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(レポ&写真) [修斗] 11.15 後楽園:カリスマも課題も健在。ルミナ、聖地を熱狂で包む

サステイン "プロフェッショナル修斗公式戦" 2002年11月15日(金)後楽園ホール [→掲示板・修斗スレッド]

 レポート:BOX-T,石動龍(第1,5,7試合のみ)  写真:井原芳徳

第9試合 ウェルター級 5分3R
△佐藤ルミナ(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY/6位)
△タクミ(日本/パレストラ東京/9位)
判定1-0 (29-28,29-29,29-29)
※佐藤にローブローによる減点1あり

 両者とも南側の客席後方から入場。ルミナが現れると、超満員の観客の声援がひと際大きくなる。リングインしたルミナはセコンドの坂本一弘・修斗協会会長&サステイン代表と共にパンチのバランスを最終チェック。この一戦に向け、ルミナは坂本代表の元で打撃の特訓を積んできた。
 試合が始まると、ルミナはいきなり片足タックルでテイクダウンを奪いバックを取る。速攻に興奮したファンから、早くも「ルミナ」コールが巻き起こる。タクミはルミナを前に落とすが、すぐにルミナは下から腕十字の体勢へ。タクミの顔が苦痛に歪む。掛りが浅かったため、タクミはなんとか腕を抜く事に成功する。タクミは後半になってインサイドガードからパンチをルミナに浴びせる。観客もそれに合わせて「オウッ!オウッ!」と声を上げ始めた所で1R終了。一瞬たりとも動きの止まらない、あっというまの5分間だった。

 2R開始直後、ルミナはサイドキックを放つ。セミファイナルでも弟分の勝村周一郎が出して会場を湧かせていた技だ。ヒットせず連続してタックルに行くが、タクミは冷静に受け止めるとルミナをコーナーに押し込む。その直後、ルミナのヒザがタクミの下腹部に入ってしまいタクミは悶絶。タイムストップがかかり、ルミナは鈴木レフェリーから注意を受ける。
 試合再開後、ルミナが猛然とパンチとヒザを出し、そのままテイクダウンするが、タクミはルミナを両足で押し返すと逆に低空タックルを仕掛ける。それを切ったルミナは上手く回り込みバックマウントを取る。「宇野戦の二の舞にならないよう気をつけた」と振り返ったように、すぐにはチョークには行かず、大振りながらも的確なパンチを顔面やボディに再三叩き込んでいく。しかし「観客にあおられて、タクミ選手の胴を足で強く絞めすぎてしまいスタミナロスした」といい、突然、力無くタクミに前に落とされる。ガードを取ったルミナに、タクミは復讐とばかりに鬼の形相でパンチを叩き込んでいく。

 3R開始直後、いきなりタイムストップが掛かった。タクミがマウスピースを付け忘れたためだった。客席から「浮き足立ってるぞ!」と野次が飛ぶ。再開後、パンチでけん制するタクミに対し、ルミナもパンチを出し、自分の胸を叩きながら「来い!来い!」というジェスチャーをする。が、反対に自分から攻めてテイクダウンを奪い、素早くバックに回り込む。それに対しタクミはガードをとる。赤コーナー付近でガードの攻防になった為、坂本代表らルミナ陣営が必死でアドバイスを送る。だがスタミナが切れたルミナの動きに精彩がなく、タクミもルミナの手を押さえるので精一杯。そんな中、会場から「タクミ」コールが巻き起こり始める。
 こう着状態が続きブレイクがかかる。だがこの後、再びアクシデントが起こった。ルミナが首相撲からヒザを出すと、タクミは股間を押さえて倒れこむ。2Rの金的の注意と合わせて減点1がルミナに宣告される。しばらくのタイムストップの後で再開され、ルミナがキックを出すが、タクミがその足を取ってテイクダウン。上からパンチの連打を落とす。ルミナが自らの頭を抱えて防御一辺倒になった所で試合終了のゴングが鳴る。

 判定は29-28、29-29、29-29。金的による減点が響きルミナは白星を得ることができなかった。全ラウンドともルミナが中盤まで試合を支配し、終盤にタクミの上からのパンチで反撃される展開となった。そのためルミナは「終盤タクミ選手の反撃で盛り上がった会場の雰囲気に、ジャッジが流されたのではないか」と懸念を示した。静かな口調だが、格下相手に極めきれなかった苛立ちもその裏にはあったのではないだろうか
 結果はともかくとして、ルミナのスピード、技の切れ、素早い状況判断、そして熱狂的な会場のムードを作り上げるカリスマ性は健在であった。しかし、坂本代表の打撃の矯正指導にも関わらず、パンチの際に前のめりになってしまう癖や、攻め疲れでスタミナ切れを起こすといった課題も今だに“健在”であった。一方のタクミは、クロマドとシャオリンという強豪相手の連続秒殺負けのトラウマを払拭。ルミナの攻めを凌ぎきった事で自信をつけたのではないだろうか。今後はそこからもう一歩進んで、自分から先手を取れる選手に成長してもらいたい。

第8試合 フェザー級サバイバー・トーナメント1回戦 5分3R
○勝村周一朗(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY/8位)
×アルフィ・アルカレズ(米国/ニックワン・キック・ジム)
2R 3'04" 腕ひしぎ十字固め

 アルカレズのフックを避けて、勝村が低空タックルを仕掛ける。しかし、アルカレズはそれを切り、下にもぐりこんだ状態の勝村に上からパンチ連打。それを勝村が頭で受けながら立ち上がると、離れてハイキックを出す。アルカレズは冷静にブロックするとタックルしてテイクダウン。勝村はガードポジションを取り、アルカレズの左腕に巻きつけた自分の右足を左手で持ってアルカレズの体を固定すると、空いている右手でパンチの連打を頭に叩き込み、アルカレズの表情を歪ませる。
 2R目に勝村がいきなりサイドキックをヒットさせると観客から歓声が上がり、アルカレズは苦笑い。そこへ再度、勝村がサイドキックを出し、アルカレズは更に大きなジェスチャーを交えながら苦笑いを浮かべた。その後、アルカレズが勝村をコーナーに押し込んでテイクダウン。勝村はガードポジションから三角絞めの体勢に入る。アルカレズは顔を真っ赤にして耐えるが、体勢が崩れたところを勝村は見逃さず、腕十字に移行。両腕を掴まれてタップできないアルカレズの代わりにレフリーがストップを掛けた。満員の客の歓声が上がる中、勝村はコーナーポストに掛け上がり勝利をアピールした。

◆勝村「1Rで極められませんでしたけど嬉しいです。(アルカレズへの恐れは?)ありましたね。UFCでのジェンズ・パルヴァー戦とシュートボクシングでの試合のイメージがあったので。でも、勝てない相手との試合だと思うと、逆に練習が燃えるんです(笑)。
(フェザー級サバイバー・トーナメントで勝てる自信はつかめた?)イヤ。とりあえず一回勝っただけなんで…。他の4人を見たら誰にも勝てそうにないんで。謙遜とかそういうのじゃなくて、本当にそう思います。(闘いたい相手は?)う〜ん。強いて言うなら、調子の悪い選手と闘いたいです(苦笑)。(準決勝について)やりたくないですけど、とにかく絶対に諦めないです。頑張ります。
 僕が(児童養護施設で)子供達の為に頑張っているというような感じでテレビで放映されたのを見て、頑張ろうと思った人がいたらしくて、とても嬉しいです。今回、修斗と仕事のストレスで腸炎になってしまいましたが、それでも仕事をしながら頑張れるという所を見せたいです。
(試合前ファッションヘルス店から敢闘賞が贈られるアナウンスがあったが?)本当です。でも行ってるとかじゃなくて、知り合いで経営してる人がいるんですよ(笑)」

第7試合 02年度新人王トーナメント ミドル級決勝戦 5分2R
○弘中邦佳(日本/SSSアカデミー)
×徳岡靖之(日本/パレストラ加古川)
判定3-0 (20-18,20-18,19-18)

 開始早々の徳岡のワンツーが弘中の顎をかすめる。そこから組み付いた徳岡だが弘中も内股から後ろに回り、後頭部にパンチを落とす。徳岡もその体勢から弘中の腕をアームロックに捕らえて反撃。
 両者とも一歩も引かない熱戦となるが、2Rに入るとテイクダウンに勝る弘中が徐々に試合を支配していく。特に弘中のトップポジションからのグラウンドパンチは迫力十分。試合終了間際の連打で徳岡の顔面を腫らし、優勢を印象付けた。
 ロープ掴みに対する徳岡への減点もあり、ジャッジは三者とも弘中を支持。弘中が前評判どおりの強さを見せつけ、見事新人王に輝いた。

◆弘中「相手が強気だったのでちょっとひるみかけましたけど、実力では負ける気がしなかったです。失礼かもしれないけど、正直そこまでの強さは感じませんでしたね。5月の敗北で目が覚めたので、一つ一つ勝っていきたいですね。菊地(昭)君にはアマで負けてるのでもう一度戦いたいです。今度は頑張りますよ」

第6試合 02年度新人王トーナメント ライト級決勝戦 5分2R
○門脇英基(日本/和術慧舟會)
×小松寛司(日本/総合格闘技道場コブラ会)
判定3-0 (20-17,20-18,20-17)

 最初は打撃の攻防から、グラウンドで小松が上になる。ガードポジションになった門脇は、小松をわざと“のり過ぎ”の状態にすると、自分の体を横にスライドさせ、小松の脇の下からバックに回る。それに対して小松は門脇の腕を取って一本背負いのように前に落とすと、両者スタンドに戻る。
 小松が打撃を出そうとするが、門脇は上手く 距離を取ってヒットさせないようにすると、突然駆け寄って大外刈りでテイクダウン。ニーインザベリーをゲットした門脇が顔面にパンチを叩き込む。
 2R目、小松がハイキックから胴タックルへとつなけるが、逆に門脇が引き込む。まもなく両者離れてスタンドに戻り、今度は門脇がタックルしてテイクダウンを奪い、亀になった小松の片腕を足でロックしてチョークを狙う。コーナーに詰まってしまいドントムーブが掛かり、再開後、チョークからフェイスロックに切り替えて締め上げる。だが小松は耐え切って立ち上がると、門脇の顔面にヒザを叩き込むが、試合終了のゴングが鳴る。終始試合をコントロールしていた門脇が判定3-0で圧勝した。

◆門脇「チョークが極まりませんでした(試合の感想)駄目でしたね。良いポジションは獲れ ても、結局、逃がしてしまいました。パンチもヒザも喰らいました。最後、腕が上がんなくて顔でガードしちゃいました(苦笑)。(小松の印象)気持ちが強い選手。気持ちでは負けてたかも…。(クラスA昇格について)遠回りしましたけど…。大きな怪我もしたし…。今回は大きな怪我もなくて良かったです。 (今後の目標)とにかく技術面・体力面で足りない所を埋めていくので一杯一杯です。」

第5試合 02年度新人王トーナメント バンタム級決勝戦 5分2R
○漆谷康宏(日本/RJWセントラル/4位)
×阿部マサトシ(日本/AACC)
判定3-0 (20-18,20-17,20-17)
※阿部にローブローによる減点1あり

 バンタム級の決勝は、トーナメント開催中にクラスA昇格を果たした漆谷と、デビュー以来負けなしの阿部による対戦となった。両者ともレスリングをベースとしたトータルファイターであり、熱戦が期待される。
 試合は打撃戦が続く。積極的に阿部が前に出るが、リーチに勝る漆谷は冷静にカウンターを狙っていく。それを起点に切れ味鋭いコンビネーションを浴びせ、主導権を握る。
 その後も両者打撃を狙い続ける。2R中盤に漆谷が試合で唯一となるタックルを仕掛けるが、カウンターで放った膝がローブローとなり、阿部にとっては痛恨の減点。後がない阿部はさらにアグレッシブに仕掛けていくが、漆谷は落ち着いて迎撃し阿部の攻めを完封。漆谷が大差で判定勝ちを収め、クラスAとしての実力を証明した。

◆漆谷「クラスAなので優勝できて安心しました。今日は心の弱い部分が出てしまいましたね。上にいる人は強い人ばかりなので、もっと練習してよい試合ができるように頑張りたいです」

第4試合 ミドル級 5分2R
○福本洋一(日本/和術慧舟會千葉支部)
×レット・アンソニー(オーストラリア/AUS修斗スパルタン・ジム)
2R 2'11" チキンウィングアームロック

 福本がパンチのフェイントから胴タックルへつなぎ、コーナへ押し込んでいく。そしてテイクダウンを狙うと見せかけておいて、いきなりステップバックするとワンツーを叩き込む。アンソニーも福本をフロントチョークで引き込もうとするが、 福本はその動きに合わせながらも巧みにアンソニーの足を抑え、ガードポジションを取らせないようにし、さらに横にスライドしながら倒れることで、サイドポジションを取る。その後、上を取った福本はスルスルと横三角の体勢へ。それに気づいたアンソニーのセコンドが必死に横三角を警戒するように叫ぶが、時既に遅し。福本は横三角を防御しようとするアンソニーを嘲笑うかのように、反対側の腕をチキンウイングアームロックに取ってタップを奪い完全勝利。

第3試合 ライト級 5分2R
○日沖 発(日本/ALIVE)
×エドワード・バットン(オーストラリア/AUS修斗スパルタン・ジム)
1R 4'11" TKO (レフェリーストップ:バックマウントからのパンチ連打)

 序盤ボクシングの展開が続き、パンチを的確にヒットさせる日沖が段々と圧倒し始める。グランドに移行すると、日沖は下から十字を狙い、バットンは上から体重を掛けてデ ィフェンスする。しかし、それを見た日沖はスウィープに移行しアッサリとマウントを奪う。そして上からパンチを落とすと、バットンは簡単に後ろを向いてしまい、日沖は難なくバックをゲットする。流石にバットンも簡単にはチョークを極めさせまいと必死に動き回って防御するが、日沖はパンチ攻撃に重点を置き始め、バットンが弱って来たところで一気に連打しレフェリーがストップを掛けた。修斗デビュー戦のパットンであったが、今後も修斗に参戦するつもりであれば、もっとレベルを上げる必要があるのではないだろうか。

第2試合 ミドル級 5分2R
○岡田廣明(日本/PUREBRED大宮)
×前田健太郎(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY)
2R 0'15" TKO (レフェリーストップ:前田の右膝の負傷)

 前田の左ミドルに合わせて岡田がタックルしテイクダウン。しかし、前田がすぐに突き放してスタンドへ。そして、岡田が前田をコーナに押し込んでいく。この後も、スタンドやグラウンドの攻防があるものの、コーナーに押し込んで膠着してしまう展開が続いて1R終了。
 両選手の力量にあまり差がないように見受けられ、このまま五分五分の展開になるかと思われた。しかし前田は試合中に右膝の状態を悪化。2R開始早々にスタンドで差し合いとなるが、岡田の軽い膝蹴りで前田は崩れるように倒れこみ、岡田は上から容赦なくパンチを叩き込んでいく。体を丸くして横たわる無抵抗の前田を見て、あわててレフェリーが駆け寄り試合を止めた。

第1試合 ウェルター級 5分2R
△鹿又智成(日本/総合格闘技武蔵村山道場)
△帯谷信弘(日本/GUTSMAN・修斗道場)
判定1-1 (19-19,19-19,19-19)

 今年度アマチュア全日本優勝の鹿又と三位の帯谷。両者はアマチュア東日本トーナメントにて一度対戦しており帯谷が判定勝ちを収めているが、その時は鹿又が負傷していた。万全の状態での対戦は今日が初めてとなる。
 開始早々帯谷が反り投げでテイクダウンに成功する。下になった鹿又だが長い手足で三角、スイープと次々に技を仕掛け、帯谷にペースを握らせない。スタンドに戻って今度は鹿又がタックルを仕掛けるが、帯谷は切って後頭部にパンチの雨を降らせる。
 2Rに入り、今度は鹿又が帯谷のタックルを切り、バックを奪う。しつこくスリーパーを狙っていくが、帯谷も背後の鹿又にパンチを繰り出し簡単には攻めさせない。さらに回転を繰り返して鹿又を振り落としたところで試合終了。両者とも1Rずつを取り合う形となり、痛み分けとなった。

◆帯谷「下からの攻めを警戒して、思うように殴れませんでした。スタミナは余裕だったんですけどね・・。技術も体力も、何から何まで足りないことがわかったんでもっと頑張ります。次はもっとアグレッシブに行きたいですね」
◆鹿又「もっと動けましたね。しょっぱい試合で申し訳ないです。また一から出直したいと
思います。これからも一歩一歩力をつけて、どんどん試合がしたいですね」

Last Update : 11/30

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