米国/ネクストジェネレーション・ファイティング・アカデミー)
1R 2'49" アキレス腱固め

 昨年9月、ウェルター級王者の五味と対戦し、敗れながらも腕十字であわやというところまで五味を追い込んだブレナン。柔術黒帯、UFC参戦経験ありという実績も加味すると、とてもじゃないが村浜の歯が立つ相手ではないという予測が大方を占めていた。
 だが、かつて11秒での膝蹴り秒殺勝ち、DEEPでの洗濯バサミでの一本勝ちなどを見せた村浜が、またもミラクルを起こしてくれた。いや、今回の場合は、ミラクルと言ってしまうのは失礼かもしれない。

 序盤から三角絞め、腕十字を狙うブレナン。だが「うちのチームにもっと三角のうまいのがいるから大丈夫と思った」という村浜は、危なげなく脱出する。
 ハーフガード、クロスガードでしばらく膠着が続く。だが一瞬の隙を突いてブレナンの両足を抱え上げ、お得意のジャイアントスイングを狙う。腕にしがみついたブレナンを2回転すると、素早くアキレス腱固めへ。虚を突かれたブレナンは体を回転させ脱出を試みるが、時すでに遅し。ガッチリと極まっており、あとはタップするしかなかった。

 見事なフィニッシュと金星に沸き上がる後楽園ホール。村浜は我を忘れたかのようにバック転、側転などを繰り出し大喜び。「僕が元祖。須藤元気君も認めてくれるはず」というジャイアントスイング→アキレスの連続技を決めた村浜は、インタビュースペースでも「超うれしいです。今日の内容は100点です」と語り、しばらく興奮が冷めなかった。
 この金星がミラクルではないのには訳がある。最近、村浜はウェイトトレーニングとサプリメントによる肉体改造に取り組んでおり、その成果が元ミドル級のブレナンに負けないパワーの源となったのだ。弟の武洋と同様、技術面で定評のあった兄・天晴だが、ここにきてパワーも加味された。さらには「まだまだ僕のしないといけないことがある」と語るように、前向きなハートも身に付けつつある。強豪揃いのウェルター級戦線で、ランク外に甘んじている村浜だが、ブレナン戦の勝利で、ランク入りの評価を得ることは確実。心技体の揃った村浜が、今年こそ大輪の花を咲かせるか? 大寒の東京で、一足早く春の予感がした。

第7試合 ライト級 5分2R
○戸井田カツヤ(和術慧舟會)
×ラミ・ボウカイ(米国/ネクストジェネレーション・ファイティング・アカデミー)
判定2-0 (20-18,20-20,20-18)

 ボウカイはサウジアラビア出身の20歳で柔術茶帯。カリフォルニアに住み、西海岸のグラップリング大会で数々の好成績を残している選手だ。総合は昨年7月にウォリアーズ・チャレンジという大会で一戦だけ経験しており、その時は1R三角絞めで勝利している。その実績どおり、高い組技テクニックを見せ、トイカツの一個一個の素早い動きに対応し、決定的なチャンスを与えない。ボウカイがスリーパーを狙えば、トイカツは足と腕の関節を狙う。目まぐるしくポジションが入れ替わり、“回転体”という言葉を思い起こさせる好勝負となった。
 だが、打撃の攻防がほどんどなかったため、総合格闘技らしさに欠いた感も否めない。グラップラー同士、逆に“手が合い過ぎた”のか、緊迫感が弱く、観客の盛り上がりを引き出すには至らなかった。復帰戦を白星で飾ったトイカツ自身も「いいところがなかった」と内容に満足しておらず、完全復活は次回に持ち越された格好だ。

第6試合 ライトヘビー級 5分2R
○桜井隆多(総合格闘技TOPS)
×中西裕一(シューティングジム横浜)
判定3-0 (20-19,20-19,20-19)

 マッチョ体型の桜井が、インサイドガードからパンチを豪快に振り回し続け判定勝ち。デビュー2戦目の中西は三角と腕十字を狙いつづけたが、桜井のパワーに押しつぶされた。

第5試合 女子バンタム級 5分2R
○エリカ・モントーヤ(米国/ネクストジェネレーション・ファイティング・アカデミー)
×虎島尚子(RJWセントラル)
2R 4'50" 腕ひしぎ十字固め

 今年一発目の女子修斗は、男子も顔負けのハイレベルな攻防に。ストライカー・虎島の蹴りに合わせて組み付いた弱冠18歳の柔術家・モントーヤがテイクダウンに成功。そのままサイドポジションを取り、マウントに移行し腕十字を狙う。虎島は辛くも脱出するが、モントーヤはその後も執拗に腕十字と三角を狙い続け、試合を優位に運ぶ。
 2Rこそ虎島がパンチでモントーヤを一瞬ひるませ、寝技でもモントーヤのマウント狙いのポジション移行に合わせスイープを決める場面もあったが、終始主導権を握り続けたのはモントーヤ。最後は試合終了わずか10秒前に虎島を腕十字で極め、プロ修斗2勝目をあげた。

第4試合 03年度新人王トーナメント ミドル級1回戦 5分2R
△寿丸。(SHOOTO GYM K'z FACTORY)
△杉浦“C坊主”博純(シューティングジム大阪)
判定0-0 (19-19,19-19,19-19)
※抽選により杉浦が二回戦進出。公式記録はドロー

 「寿丸。」と書いて「ことぶきまる」と読むこの選手は、本名は平石寿樹といい、昨年全日本アマミドル級準優勝で今回がデビュー戦。一方の杉浦は同大会で3位の選手。試合は寿丸(写真下)が弾丸タックルで何度も果敢にテイクダウンを試みるが、杉浦がことごとく切ってディフェンスするという展開が繰り返される。結果はドロー。トーナメント二回戦進出を賭け、規定により抽選が行われたが、先に引いた寿丸はハズレクジ。名前の割に運が無いという皮肉な結果に終った。

第3試合 03年度新人王トーナメント ウェルター級1回戦 5分2R
○鹿又智成(総合格闘技武蔵村山道場)
×甘利芳紀(シューティングジム大阪)
1R 4'14" 腕ひしぎ十字固め

 スタンドでの派手なテイクダウン狙いの攻防が1分ほど続いたが、それを制したのは鹿又(かのまた)。甘利(あまり)の三角狙いを警戒しながら、重たい左右のパンチを連打する。一旦スタンドに戻るが、またも鹿又がテイクダウン。素早くパスガードし、マウント、バックマウントから何十発もパンチを振り落とすと、最後は下に回り込んで腕十字。オールラウンドな強さを発揮し、プロ初白星を勝ち取った。

第2試合 03年度新人王トーナメント ライト級1回戦 5分2R
×溝口なおすけ(誠流会)
○藤岡正義(シューティングジム大阪)
判定1-2 (19-18,19-20,19-20)

 1R、溝口が何度も腕十字と三角を狙うが、藤岡は極めさせず、上から的確なパンチを落とす。2Rも藤岡が豪快にパンチを落し続ける。評価基準の違いからか判定は割れたが、藤岡がトーナメント二回戦に駒を進めた。

第1試合 03年度新人王トーナメント バンタム級1回戦 5分2R
○塙 真一(和術慧舟會千葉支部)
×秋久哲也(シューティングジム大阪)
2R 3'25" 三角絞め

 秋久(あきひさ)が左右のストレートを当て1Rから塙(はなわ)の右目を腫らす。2Rもパンチを当て続け、秋久が優位なまま試合が終るかに思われたが、グラウンドに持ち込んだところ下からの塙の三角絞めにつかまりタップ。塙が見事逆転勝ちをおさめた。

Last Update : 01/25

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