BoutReview
記事検索 by google
news

(レポ&写真) [K-1]10.11有明:魔裟斗、クラウスとドロー。須藤&村浜も好勝負

K-1 "K-1 WORLD MAX 2002 〜世界王者対抗戦〜" 2002年10月11日(金)東京・有明コロシアム

  レポート:BOX-T(魔裟斗,村浜戦)、井原芳徳(その他)  写真:井原芳徳

  観衆:7548人(満員) 【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・キック&K-1中量級スレッド]

  ※テレビで生中継された第4〜7試合のみ、インターバル90秒の特別ルール


第7試合 K-1ルール 70kg契約 3分5R
△魔裟斗(日本/シルバーウルフ/ISKA世界ウェルター級王者)
△アルバート・クラウス(オランダ/ブーリーズジム/K-1WORLDMAX2002王者)
判定1-1(49-49,49-49,49-49)

 試合前のインタビューで「プレゼントを用意した」と語っていたクラウスが、1R目にいきなりサウスポーに構えた。「驚かせたかった」というクラウスのサウスポー作戦がハマッたわけではないだろうが、魔裟斗は前回の試合でのカウンターを警戒してか、あと半歩前に出る事が出来ず、パンチを出しても届かない。しかし、強烈な左のミドルや右ローでクラウスの前進も阻止していた。
 そして、2R目からオーソドックスに戻したクラウスの動きは、1R目とは比べ物にならない程に鋭さを見せ始める。前に出ようとする魔裟斗の顔面にパンチを的確にヒットさせ出鼻をくじき、逆に後退させていく。魔裟斗は相変わらずローとミドルを返すが、パンチを当てることができず後手に回っている感は否めない。
 3R目には、クラウスは、パンチのラッシュから踵落としや後ろ廻し蹴りまで放つ余裕を見せていた。しかし、これには流石に頭に来たのか、魔裟斗も思い切って前に出てパンチを打ち始める。

 4R目途中まで、何度かクラウスのラッシュに後退させられた魔裟斗の姿に、魔裟斗ファンの悲鳴が聞こえるシーンが度々あった。しかし、段々本領を発揮していった魔裟斗と、対照的に疲れの見え始めたクラウスの攻守が逆転し始める。5R目は魔裟斗が完全にポイントを取る攻撃を見せたが、ダウンを奪うには至らずそのまま試合は終了した。
 試合後のインタビューでは、「自分が勝ったと思った」と語るクラウスは判定に不満顔。魔裟斗も記者に対して苛立ちをぶつける等、両者共に遺恨の残る試合となった。

◆クラウスのコメント
「(引き分けという結果は?)よくわからない。どうかなと思う。(自分では勝っていると思う?)はい。(魔裟斗は前回と違った?)あまり変わっていないと思う。(受けた技でダメージがあったのは?)顔への攻撃です。(インターバルのときに鼻を押さえていたが、鼻血が出ていた?)いつもそうしています。以前に鼻を骨折したせいで、鼻を押さえると空気がたくさん入って楽になるからです。
(かかと落としや後ろ回し蹴りを見せたが、今回はそのような練習をしてきたのか?)以前は怪我があったのでできなかっただけです。(サウスポーになっていたが、それがビッグサプライズ?)そうです。(効果は?)マサトは1Rと2Rにびっくりしていたようだった。
(魔裟斗は『再戦したい』と言ったが?)絶対にもう一度戦いたい。(魔裟斗以外で戦ってみたい日本人は?)誰でもいい。(武田幸三など同じウエイトで強い選手がいるが戦ってみたいか?)タケダのことは知りません。」

◆魔裟斗のコメント
「(ジャッジについてどう思うか?)ま、そんなもんでしょう。妥当。(自分が取ったのは何Rで、取られたのは何R?)(取ったのは)最終で、取られたのは2か3。(クラウスは『自分が勝ったと思っている』と言っているが?)だから今言ったでしょ。妥当だって。(延長があったらやりたかったか?)はい。
(1Rにクラウスがサウスポーに構えてきたが、そのときは違和感を感じたか?)まぁ、やりやすかったです。(逆にオーソドックスに戻してきた2R以降のほうがやりにくかった?)向こうもそれを感じて直したんでしょう。(クラウスはびっくりさせようとしたらしいが?)……。
(ローキックの効いている感触は?)まぁ、効いているのかなとは思いましたけどね。周りの人が効いていると言っていた。(向こうの攻撃で嫌だったものは?)パンチ。でも前より効いていなかった。(自分のパンチはどうだった?)最終Rはけっこう効いているかなと思いましたけどね。(ダメージを与えているという感じはあったか?)もうちょっとでいけるかなと。
(5Rが始まる前に、採点のことを思ったか?)とりあえずそうですね。取られているかなというのは。(出血していたのはどこから?ジャブで?)わかんない。(もう一回やらせてくださいっていうのは、ワンマッチを希望しますか?)はい。もういいかな。ありがとうございました(自ら退席)。」



第6試合 前田憲作引退試合 K-1ルール 70kg契約 3分3R
○前田憲作(日本/チームドラゴン/WKA世界ムエタイSフェザー級王者)
×ミロスラフ・サフラ(チェコ/ハヌマンジム・プラハ)
判定3-0(30-29,30-29,30-29)

 前田は決定打には欠いたものの、バックハンドブローや飛び膝蹴りなど全盛期の得意技で華麗に攻め判定勝ち。試合後はこの日の出場選手や武蔵らK-1ヘビー級日本人選手などに胴揚げされ、最後は柳澤龍志に肩車されリングを一周して退場した。

第5試合 K-1ルール 70kg契約 3分5R
×小比類巻貴之(日本/黒崎道場/ISKA世界スーパーウェルター級王者)
○ピーター・クルック(イギリス/トロージャンジム/WAKO-PRO世界ムエタイミドル級王者)
5R 1'09" KO(左フック)

 今回の試合に向けて、黒崎道場でたった一人黙々とトレーニングを続けていたという小比類巻。右ローを着実に効かせ、現役警察官のクルックを苦しめるが、他人とのスパーリングをやっていなかった影響か、上下に打撃を散らすコンビネーションの攻撃はほとんど出ず、攻めがワンパターンな印象を受ける。だが徹底したロー狙いが功を奏し、4R、意識が下に向いていたクルックに右ハイをクリーンヒットさせ、ついにダウンを奪う。この展開に観客は大盛り上がり。
 しかしながら、小比類巻にこの後悲劇が襲い掛かる。3年前に新田明臣からダウンを奪ったこともあるクルックの必殺の右フックが5R、不用意に前に出た小比類巻の顔面に炸裂。動きの止まった小比類巻に対しさらにパンチを打ち続け、最後は左フックでノックアウト。小比類巻が屈辱的な大逆転負けを喫した。
 大会2日前の会見で、小比類巻に対し「進退を賭けて戦ってほしい」と檄を飛ばしていた石井和義プロデューサーは、大会後「コヒに馬鹿野郎と言いたい。1人では絶対に強くなれない。ドラマの世界じゃないんだから。人と人の間で揉まれてこそ人は強くなる。彼は練習環境を変えるべき」と厳しいコメントを残した。

第4試合 K-1ルール 70kg契約 3分3R
○須藤元気(日本/ビバリーヒルズ柔術クラブ/UFC-J王者)
×金 珍優[キム・ジンウ](韓国/ウトゥム体育館/大韓プロテコンドー大会優勝)
2R 0'16" KO(バックハンドブロー)

 まもなく公開の映画「凶気の桜」で須藤と出演した俳優の窪塚洋介とRIKIYAを両脇に引き連れ、須藤が入場。試合では互いに変則的な動きが交錯し、会場を湧かせる。1R終盤、金が踏み込んで来たのに合わせた須藤のストレートがクリーンヒットし、金はダウン。そして2R開始まもなく、この日引退の前田憲作直伝というバックハンドブローで金を見事ノックアウト。ゴールデンタイムのテレビ中継の一発目にふさわしい試合内容となった。

◆須藤のコメント
「(初KO勝ちの感想は?)うれしいです。相手はもっとパンチで来るのかと思っていたんですけど、後ろ蹴りとかで来たので、最初は戸惑って動きが硬くなってしまいました。でも途中から相手の動きがだんだんわかってきたので。その辺はスパーリングでそういうトレーニングをやってきたましたから。
(試合前の会見で『瞬間最高視聴率を取りたい』と言っていたが、自信は?)視聴率は徐々に伸びるものですから(笑)。でもそれなりの試合はできたと思う。

(バックブローで決めるつもりだった?)いろんな技を見せるつもりで練習していたんですけど、トリッキー対策の大技ではなかったので。相手はムエタイスタイルで来ると思ってました。その対策としてやってきたので、その技はできなかったです。途中で切り替えて、得意のバックブローで。前半はあまり出さなかったので、そろそろいいかなと。(最後のバックハンド2連発は普段練習していた?)はい。必殺技の1つであるバックブローで決められたのはうれしいです。前田(憲作)さんが今回引退するので。あのバックブローは最初に前田さんに教えてもらったので。それで勝ったことはうれしいです。
(次の試合は?)来年の一発目にUFCに出る予定です。今回は自分の得意分野じゃない方で戦って勝てたのでうれしかったです。これでUFCがずいぶん楽だなと感じますね。(来年のK-1トーナメントは出場したい?)どうでしょう? どちらかというと自分は相手を研究するタイプなので、ワンマッチの方が得意です。トーナメントは誰が勝ち抜いてくるかわからなくて研究しつくせない。戦うなら今戦っている(魔裟斗対クラウスの)勝者の方とやってみたいです。(これからもK-1と総合を平行してやっていく?)そうですね。(そのたびに練習が変わると思うが?)K-1の練習をすることによって打撃でいける自信がつきますから。そうすると総合で穴がなくなるので、そういう意味ではプラスになってます。K-1とUFCのダブルタイトルが取れれば、真の格闘家だと思っているので。」



第3試合 K-1ルール 70kg契約 3分3R
○村浜武洋(日本/大阪プロレス/元KICK世界スーパーフェザー級王者)
×メルチョー・メノー(フィリピン/TEAMM/元WKA世界スーパーライト級王者)
判定3-0(30-28,30-28,30-29)

 村浜は開始早々から、メノーを中心に円を描くように素早く動く。そこからステップインして、嵐のようなフックの連打をブロックの上から叩きつけ、さらにローやミドルを織り交ぜながら攻撃を仕掛けていく。
 それに対して、メノーも村浜の攻撃をブロックしつつ、左ミドルやローを返すものの、既に村浜は素早くステップバックをしていて、有効な反撃には至らない。村浜が終始メノーを圧倒していたが、圧巻だったのは、村浜のヒット&アウェイとコンビネーションの、スピードとキレが序盤から最後まで全く衰える事がなかった事だ。
 プロレス転向以降、明らかに体重の増えた村浜に対し、スピードとスタミナ面の不安もささやかれていたが、その心配は全くの杞憂に終わった。魔裟斗目当てに来たと見られる女性ファンも、途中から村浜の動きに歓声を上げ始め、判定が読み上げられると、最後は大きな拍手が送られた。村浜武洋という格闘技界の「小さな巨人」を知らしめる一戦となり、石井和義プロデューサーも「これぞK-1WORLDMAXという試合だった」と絶賛した。

◆村浜のコメント
「終盤、全然沸いてなかったから、『やばいなー』と思って。負けるのは嫌だけど打ち合わないと倒せないと思って、それで、最後に思い切り打ち合ってみました。(スタミナの配分は?)3Rなら行きまくっても持つだけの練習をしてきてますから。
(相手の技で効いたのは?)パンチとローが強いのはわかってたんですけど、圧力がきつかった。前へ前へ来られたので。1Rは距離を取りながら行こうと思ってました。中盤から『ディフェンシブに見られたらえらいこっちゃ』と思って、前に出るようにしました。(途中からメノーが前蹴りを使い始めたが?)あれはもうわかっていて、フックを合わせてたでしょ? 左のパンチ、右の蹴り、前蹴りが来ることは予測してました。
(右手を冷やしているが?)毎度のことで、総合を始めてから痛めました。(8月の)LEGENDの薄いグローブで痛めてしまって、それから完治していないんですよ。ボクシンググローブなら大丈夫かなと思って今回のオファーを受けたんですけど、案の定やってしまいましたね。3Rの中盤でカウンターを打ったらそれで痛めてしまって。もし、これで次のトーナメントに出られるようだったら、こんな怪我をしてたら厳しいなと思います。
 次の目標は11月のWRESTLE-1(石井館長がプロデュースするプロレス大会)ですね。今回の試合はもう一つでしたけど、もし出られることになったらうれしいです。相手は大きいレスラーの方が面白いと思う。(ボブサップは?)死んでしまいますわ(笑)。プロレス心のわかる外人がいいですね。」



第2試合 K-1ルール 70kg契約 3分3R
○大野 崇(日本/inspirit/ISKA世界ミドル級王者)
×王 三偵[ワン・サンジェン](中国/中国武術協会/'02世界ムエタイチャンピオンベルト争奪戦70kg級王者)
判定3-0(30-29,30-29,30-27)

 王の散打式の変則的な前蹴りに距離を取り辛い様子の大野だが、パンチを的確に当て続けたことが評価され勝利。



第1試合 K-1ルール 70kg契約 3分3R
×小次郎(日本/NJKF・ウィラサックレック・ムエタイジム/WMC世界ウェルター級王者)
○マリノ・デフローリン(スイス/ダイヤモンドジム/WKA世界王者)
判定0-3(28-29,28-29,28-29)
※2Rデフローリンがバッティングで小次郎の目尻をカットしたため減点1

 組んでの膝が認められないK-1ルールに対応してか、小次郎はテンカオ(飛び膝蹴り)狙いで飛びかかる。だが、デフローリンの的確なパンチの手数が勝り判定負け。K-1での活躍に黄信号が灯った。



フレッシュマンファイト第2試合 K-1ルール 3分3R
×安廣一哉(正道会館)
○久保坂左近(健生館)
判定1-2(27-28,29-28,27-28)

 2Rに久保坂がカウンターの右からのパンチ連打でダウンを奪うが、3Rには安廣がカウンターの右でダウンを奪い返す。判定は分かれたが、前半戦で手数の勝った久保坂が勝利した。



フレッシュマンファイト第1試合 K-1ルール 3分3R
○森 知行(正道会館)
×江口真吾(全日本キック・作真会館)
判定3-0(30-28,30-27,30-26)

 ヘビー級で活躍する武蔵の実の弟、森が1R終盤にパンチでダウンを奪い、2、3Rも優勢に試合を運び判定勝ち。

Last Update : 10/17

[ Back (前の画面に戻る)]



TOPPAGE | NEWS | REPORT | CALENDAR | REVIEW | XX | EXpress | BBS | POLL | TOP10 | SHOP | STAFF

Copyright(c) 1997-2002 MuscleBrain's. All right reserved
BoutReviewに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はマッスルブレインズに属します。

編集部メールアドレス: ed@boutreview.com