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(レポ&写真) [ZST] 11.23 有明:足関十段、1人で2本!イリホリ組が旗揚げ戦を食う

ZST "THE BATTLE FIELD『ZST』旗揚げ大会" 2002年11月23日(土・祝)東京・ディファ有明
主催・ZST事務局,TBSラジオ  観衆:1,021人(超満員)

  レポート&写真:井田英登  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・リングススレッド]

メインイベント ライト級(-70kg) 5分2R
「小谷初メインを執念の三角で決める」
○小谷直之(ロデオスタイル)
×ミンダウガス・ローリネイティス[Mindaugas Laurinatis](リングス・リトアニア)
1R 2'16" 三角絞め

 試合序盤下からの三角絞めでチャンスを掴んだ小谷だが、ミンダガウスはリフトアップして場外に投げ捨てようとしたためイエローカード。リスタート後、マウントを奪った小谷はそのまま胸に乗り、足を絡めて上に載ったままの“ロデオスタイル”から再度三角絞めの体勢をつくる。慌てたミンダガウスは再度リフトアップを試みるが、そのまま絞め落とされてしまった。
 無事旗揚げ戦のメインを務めた小谷は、「最初にああいう形で場外に落とされそうになったので、少し意地になってもう一回やってやろうと思ったらそのまま決まってしまった。KOKルールは一番自分に似合ったスタイル。もっと動いて打撃やグラウンドでもいい動きを見せたい。オファーの途切れたときには他団体出場も考えるかもしれないが、これからはZSTを中心に活動していくつもり。」とエース候補としての自覚をのぞかせた。

セミファイナル ライト級(-70kg) タッグマッチルール 3本勝負 10分2R
「チーム・イリホリ、軽妙に会場を沸かす」
○矢野卓見(鳥合会)&今成正和(TEAM ROKEN)
×レミギウス・モリカビュチス[Remigijus Morkevicius]&ミンダウガス・スタンコス[Mindaugas Stankus](リングス・リトアニア)
1本目 1R 9'15" アンクルホールド:今成→スタンコス
2本目 2R 1'38" 膝十字固め:今成→モリカビュチス

 話題のチーム「イリホリ」がKOKルールを十全に生かした足関節への攻めと、プロレスもかくやという軽妙でユーモラスなタッチワークで、場内を沸かせた。
 先発を買って出たのは先輩の矢野だが、例によって半身のお尻突き出しスタイルで、リトアニア先発のモリカビュチスを幻惑する。そのままタックル気味のヒップアタックでモリカビュチスを引き込んだのか、ただ無駄に下になったかわからないまま押さえ込まれる矢野。しかし首抱きに密着してくるモリカビュチスの首を下から押し上げ、好きにはさせない。攻めあぐんで立ち上がったモリカビュチスの足をカニバサミで刈りに行こうとするなど、アリ猪木体勢で引き込みを狙うのかと思いきや、瞬時に殺気を消して、自分も立ち上がると、くるりと背を向けてとっとと今成にタッチしてしまう。
 リトニアチームも選手交代すると、今成はロー数発でけん制したあと、すばやくスライディングで足をすくいに行く。ヒールを取られながら必死に逃げるスタンコスは、場所が自コーナーであった事を利用してタッチで逃げる。交代したモリカビュチスにハイを見舞い、すばやく低いタックルで飛び込む今成。蛸が絡みつくように立ったままのモリカビュチスの足を掴み、逃げようと回転する相手にぴったり合わせてヒールを極めようと粘る今成の動きに会場が沸く。逃げ切れずグラウンドに転がったモリカビュチスはアンクルを取り返したため、両者足関節の取り合いという、リングスを彷彿とさせるシーンが現出。

 交代した矢野は低いタックルから、今成同様モリカビュチスの足に絡みつきにいくが、取りきれず、逆にアンクルを深追いした隙を突かれて、ボディにパンチを何発も浴びせられる。
 再び両軍選手交代。今度は今成がスタンドの距離の取り合いで、矢野まがいの半身の構えや、カンフー映画風の奇妙なポーズを見せ、客席の笑いを誘う。ムキになってパンチで飛び込んできたスタンコスを見切って、その場でのスライディング風に体を沈ませた今成は、そのままスタンコスをやり過ごして、魔法のようにその足に絡み付いていく。引き込みとシザースの複合技のような動きである。足を取られたスタンコスはそのまま前に倒れこんで、裏十字を取られるような形になる。たまらず場外に逃げてしまい、それを故意のエスケープと判断した和田レフェリーがイエローカードを出す。
 スタンドに戻ると、なおも「東洋の神秘」風に低く構え、先ほどの“引き込みシザース”を狙った今成の顔面を、一瞬早くスタンコスのハイが襲う。モロにヒットはしたもの、足は取った今成が自軍コーナーでスタンコスのアンクルをひねりあげる事に成功。1R終了直前に1本目を先取した。これでリトニアチームはスタンコスが試合権を喪失、2-1のハンディキャップマッチとなった。

 ここで再度矢野がリング入りするも、直ぐマットに座り込み、ろくに試合をしないまますぐ今成にタッチという「お約束」をみせ、再び笑いを誘う。今成はまたもや、引き込みシザースですばやくモリカビュチスの足を取る事に成功。あわや1R完封かとも思わせるが、若干グラウンドの技量がスタンコスより上らしいモリカビュチスが、回転して、ヒールをはずして2Rに勝負はもつれこんだ。
 2R先発した矢野は相変わらず尻見せ半身。トリッキーにはトリッキーをと、ローリングソバットを繰り出すなど、相棒を失いながらモリカビュチスの動きは悪くない。足を取りに来た矢野の仕掛けをジャンプではずすなど、身体能力もいい。だがパンチを打ち込めば尻を向けたままマットに転がり、抜け目無く足を刈りに来るなど変幻自在縦横無尽、のらくらと柔の動きに徹する矢野の動きに攻め切れない。十分相手のスタミナは奪ったぞとばかりに今成にバトンが渡されると、逆にモリカビュチスに火がつく。早い左ミドルを今成のボディに打ち込むと、傘にかかってパンチをねらう。しかし、今成はそこを“引き込みシザース”に捕らえ、ヒールホールドを仕掛ける。回転して逃げようとするモリカビュチスだが、エプロンサイドには、いかにも「疲れました」といわんばかりの矢野がとおせんぼをしている。知能プレイか偶然か、その間にアンクルに取り直した今成が今度はリング中央にむけてモリカビュチスの体をころがす。反転したその足をさらに脇にとらえて膝十字でフィニッシュ。矢野がペースを作りながら、ゴール前の「足関ゲッター」今成にアシストのボールを送り込むという、まるでサッカーのようなファンタスティックな試合となった。

 試合後、「相手はパワーがありましたね。僕は楽してだらだら引き延ばして、彼(今成)に全部とってもらうというのが作戦だったんで。まあ彼は若いし、売出し中だからこうやって美味しいところを全部もっていけばいい」と飄々と試合を振り返り、最後に主催者がセッティングしたラウンドガールとの撮影も、全て今成に任せて、自分はサイドにどいてしまうなど、見事に場を仕切る矢野のショーマンぶりに、無口な今成は笑ってうなずくばかりだった。

第4試合 クルーザー級(-90kg) 5分2R
○サム・ネスト(リングス・オーストラリア)
×園田 隆(A-3)
1R 4'42" チョークスリーパー

第3試合 ライトヘビー級(-85kg) 5分2R
○松本天心(SKアブソリュート)
×真霜拳號(KAIENTAI-DOJO)
判定3-0

第2試合 ライト級(-70kg) 5分2R
○所 英男(チームPOD)
×坪井淳浩(フリー)
2R 4'09" 腕ひしぎ十字固め

 シュートボクシングの前田辰也との対戦を熱望しながら、その前途を坪井にふさがれた形の所。しかし、坪井はフリー名義の元SB選手ながら、名古屋でALIVEとも練習を重ね、コンバットレスリングや柔術の名古屋大会で入賞経験のある選手。そのせいか、本来組み技選手である所の打撃が冴え、逆に坪井がグラウンドで攻め込む奇妙な展開となった。しかし、総合ではやはりキャリアの勝る所が勝負強いところをみせた。バックマウントを奪われた所が、回転して上下を入れ替え、パスする。タックルで切り返そうとした坪井を押さえ込み、四つんばいにさせた裏の姿勢から、腕ひしぎを取って勝負をきめた。
 今後ZSTではエース小谷を中心にライト級の頂点を決めるトーナメントの開催も構想しているといい、今後所もそのラインナップに上る事はほぼ間違いない。この日、リングではシュートボクシング協会のシーザー会長が「ZSTに選手を派遣していく」と明言していることもあり、トーナメントへの前田の参戦、所、小谷らライト級の日本人出世競争などがZSTの最初の山場になっていきそうだ。

第1試合 ミドル級(-80kg) 5分2R
×佐々木恭介(U-FILE CAMP.com)
○小野瀬哲也(ストライプル)
判定0-3

<ジェネシスバウト>

第4試合 フェザー級 5分1R
×宮川博孝(チームアライアンス・G-スクエア)
○山田泰範(ピロクテテス新潟)
判定0-2

第3試合 ライトヘビー級 5分1R
△篁 真一郎(BCG)
△花田 和弘(フリー)
判定ドロー

第2試合 ライトヘビー級 5分1R
○長井憲治(V-CROSS)
×今釜悠介(禅道会横浜道場)
判定3-0

第1試合 ライト級 5分1R
○ローランド・ファビレ(米国/フリー)
×堀 友彦(フリー)
判定3-0

Last Update : 01/04

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