Hideto Ida's Blog 〜 時に放浪、日々朦朧 〜

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06/02  スポーツ以外の「戦い」なんか、金とって見せるなっつの / [contact sports:格闘と葛藤]
今月のAll Aboutに書いた「K-1パリ」と「武士道」の記事の二本は、興行の出来不出来みたいな部分に触れてる分、カチンと来た読者の人も多かった模様で、早速掲示板にも「勉強しろ」とか「滑稽」とかキョーレツな事書かれたりしてますね(笑)

そもそも、毎回毎回あれもこれも盛り込みすぎて、最終的に何が言いたいかよくわかんなくなる俺の作風が悪いんですけど(笑)。

ただ、なんだかんだ言ってあのコラム自体、他所のお座敷ではあるんで、各方面に迷惑かからないように「こーゆーところはファンからするとこう見えるけど、こっちから見りゃあんな事情があって、そっちから見るとこんな事情もあって、そこそこ悪いばかりではないわけだが、でも言ってみりゃちょっと残念だ」みたいなノラクラ文体で、ワザと回りクドく書いてたりもするわけですよ。

ま、狂犬ブラザースの相方である、某矢作先生みたいに毎回実も蓋もない超豪速球で物言ってたら、この業界に居場所無くなっちゃいますしね(笑)

ただ、あんまマジメくさっててグネグネしたあの文体が好きじゃない人には、微妙なニュアンスが伝わりにくかったかなーとも思ったりもします。てなわけで、ちょこっとだけ自分んちの庭でぶっちゃけのトコをフォローしときます。





で、早い話、あの二本は全く同じ事を書いてる訳です。
ヒトコトで言えば、タイトルの「スポーツ以外の「戦い」なんか、金とって見せるなっつの」ってことです。ホント、そんだけ。

理由? 面白くないから。
そんなもんを地上波で流されて「あんなので喜んでる格闘技ファンなんて、やっぱ幼稚なアホだよなー」とか、一般のスポーツファンから後ろ指指されたくないから。

バンナvsアビディの場合なら、遺恨メインの売り方がいかにもワイドショー的でくだらない、と。いつまでそんな古くさいことやってんの? って思いませんでした? 

一時期のK-1の記者会見でおなじみになってた、ヤラセのいがみ合いとどー違うんだと。ガチで犬猿の仲だろうがなんだろうが、関係ないんですよ。それをメディア側がことさらに強調するってことは、結局、「格闘ファンなんか知能低いでしょ。いがみ合い見て喜んでる野蛮人でしょ」って見下されてる証拠なんですから。

第一、この二人の試合に、そんな雑音ばっかりで味付けして、もったいないなーって、思いませんでした? 

俺は思いました。
悪口言ったの言わないの、犬猿の仲だのなんだのって、いいオトナがそればっかりうるせーよと。PRIDEの方でやるとかやらないとか言ってる、田村vs桜庭だって、因縁自体は結構。それも、ちょっとした味付け程度の扱いなら良しとしましょう。でも、最終的に、外野が他人の好き嫌いの事情にギャーギャー言ってもしょうがないじゃないすか?

ズバリ言って、あなたが金払って見るのは「いがみ合い」ですか?

試合でしょ? 
技術でしょ?
攻防の妙でしょ?
スポーツでしょ?

ワイドショーじゃねーんだぞ、と。
腹に一物ある同志、選手は確かにヒートアップはするでしょうよ。
でも、それは当人たちの気分の問題でしかない。
あくまで、彼らが試合で、得るものはあくまで「勝ち一個」じゃないですか?
K-1が、あくまでコンペティティブなスポーツであるためには、「それ以上」にも「それ以下」にもなっちゃいけないんじゃないか? って思う訳です。

まーったく裏事情に興味がないファンが見ても、試合の中身の魅力がちゃんと伝わるやり方もちゃんと残しといてくださいよと。そう言いたいだけなんですね。

本文でも書いてるんですが(絶対読み飛ばされてますよね(笑))、コレがワンマッチでなくてGP一回戦って設定だったら文句ないわけです。

バンナを倒しても一勝。アビディを倒しても一勝。で、シュルトを倒しても一勝。TOA倒しても、マーベリック倒しても一勝。凸凹はあっても、積んで行く戦績で、選手の扱いが決まる。

トーナメントっていう計測装置は特にそうでしょ? 
無敗=チャンピオン、一個でも負けたら「その他」なんだから。

でも、それがスポーツじゃないですか?
なのにワンマッチに特別な味付けして、一つ勝ったらGPに出すとか出さないとか言っちゃったら、もうそれはインチキだし、GP全体の価値が下がっちゃうんじゃないの? と。

でも、多分それじゃバンナもアビディもやんないすよね。メリットがないから。

一回片がついた喧嘩を公開でやるとなると、両方得が無い。バンナはもう一回負けたら恥の上塗りだし、アビディも勝った喧嘩の結果をひっくり返される可能性がある。だから普通ならやんないわけですね。

でも主催者は話題性があるからどーしてもやりたい。
だから、GPへの出場権ってニンジンをぶら下げた訳じゃないですか?

三回勝たなきゃ出れないところを一回で出してもらえる。
そこがおかしいよと言ってるだけなんですね。
へとへとになってやっとGP出場権勝ち取ったシュルトの立場はどうなるの? って、そう言いたかった訳です。

今年の頭に一回反省して、競技性重視ってことでCIまでやって、ファンの信頼を取り戻そうって時に、またそんなトコで変な事してまで視聴率取りに躍起になってどーすんのと。

度量の小さいエゴ丸出しのフランス人同士のせせこましいいがみ合いを、さも凄い事のように拡大して言い立てるのも、ロクに競技に適合していない格闘タレントの昔の御威光をいつまでも有り難がるのも、うすらデカイ木偶の坊をリングに上げて、ゴングが鳴るまでの消費期限で「凄い凄い」と盛り立てるのも、全部根っこは一緒でしょ?

そういう話です。




で、武士道の方にだって言いたい事は、あんまり変わらない訳です。

DEEP、修斗、パンクラスのトップ所を集めてオールスター戦にしました。
でもこれって四番打者ばっかり並べた巨人とか、世界のスター選手かき集めたレアルマドリッドと同じだなあと。

野球で言うなら一番打者には一番打者の役割があって、四番ばっかり集めたってしょうがない訳です。PRIDEというブランドは確かに顔ぶれの豪華さで売って来た部分があるけれど、有明の興行に関しては、その全ての選手が“巨人のユニフォームを着て一つのグラウンドに立ってる”意味がわかんない、と感じた訳ですよ。

PRIDEオンリーのファンからすれば、一枚のチケットでコレだけの顔ぶれが見れたら、それだけでうれしいじゃん? って話もあるでしょう。

でもね、僕は逆にそれだけだったら、全然面白いとは思わない。
野球でもサッカーでもオールスター戦やりますけど、でも、ホントに燃える試合をやってくれてるかと言えば、そうでもない。お祭りに過ぎないわけです。にぎやかだけど、全体に、そして個人に「テーマ」がない。

だから、賭けてるものが伝わらない。
選手はいつも、どんな相手にだって一生懸命でしょうけど、やっぱ仕組みとして設定されてないものは、ファンの目には見えないスよ。それは主催者の仕事でしょ?

例えばサッカー日本代表の試合は、負けたら四年に一回国の旗背負って世界中の代表が闘うワールドカップって舞台に出られないというギリギリの条件が設定されてて、そのテーマ性がファンを巻き込む訳です。

同じオールスターチームでも、明らかにJOMOオールスターと日本代表じゃ違うじゃないですか。勝たなきゃ意味がないから、そのためにはカズだって切られたし、中田だって招集されない事がある。下手すりゃ監督はクビになる。いつもギリギリだから、抱えてる物が見えるから、ファンだって自分の経験に照らし合わせて感情移入が出来るんだと思う訳です。

好きで仕方がない人間だけが楽しめる「トリビア」や、全然興味がない人間を誘い込むための「スキャンダル」なんかどーだっていいんですよ。

会場で、試合で、リングの中だけで完結していく「スポーツの物語」を育てて行かない限り、格闘技ブームなんて先細りになるだけだと思います。このジャンルがずっと続いて行くメジャースポーツとして認知されるためには、まず十年二十年と、リングの上の競技だけを、真摯に楽しめるオトナのファンを作り出していく必要が絶対ある。

僕が言う「テーマ性」ってそう言うもんです。
競技の中心にある「本質」とがっちり噛み合って、スポーツの部分だけで、そこで行われる試合の勝敗一つで、ちゃんと観客が興奮する事が出来る条件付けがあるかないか、を問題にしてるわけです。

その意味で、今回の武士道にはそういう充実感が得られなかったと感じたから、その角度から意見を書いたんですけどね。

ファンは「Hero's」に勝とうが負けようが、ホント関係ないんすよ。
抜いた抜かれたもね。面白いなら両方見るし、くだらなきゃどっちも見ない。それでいいじゃないですか? 

そんな「戦い」見たくて、格闘技ファンやってる人間ばっかりじゃないでしょ? 

顔見せ興行のにぎやかさ以上の物を、そして「Hero's」へのライバル意識だけで構成したのではないラインナップを、そして一つ一つの試合にもっと武士道ならではの、主張のあるマッチメイクを考えてください、と。もっと客を信じて、自分たちのブランドにも誇りをもって、ライバルじゃなくもっと足下を見てもらえませんか? って事をね。

その辺、PRIDEに限らず、イベンター全般に、「なんか力入れるポイントがちがいませんか?」って言いたくなる事が多いんですよ、直に取材してみると特に。

PRIDEラブな皆さんには申し訳ないですが、そう言う事を折々に指摘して行くのが、逆に“プロの書き手としての公平な視点”だと思ってます。





さっきもちょこっと書いたけど、"遺恨のサイドストーリー"なんてマニアだけが喜ぶ「トリビア」に過ぎないし、"顔ぶれの豪華さ"なんかも、逆に競技になんかまーったく興味のない一見さん向けの「幕の内弁当」でしかないわけで。とりあえずど真ん中の「競技」にあまり集中できない層を、引き寄せる材料じゃないんですか? そういう要素ばっかり並べて「格闘技ブームだ」とか言うのはもうやめましょうよ、と。それが、All Aboutの二本の記事で僕の書きたかった真意なんですね。

スポーツファンってのは、競技自体のゲームとしての面白さと、その勝敗のシーソーで争われる“価値観”に注目するもんだと、僕は思ってます。

格闘技は単なる興味本位の見せ物であって欲しくない、
コンペティティブなスポーツとして世界中のファンに浸透して欲しい。


そう思って僕はばうれびを始めた訳ですから、それが「偏見」だと言われても、僕の作る誌面はその方向性で“きっちり”傾いてます。

それがウチの「テーマ性」ですから。
競技をないがしろにして、他の付け足しの話題性ばっかりのスポーツ新聞みたいな記事も書きたくないし、データばっかりの無味乾燥なレポートもヤなんです。

格闘技の、試合のこういう所が素晴らしいから注目してくれ。
こういう運営の部分が問題で、コンペティティブになってない気がするから、ココは注意してくれ。

それを生の目で見て、可能な限り事実も集めて、さらに長年現場に居た経験と知識を通して、最後は自分の皮膚感覚で言う。
傍観者ではない立場に身を置いて、逃げを打たないで言う。

そうやって「自分の意見」を世間に届けるのが、媒体やる意味でしょ? 

単に、何分何秒に誰がどんな勝ち方しましたってのを、文章で実況中継するのが「公平中立」だとは、微塵も思わないですから。もし、どーしてもそういう物をご所望なら、試合のPPVを音声消して解説も実況も聞かずにご覧になっていただきたい。

それ以外の、井田なり、井原なりのフィルターを通しての格闘技観が面白いと思っていただけるようであれば、今後ともよろしくご愛読ください。それがばうれびっちゅう「媒体」です。

無論、オープンの掲示板だってやってますから、それ以外のご意見ももちろん賜りますが、言いなりになるとも思わないでいただきたい。

ワタクシはそう言う経営者ですし、そういう物書きでございます、ハイ。

ええ…たまに体重とかは間違えますけどね(笑)

投稿者 井田英登 at 19:13


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