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(レポ) [K-1] 9.23 大阪:武蔵×中迫の同門決勝、白熱の正面激突は再々延長へ

K-1 "K-1 ANDY SPIRITS 2002 〜JAPAN GP 決勝戦〜"
2002年9月22日(日) 大阪・大阪城ホール
観衆 11500人(満員)

第10試合 JAPAN GP決勝戦
×中迫剛(ZEBRA224)
○武蔵(正道会館)
判定 3R ドロー(30-30,30-30,30-30)
判定 1R ドロー(9-10,10-10,10-10)
判定 1R 3-0(9-10,9-10,9-10)
※武蔵が二年ぶり三度目の優勝を飾り、12月のWorld GP出場権を獲得。
 決勝は、武蔵vs中迫という今やJapanの二枚看板である千両役者が順当に顔をそろえることになった。この同門二人の対決は昨年のJapan GP準決勝での初対決以来二度目。前回は武蔵が判定で勝利をおさめている。
 両者ともに充実した試合内容で決勝にコマを進めており、特にフルラウンドx2+延長1Rを闘い抜いた武蔵はすでに疲労も限界に近い。だが、初制覇に燃える中迫は序盤から積極的に打って出る。この日威力を発揮したストレートを主体に、組んではアッパーを振り上げ、試合の主導権を握る中迫。対する武蔵もいつものフットワーク主体のヒットエンドラン策ではなく、二回戦の富平戦に引き続き、下がらずに正面から顔面をド突きあう喧嘩ファイトで、中迫の気迫に答える。技術を越えた気迫と気迫のぶつかり合いはまさに、日本人選手の頂点を決する闘いにふさわしい熱戦となった。既に頭部にダメージの溜まった武蔵は、中迫の猛攻に何度も足を止められる状況に追い込まれたが、パンチラッシュを前蹴りで分断、ボディヘのパンチで上下への揺さぶりをかけながら、近距離からのハイ、得意のテンカオ(飛び膝蹴り)などを繰りだし、持てる武器の総力戦で中迫のプレッシャーを押し返す。対する中迫は、必殺のハイキックもほとんど出さず、シュアなストレートを中心にパンチで何度も武蔵の顔面を捕らえる。

 結局両者ともに本戦、そして延長を一歩も引かず、再延長へもつれこむ。ここに到ってさすがに回転の鈍った中迫を、手数で上回った武蔵が判定をもぎ取った。しかし、最後のゴングまで止まる事なくパンチを放ち続けた両者の闘いは、どちらが勝ってもおかしくない気迫のこもったものだった。判定を効いた瞬間、うずくまって頭を抱え込む中迫も、そして片手を差し上げられた武蔵も両者共に、顔をくしゃくしゃにして涙に暮れる。今一歩の所で頂点に達することの出来なかった中迫は悔し涙を。そして、昨年のペタス戦での敗北で1年間忍従を強いられた武蔵は雪辱の歓喜の涙を。両者それぞれに理由はちがえども、持てるもの技術のすべてと気力の限りを尽くした死闘を繰り広げたからこその涙であったのだろう。

 優勝記念にリング上でマイクを向けられた武蔵は「ニコラスに負けてから一年、館長にお願いして他流試合を組んでもらって、ここまで来ました。僕も勝てるかどうか不安なままリングに上がりましたけど、サコ(中迫)の頑張りもあっていい試合が出来たと思います。地元大阪で試合をするのは久しぶりだったんで、地元で勝てて本当にうれしいです。本当にありがとうございました。ニコラスが怪我で出られなかったのは残念でしたけど、彼の見ている前で下手な試合は出来ないと思って頑張りました。東京ドームでは、大阪発世界となるように、いい試合をしたいと思っています。ただ今正直に言うと頭が痛いです。もうこれ以上撃たれるとすぐ寝てしまうと思うんで、もっと練習して撃たれないで、相手を倒せるようにしたいと思います。そして、今日来てくれたお客さんに恥じないような試合がしたいです」と、顔をくしゃくしゃにしたまま、この1年間溜まりに溜まっていた悔しさを吐きだすとともに、目の前に迫った東京ドームへの抱負を口にした。

第9試合 <スーパーファイト第3試合>
○マイク・ベルナルド(スティーブス・ジム)
×トム・エリクソン(rAwチーム)
1R 2'30" K.O.(右フック)
 
 ラスベガスでのグッドリッジ戦惨敗を受けて、一部では勝敗如何によっては「引退を賭けた一戦」(当人はこれを否定)と言われたベルナルド。今回の相手はそのきっかけをつくったグッドリッジのスパーリングパートナーも務めるという、同じく巨漢タイプの総合系ラッシュファイターだけに、ラスベガスの悲劇の二の舞いになるのではと言う声も高かった。実際、序盤から有無を言わさず派手に左右の大振りなフックを振り回すエリクソンの姿は、白人版グッドリッジと言えなくもない。しかし、元はアマレスラーで立ち技の技術もあまり持たないエリクソンは、いきなりベルナルドのボディをフックしてスープレックスを敢行。そのうえ、グラウンドで顔面パンチを見舞うなど、確信犯的な犯則を繰り広げて、試合をかき乱しにかかる。この勢いに押されたか、エリクソンのシャニムニなパンチに頭を抱えたまま後頭部を向けてしまったベルナルドは、そのまま後頭部を撃たれて、二度のダウンを喫する。後の無くなったベルナルドの弱々しい姿に客席から悲鳴があがる。
 しかし、今回はここでおじけずに踏みとどまったベルナルド。カウント8で立ち上がり、かさに掛かるようにフックを振り回してくるエリクソンに右のカウンターを当て、まずワンダウンを奪取しかえす。立ち上がったエリクソンに、さらに左のジャブを当て、右の巻き込むような大振りのフックで巨体エリクソンを吹き飛ばすと、うつむけにマットに横たわったエリクソンは10カウントを聞くことになった。
 かつて総合界無冠の帝王、シューレストムと呼ばれた威厳は既になく、白鯨と呼ばれた男は、Kのリングに深く沈むことになった。


第8試合 <スーパーファイト第3試合>
×グレート草津(チーム・アンディ)
○ピーター・ヴァンドラチェック(バカルディ)
2R 1'23" K.O.(右ロー)

 




第7試合 JAPAN GP 準決勝第2試合
○武蔵(正道会館)
×富平辰文(SQUARE)
判定 3-0(30-26,30-25,30-26)

 


第6試合 JAPAN GP 準決勝第1試合
○中迫剛(ZEBRA244)
×藤本祐介(モンスターファクトリー)
2R 2'18"K.O.(左フック)

 


第5試合 <スーパーファイト第1試合>
○ボブ・サップ(モーリススミスキックボクシングセンター)
×シリル・アビディ(チャレンジボクシング・マルセイユ)
1R 1'17" T.K.O.(3ノックダウン)

 反則暴走防止のためと銘打って、石井館長自らレフェリーを務めた注目の一戦だったが、既に恒例となったサップの暴走ラッシュは試合開始早々から、果敢に打ち返そうとするアビディを吹き飛ばし、ロープを背負ったままスタンディングダウンを宣告させていまう。続いて、試合再開後同じようにパンチを振り回したサップは、逃げるアビディーをコーナーに追い詰め連打を降らせる。頭をかかえてしゃがみ込んだアビディの姿に、石井館長が身を呈して割り込み、後ろ足でサップの巨体を突きのけた。そしてアビディには再度のスタンディングダウンを宣告する。しかし、それでもサップは止まらない。次のラッシュにたまらず頭を抱えて後頭部を晒したアビディに、構わずパンチを降り下ろす。マットに崩れたアビディに T.K.O.負けの判定を下した館長だが、アビディ陣営は反則の後頭部パンチがあったとアピールし、不満を表明した。勝負的には明白にサップの勝利であったものの、反則攻撃は石井館長をもってしても止まらず。若干後味の悪い幕切れとなった。

 



第4試合 JAPAN GP 一回戦 (3分3R)
×ノブ・ハヤシ(ドージョー・チャクリキ)
○富平辰文(SQUARE)
判定3R ドロー(29-29,30-30,28-29/富平一票)
延長1R 2-0(9-10,9-10,9-10)





第3試合 JAPAN GP 一回戦 (3分3R)
○武蔵(正道会館)
×天田ヒロミ(TENKA510)
判定3R ドロー(30-30,30-30,30-30)
延長1R 2-0(10-9,10-9,10-10)



第2試合 JAPAN GP 一回戦 (3分3R)
×大石亨(日進会館)
○藤本祐介(モンスターファクトリー)
3R 1'47" K.O.(左ハイ)


 

第1試合 JAPAN GP 一回戦 (3分3R)
×野地竜太(極真会館)
○中迫剛(ZEBRA244)
3R 判定 3-0 (29-30,28-30,28-30)


 

オープニングファイト(3分3R)
○黒沢浩樹(日本/黒澤道場)
×須田渉(日本/フリー)
2R 2'39" K.O.(3ノックダウン:パンチ連打によるスタンディングダウン)




Last Update : 09/22

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