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April 2008

【Fight Result】K-1 WORLD GP 2008 IN YOKOHAMA グラウベ・フェイトーザvsアレックス・ロバーツ

FEG "FieLDS K-1 WORLD GP 2008 IN YOKOHAMA"
2008年4月13日(日) 神奈川・横浜アリーナ

 第5試合 3分3R(最大延長2R)
 ○グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館/99.4kg)
 ×アレックス・ロバーツ(米国/シュートボクシング 空柔拳会館/103.9kg)
 2R 1'58" KO (左ハイキック)
  

いやあ、やられました。
「完敗」と言って良いと思います。

手数、一発一発の強さと正確さ、相手を見る冷静さ、勝負の組み立て、どのパーツを取ってもアレックスが勝った要素が無い。

タイプがそっくりなだけに、逆に“格差”がくっきり見えてしまう残酷な試合になりました。今回グラウベ選手が見せてくれた試合は、本来アレックスがやらねばならない事だったと思います。

パンチより蹴りを得意にした空手家同士、ハイをフィニッシュブローに持っていて、インファイトではヒザを中心に崩していくタイプ。一見ひょろっとしていて、力強さを感じさせないが、実はパワーがあって、KOが多い。弱点はスロースターターである事で、先にダウンを取られてから、ガンガン追い上げるタイプ。

右と左の逆はあっても、まったく鏡像のように同じタイプ。
今回僕らはボクシング勝負で、蹴りは中盤まで出さないでパンチで追い込んで行こう。ブラジリアンキックの飛んで来る中間距離に入らず、とにかくヒット&ランでメリハリのある試合をして、スタミナ勝負で行こうと考えていました。

ただ、当日のアレックスは慣れない大舞台に緊張していたこともあって、結局インファイトでパンチ勝負より、自分の得意なヒザに頼ってしまった。首相撲に制限のない従来のキックルールならともかく、ホールドが御法度のK-1ルールですから“つなぎ技”にしかならない技なんですよね。頭ではその事が判っていても、試合と言う急場ではそれが出来ない。

ーー要するに弱い。

そしてさらに誤算だったのが、グラウベ選手のパンチの技術が想像以上に向上しており、アレックスが制さなければならないパンチ勝負で、ことごとく先手を取って来た事。キチンとクラウチングの構えでアゴだけ守って、早いパンチを出して来たグラウベ選手に対して、アレックスは相変わらず頭を抱え込んでしまうフルガードだったので、どうしても手が遅れます。もちろんブラジリアンハイキックが怖いという心理がそうさせるんですが、インに入った時には来るはずの無い武器なんですから、そこでもう心理戦に負けてるんですよね…。

一個トリッキーな対策として、左手をアゴの前から回して右の後頭部に持って来る“襟巻きガード”という作戦もありました。

これならアレックスの得意な右のパンチをフルタイム自由に使えるし、これで右ジャブを重ねながらインに入って、強い一発を当てておいて、フィニッシュブローの右ハイにまでつなげるという展開を考えていました。これが実行できていれば、勝負を分けてしまったガード下からのアッパーも貰わなかったでしょうし、全然展開も違ったと思うんですが。

ただ相手の技量を見せつけられて、その渦中でトリッキーな作戦に走れるほど、アレックスの気持ちに“自由度”が無かったですね。

場の雰囲気、相手の力量に気圧されて、ガチガチに固まってしまって。要するに“飲まれて”ました。そう言う時人間はどんどん萎縮して、自分の一番得意なものだけにしがみついてしまう。逆に窮地で“冒険できる勇気”を与えるものが、自信なんですが、今回の彼にはそれがなかった。

だから完敗なんですね。

さて、ゼロから作り直しです。
やるべき事が沢山見えた試合でした。

グラウベ選手も最初K-1に上がったときは、当時ピークを誇ったマイク・ベルナルド選手、佐竹雅昭選手、アンディ・フグ選手らKのトップ選手にメタクソにやられて三連敗の苦杯をなめた過去が有りますからね。その彼が、五年を掛けて、今やK-1の頂点五本の指に入る強豪になったわけです。じゃ、我々は彼が歩んだ道を道を真っすぐ上がって行けばいい。

良い目標、よいモデルが出来ました。

さらに調べて見ると、彼とは三歳の年齢差(誕生日まで近くて、グラウベ選手が4月9日、アレックスは11日。ちなみに身長体重もほとんど同じですから、どこまでそっくりなんだ?ってかんじですよね(笑))。

ならば、三年以内にアレックスは、今日の力強いグラウベ選手の高見まで駆け上らなきゃいけないことになります。その期間をどれだけ充実させ、短縮させるかが、僕らの仕事でもあります。ーーマネージメント的には、順調に駆け上がってくれるより、こういうアップ&ダウンが有った方がむしろ燃えますね。(張り切り過ぎてて、周辺には「アレックスが負けて、うれしいんじゃないの」とか言われちゃってますが(笑)。)

その意味で、この見事な対照の妙とドラマを作り上げてくれた谷川プロデューサーには、最高の賛辞を贈りたいし、感謝に絶えません。

でも、絶対逆襲してみせますからね。
谷川さんにも、グラウベ選手にも。


ということで、今日からリスタートです。
応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
これからもがんばります。
今後とも、アレックス・ロバーツの応援よろしくお願いいたします。
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【Fight Schedule】“S”の闘魂伝承

ついに24時間を切ってしまいました。
明日、アレックス・ロバーツが、いよいよ念願のK-1のリングに上がります。



ここまで、長い道のりであったような、あっという間でもあったような不思議な気分です。

今日は、お台場のフジテレビ特設ステージでのK-1の直前会見に
立ち会って来たんですが、なんか頭の中は回顧モードに入っちゃってて。五年前、多摩の山奥の今は亡き格闘技ライブハウスz-zoneで彼の最初のMMAの試合を目撃したんですが、そのバックステージで「総合じゃなくて、K-1を目指す気はないの? 絶対そっちの方が向いてる気がするんだけど」とか、いきなりスカウトに乗り出した時の光景なんかが、ふっとよみがえって来たりするんですよね。

なんか、今日のワタクシは非常にセンチメンタルです(笑)。

その一方で、明日の試合に関しては、妙にクールな気分の自分も居たり。いつものような「何が有っても勝ってくれよ」みたいな角度の深い気持ちは、今回何故か感じないんですよね。

毎回毎回、彼の試合は感情移入が過ぎちゃって試合の前日は夜も眠れなかったりするものですが、今回はまったくそれがない。むしろなんか妙に楽しみと言うか、自分がこれまでサポートしてきたアレックスと言う選手が、極真の大看板を背負ったグラウベ・フェイトーザという、巨大な壁にどこまで通用するのかが知りたい気持ちだけが強くて。ある意味、勝っても負けてもそれはどっちでも良いや、みたいな。いつもの身内びいきな心理はほとんどない。



もちろん、アレックスに勝って欲しい気持ちはあるんですが、それよりも純粋にどんな試合になるかが楽しみだし、興味深い。勝つにせよ、負けるにせよ、今回は素直にその結果に向かい合えそうな気がしてます。

正直、もうこのワクワク感はマネージメントの人の心理じゃないですね。無論、第三者的な記者の心理でもないし、強いて言うならホントにフツーのファンの気持ちに近いんじゃないでしょうか。

毎回毎回記者としてはK-1に対して非常に厳しい言葉を吐いて来た僕なんですが、今回の谷川さんの組んだカード編成には、一本を取られた気がしています。今回は大会全体に“力”が感じられるし、一つ一つのカードに非常に訴求力が有るんで、なんかケチを付ける気もしないし、自分のところの選手がどうのこうのという私心の入り込む余地がないんでしょうね。

強いて、私心の部分をいうならこのラインナップの中に、アレックスが名前を連ねる事が出来た事に、非常に幸福感を覚えています。

明日は記者だから、マネージャーだからと言う肩書きを全部横に置いて、格闘技を愛する人間として大会を楽しませてもらおうと思っています。

仕事として格闘技に関わり始めて十数年、心理的にくるっとひと回りしちゃったんでしょうか。今更こんな初々しい心境になれるなんて、自分でもちょっと意外です。

ーーーーーーーー

さて、この試合が決まってからの一ヶ月、アレックスは丁度本職の小学校教師の仕事が春休みで、非常にいい準備期間を過ごす事が出来ました。グラウベを想定していろんな特訓もやったのですが、一応その内容は“企業秘密”ということにしたいと思います。(うまく試合でその内容を披露できたら、また“種明かし”することもあるかもしれませんが)



写真は、大会直前に特訓の成果をシーザー会長に報告に行った際の光景です。

普段、アレックスは空柔拳会館の土田館長の下、連日みっちり練習を積んでいますので、シーザージムにお邪魔する事はないのですが、やはり今回はSBの看板を背負わせてもらってのK-1参戦ですから、最後は会長太鼓判を頂いてリングに上がりたい。そこでお忙しい会長に時間を割いていただいたという次第です。

最初は軽くスパーを見ていただくだけのはずだったのですが、会長もやはり血が騒いだのでしょう。次第に熱が入って来て、最後は御大自らリングに入ってご指導いただく事が出来ました。

まさに“Sの闘魂伝承”の一瞬でした。

4/4のSB後楽園大会のリングでアレックス自身口にしていた事ですが、プロとしてのSB戦績がたった一戦、直属ジムの人間でもない彼がSBを代表する立場に立っていいのかどうか、僕らとしても忸怩たる部分が有るのも確かです。しかし、この日シーザー会長はそんな事をおくびにも出さず、“身内”として遇してくださり、暖かく「みんなビビって下がるからあのキック(ブラジリアンハイキック)が当たっちゃうんだ。気持ちで負けずに前に出れば大丈夫。アレックスなら絶対勝てるから」と背中を押す言葉を掛けていただきました。

まったくその通りだと思います。
技術的な話になりますが、あの蹴りは見えない角度から縦に大きな円を描く軌道で落ちて来ます。虚をつかれた相手が反射的に後ろに下がってしまうから、いい具合にアゴや頭を直撃してしまう仕掛けになっているのです。だから“来た”と思った瞬間にあえて下がらず、前に突っ込んで行けば、ブラジリアンハイキックは実は当たらないのです。



シュートボクシングのトップ選手の特徴は、“突貫精神”だと思います。打たれても打たれても前に出てガンガン打ち合う気持ちの強さがある。それはかつての吉鷹弘選手、村浜武洋選手はもちろん、緒形健一選手、宍戸大樹選手、そして海外のアンディ・サワー選手にも共通しています。

4/4のリング上でアレックス自身が口にした、「サワー選手や緒形選手のように、K-1のリングでシュートボクシングの魂を見せたい」という言葉を実行すれば、それはそのままグラウベに対する最大の武器になると思うのです。

ですから、今回舞台はあくまでK-1のものですが、アレックスはこの試合で“Sの魂を受け継ぐ資格”を試されるのだと思います。その意味で、この試合は僕らにとってあくまで“シュートボクシング参戦二戦目”なのです。

さていよいよその瞬間が近づいてきました。
最初に『今回はヘーキ』みたいな強がりを書いてみたんですが、やっぱり、ドキドキしちゃって今夜も眠れそうにありませんね…(笑)。
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