(コメント追加) [修斗] 9.16 横浜:大石がドロー防衛。五味はブレナンに苦戦
サステイン "プロフェッショナル修斗公式戦" 2002年9月16日(月・祝)横浜文化体育館
写真:飯島美奈子 レポート&コメント編集:佐々木良子 レポート:井原芳徳
【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・修斗スレッド]
メインイベント フェザー級チャンピオンシップ 5分3R △大石真丈(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY/王者) △池田久雄(日本/PUREBRED大宮/1位) 判定 1-0 (29-29,30-28,29-29) ※大石が初のタイトル防衛
大石がドロー防衛。次は同門対決か?
池田が1R序盤からいきなり腕十字を狙うが、大石も下になるとアームロックを狙う。両者スピーディーでチャンピオンシップらしいレベルの高い攻防を繰り広げる。スタンドでは2Rには大石がカウンターパンチを当て池田の目の下から出血を誘うが、池田も的確なローを当てる。3R後半は大石が三角絞めとアームロックの複合技でチャンスを得るが極めには至らず、池田は終了まで守りきった。大石はドローで防衛に成功したが、池田の意志次第で再戦に応じる構えを見せた。さらに次の防衛戦の相手に同門の秋本じんを指名し、秋本もリングに上がり受けて立つことを約束した。
■大石のリング上での勝利者インタビュー 「今日は、引き分けということで、勝ってはいないので、できればもう一度やりたいです。あと、自分はフェザー級は秋本じん選手のものだと思ってるので、秋本選手とやりたいです。」 (リング下にいた秋本リングへ) −−大石選手からご指名がかかりましたが?どうですか? 秋本「やりますよ。当たり前です。」(下りる)
−−フェザー級のトーナメントの勝者が、大石選手の相手に名乗りを挙げるわけですがその相手選手に向かっては何かありますか? 「僕は一言もやるとは言ってないですよ。知らない間に決まってたので、その辺は偉い方と相談したいと思ってます。僕は逃げはしないと思うので、僕に気力があれば…。今回の試合も勝って辞めたらかっこいいかなとか思ってたんですけど…。もうひとふんばりしたい、かな。」
■大石のインタビュースペースでのコメント
−−引き分けでしたね。 「勝ったと思ったんだけど、やっぱだめだね。打撃無視してるから。」
−−相手にポイントを取られたのはどこだと思いますか? 「打撃じゃないですか?ロー(キック)とかカットする気なかったから。左フックだけもらわないように気をつけて、あとは突っ込んでいくだけ。そうすれば勝てるんじゃないかと思ってたんだけど。でも、最後、手も足もパンパンだった。」
−−久しぶりの試合の感想は? 「気持ちの張り具合が全然違った。挑戦する立場と、受ける立場では全然違いますね。今回ダメだったらもういいやと思ったもん。でも、勝利インタビューの(秋本)じんさんの件に関しては、じんさんはこのまま行ったらチャンスもらえなくなっちゃうんで、長い付き合いだから、恨みっこ無しでできればと思うし。フェザー級トーナメントのことについても、僕が優勝者とやるなんて一言も言ってないよってことを言いたかったから、それを言いたくて今回頑張った。」
−−修斗では同門同士の対決がタブーという歴史があるんですけど…。 「それはひとつずつクリアーしていい方向に持っていきたいです。」
−−減量は上手くいったんですか? 「辛いけど、慣れてきた。思った以上に夏場食べないで過ごせたっていうのが大きかったかも。練習はバテバテでしたけどね。」
−−公式戦は10ヶ月ぶりだったんですけど…。 「俺はいつもそんなもんだから…。9年で10数試合だし、去年頑張って3試合やったけど(笑)。ただ、試合をやればやる程、緊張感がなくなってくる自分が恐いですよ。」
−−実際に試合のゴングがなったらスイッチは入ったんですか? 「まあ、入れるしかないでしょう?無様な試合は見せたくなかったから。やるだけやって一本獲られちゃったなら勝負だから仕方ないけど。」
−−池田選手の攻撃で一番効いたのは? 「ボーっとしてる時に下から殴られたこと。俺の手足がパンパンになっちゃったんで(笑)。1R終わったらもうパンパンだったの。今まで、上手い具合に勝ってたから(3Rやる前に勝つか負けるかって試合をしてたので)今回5分3Rフルにやったの初めてで。スタミナ無いですね…。3ラウンド終盤の極めも手足が パンパンだったから極められなかった。まだまだ修行が足りないです。」
−−試合後、池田選手とは何を話したんですか? 「まあ、色々。それは池田選手に聞いてよ。あいつも、色々捨ててきて挑戦してるわけで、挑戦して引き分けで終わるって言うのは一番悔しいと思うけど、勝負だから。」
−−ライト級時代の池田選手との違いはありましたか? 「軽かった。…でももう、昔のことだし忘れちゃったかなあ。実際、池田が先にフェザーに来ていたら、俺はチャンピオンじゃなかったかもしれないし。また今度一緒に練習したいですね。色々、俺が出来ないこととかも教えてもらいたいし(笑)。」
■池田のコメント
−−今、どんな心境ですか? 「負けたっていう実感と、気落ちせずにまたやり直そうという気持ちです。」
−−実際の結果は引き分けですけど、池田さんにとっては負けですか? 「1、2Rは微妙かな…っていうのはあったので、チャンスもあったし、でも判定は無視しなきゃいけないなっていうのがあったんですよね…。だから、3Rでバックブローやろうかなと思って、バック見せたら、バックとられちゃいました。」
−−目の下の出血は気になりましたか? 「分からなかったですね。試合中に止められたけど、大したこと無いのかなと思ってて。」
−−ライト級時代に比べて大石選手の印象はどうですか? 「大石さんも硬くなってたかな…っていうのはありますけど、プレッシャーは強かったですね。打撃は合わせにくい人ですね。ジャブとタックルと同じタイミングで仕掛けてくるんで。」
−−判定を待っている時の心境は? 「3Rにやられちゃったな…っていうのがあったので、負けを確信しながら待ってたというか…。1、2Rは取ったかな…っていう手ごたえもあったんですけど、3R大きく取られたので…。3R途中に大きいミスをしちゃいましたね…。バックを取られた状態から取り返しがつかなかったんですけど、声援が聞こえたので、あきらめないことしか頭に無かったです。」
−−大石選手から再戦の言葉が出ましたが。 「やらせてもらえるならやりたいですね。とりあえず、練習をやり直して、試合でもランキング選手にしっかり勝って次のチャンスがもらえるように積み重ねていくしかないですね。今回こういう大きいチャンスを与えていただいて、本当に感謝してます。」
セミファイナル ウェルター級 5分3R ○五味隆典(日本/木口道場レスリング教室/ウェルター級王者) ×クリス・ブレナン(米国/ネクストジェネレーション柔術/ミドル級10位) 判定 3-0 (30-29,30-28,30-29)
五味、12月タイトル戦前に苦戦
1Rと3R、ブレナンが腕十字で五味を脅かす場面もあったが、五味はインサイドガードからのパンチでポイントを稼ぎ辛勝した。
■五味のコメント
「(インタビュースペースへ来る途中、エンセン井上に祝福され)だめ。KIDさんの見てたから、影響されて打ちに行ったけどだめでしたよ(笑)。(席に着くなり)…うあぁぁぁ。情けない。」
−−試合後のリング上でのインタビューで「情けないです」と言っていましたが。 「減量のせいもあって、集中力が無かったですね。負けは無いと思いましたけど、一本取りたかったです。チョーク(スリーパー)でも腕十字でも、一本取れるチャンスはあったと思うんですよね…。でも、相手にクルクル回られてかわされてしまって…。あれ、すごい苦手ですね。あと、テイクダウン全部で、4回ぐらいとられて…。取られすぎですね。三島選手と体格とかもあまり変わりないと思うんですよ。三島選手はテイクダウンもっと得意だと思うし。でも、なんとか(12月のNKホールまでに)追い込みます。いい試合して必ず防衛して、クリスマスとお正月迎えたいです。あと2ヵ月半、気合い入れてやり直します。 …KOしたかったです。相手の膝蹴りを警戒して、片足タックルを切ることが全然できなかったです。普通にレスリングやればなんでもないんでしょうけど…。あと、自分の体が軽かったですね。後半相手のスタミナが切れてきたのは分かってて、動きはそんなによくなかったんですけど、体が大きいということ自体が武器になっているような感じで。とにかく一本取りたかったし、KIDさん並にやりたかったんですけど、やっぱりKIDさんの方がインパクトありましたね。…あ〜、情けないです。 逆に上から殴られちゃった所もあったから…。タックル来たらどうするか?っていうのは今後の課題ですね…。ボクシングで勝って、レスリングで勝って、グラウンドでしのいでいけば、今日みたいな不安定な試合にならないと思うので…。あとは(ルール改正の影響で)ブレイクのタイミングがつかめなかったですね。だから、今日も勝ちに徹するだけの試合になってしまって、お客さんに申し訳ないですね。」
−−相手のグラウンドのパターンは、今までの選手とは違った? 「ルミナさんとかとは違いますけど、レオ(レオナルド・サントス)とかとは同じです。テイクダウンされた後が弱いですね…。まあ、でもこんなもんじゃないんで(笑)。今はNKで頑張るとしか言いようが無いです。」
−−対三島選手を想定しての試合だった? 「想定というか、いい勝ち方をしてNKに繋げたかったのと、去年応援に来てくれた人に、しっかりやってるってとこを見せたかったので(判定になってしまったのは)余計に悔しいです。だから、NKではしっかりと見せたいですね。もっと動けるはずです。」
−−動けなかった原因というのはなんですか? 「タイトルマッチをやって、普通の試合でのテンションっていうのが保てないです。もう、次こそ防衛戦で…っていう気持ちになってきてたので。坂本プロデューサーにこういう試合を用意していただけて感謝してます。防衛戦もやりたいし、防衛したいし、俺が三島選手より弱いと思っている人がいるだろうし(笑)、いつまで逃げてるんだ?って思ってる人がいるでしょうけど(笑)NKではっきりさせようって感じですね。」
−−正式に、三島選手との対戦が決まった? 「いや、まあ2回も用意していただいて、パルヴァーだとかシャオリンとやりたいって言ってもしょうがないし、三島選手に勝たないと、シャオリン選手にも勝てないと思うんですよね。シャオリン選手やパルヴァー選手は来年でもいいんじゃないですか?」
−−どんな試合になると思いますか? 「自分みたいな人間はやると決めたら、やれるんで、ビールは我慢します(笑)。減量バテっていうのもあったので、もう一度基礎からやり直して、スピードとパワーの両方を付けていこうと思います。あとは、ルミナ選手から獲った大事なベルトもそう簡単には渡さないので、気持ちの勝負になると思います。あばらの2、3本じゃ済まないぞって感じで…(笑)。ベルトを失くした時に泣くのは嫌なんで…。泣くのは、失恋した時ぐらいでいいです(笑)。」
第6試合 ライト級 5分3R ×勝田哲夫(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY/2位) ○山本“KID”徳郁(日本/PUREBRED大宮/8位) 1R 2'45" TKO (レフェリーストップ)
KID、怪物ぶり発揮。だが試合後は両陣営乱闘に
開始前から勝田をにらみつけるKID。ゴングがなるとすぐに組み倒して上を制し、勝田の顔面に重く的確なパンチを落とし続ける。KIDのハートの強さとレスリングで培われた押さえ込みのうまさに、勝田はなすすべなし。最後は勝田の頭がロープを越えた状態でKIDが殴り続けたところでレフェリーストップ。だがその後もKIDがレフェリーの制止を無視して殴り続けたため、両陣営のセコンドがリング内外で小競合いとなり、会場は一時騒然としたが、最後はKIDと勝田が握手し事態は収まった。試合後KIDは「いつもカッとなっちゃう。今はまだ自分のことで精一杯」「もっとスポーツマンらしくなりたい」と反省した様子だった。(→この件に関する修斗コミッションの見解)
■KIDの試合後のコメント
−−倒してマウントからパンチというのは作戦通りだったんですか? 「いや、寝技もあまり練習してなかったんですけど、普段からグラウンドでのパンチは練習していて、打ち方も色々な打ち方とかを教わってたので。でも一番良かったのは、リラックスしてできて、体の力を抜いて臨めたので、パンチがのびたかな?と。セコンドの声もよく聞こえたから、相手が来るのも教えてもらえたし。」
−−テイクダウンからパスガードを狙わずに、パンチを打ち続けようと思ったんですか? 「どうですかね?足関節と三角だけは気をつけてました。」
−−じゃあ、冷静に闘ってたんですね? 「冷静です。」
−−でも、レフェリーストップがかかっても、少し殴り続けてしまったと思うんですが… 「あれは、パンチをしている時に、レフェリーがストップかけたけど、相手の目がまだ生きてて、俺のことずっと見てたから、ここでやめたらまた俺に飛びついて来ちゃうんじゃないかと思って…。だって、失神してなかったじゃないですか?」 エンセン井上「ちょうどリングアウトになるかならないかの所だったから、レフェリーストップなのか、ブレイクなのかが興奮して分からなかったんじゃないかと思うよ」 KID「いっつもカッとなっちゃうんで、まだ試合数が浅くて、もっとこなしていけば自分に自信がついて、礼儀正しい試合ができるんじゃないかと思います。今はまだ自分のことで精一杯だから…。これからは、ちゃんとその練習もします。」
−−修斗の試合には珍しく、セコンドの小競り合いがありましたが? KID「俺が、あのレフェリーストップで冷静になってパンチをやめてればそういうふうにはならなかったんです」 エンセン「今のノリ(=KID)は、もう一人で歩いてるわけじゃないから、応援してくれるファンも多いし、サポートしてくれる人もいるし、ノリが興奮すると、みんなが問題を起こす原因になるから、そういうことをノリは分かって課題としていくべきだね。自分だけじゃないよ。今は。」 KID「もっとスポーツマンらしくなりたいです(笑)」
−−次の目標は見えますか? KID「誰を当ててもらっても大丈夫です。自分より下じゃなく、上のランクの人と やりたいです。今日勝って、これから勝っていけば、勝ちぐせもつくと思うので。」
第5試合 ウェルター級 5分3R ×鶴屋 浩(日本/パレストラ松戸/6位) ○ヴィトー・ヒベイル(ブラジル/ノヴァ・ウニオン/9位) 判定 0-3 (27-30,27-30,26-30)
シャオリンの強さが際立つ試合に
試合開始直後は、グラウンドを嫌った鶴屋が打撃での攻撃を試みるが、シャオリンにテイクダウンを取られる。亀状態になった鶴屋は、シャオリンの片腕をロックし技を容易にはかけさせないものの、空いている片腕から降ってくる打撃に体力を奪われる。2R以降は、終始シャオリンがバックから技をかけにいく状態に。
■シャオリン「バックについてスイープやいくつか関節技を狙ったんですけど、決め技まで至らなかったのが残念です。相手のローの連打には、恐いという意識は無かったけれど、守りに入ってしまったという点はあります。 (ウェルター級いい選手がいっぱいいますが?)ルミナ選手を筆頭に、ライアン他、たくさんいい選手がいると聞いています。12月にまた試合をする予定です。次回は一本を狙いたいです。」
第4試合 バンタム級 5分3R ×マモル(日本/シューティングジム横浜) ○ホビソン・モウラ(ブラジル/ノヴァ・ウニオン) 判定 0-3 (28-30,27-30,28-30)
グラウンド技術の上手さにマモルもお手上げ
「グラウンドでのポジショニングについては本物を体験した」 試合後マモルが語ったとおり、グラウンドではブラジリアン柔術世界選手権王者のモウラが終始マモルを圧倒。マモルもアリ猪木状態からキックで応酬するも、普段の持ち味を出すまでに至らず。
■マモル「本物のグラウンドを感じたって感じです。スタンドでのタックルの持って行き方からして、自分の持ち味を出す前に相手の技量が上回ってたというのが率直な気持ちです。グラウンドのポジショニングについては本物でしたけど、極めについては、総合の試合が初めてという観もありました。でも、負けたことと同時に3Rフルに殴られたことも悔しいです。 また自分が一番になることを考えて練習します。自分で言うのもなんですけど、今のところ、2階級制覇を狙えるのは僕が一番可能性があると思ってやってるんで、モウラも修斗でタイトル狙うならば、いずれはまた当たると思うし、その時は向こうも強くなってるでしょうけど、僕もチャンピオンになることを諦めてないんで頑張ります。」
■ホビソン・モウラ「ブラジルで練習してきた成果を出せたと思います。相手のマモルについては体の柔らかい選手で、すぐに技を交わされてしまうという印象を受けました。相手もかなり手数の多い選手でしたが相手の動きがよく見えたので、打撃でも負けることは無かったと思います。次回、試合ができるのであれば、今回見せられなかった技を見せたいです。また戻って来れるように更に練習を重ねたいと思います。」
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