昨年末All aboutに掲載した、矢作祐輔氏との対談記事「恒例・狂犬ブラザース年末格闘技大放談2004~格闘ブーム裏事情メッタ切り」には結構多くの反響がありました。業界内部/外部からいろいろな反応を頂き、ありがたい限りです。タブーとされる興行の内面や、選手マスコミに対するシビアな発言も含んだ内容でしたので、決していい反応ばかりでもないですが、今これを言っておかねばという使命感もあり、少し頑張ったつもりです。
大晦日の年越しイベント中継も高い視聴率で迎えられ、現在格闘技界はK-1、PRIDEの二大メジャーを中心に一種安定期に入ったようにもみえます。一方、その影で多くのひずみが生まれつつあるのも事実。いわゆる後楽園から下の収容数の会場で活動する団体は、インディ的な位置づけを余儀なくされ、人材や顧客を二大メジャーに吸い上げられて、興行的にも苦戦が続き、独自性をどんどん喪失している現状です。
ですが、本来格闘技の競技性を維持し、コアなファンの需要に答えて行けるのは、インディクラスの団体のはずであり、格闘技ブームがいたずらな大衆化で「芯」となる部分を失わないためにも、インディシーンの活性化が絶対必要である。そうした意図をこめて作成した記事でした。
ただ一カ所、その意気込みが強すぎて筆が滑った部分ありました。
和術慧舟会とK-1との交流に関する記述です。
僕は、複数の関係者から「2月9日に代々木体育館がK-1によって押さえられていて、興行を実際に行うのは慧舟会になりそうだ。選手にも出場打診が行われている」という情報を得ていました。そして、「Dynamite!!」出場の決まった秋山成勲、曙、そしてK-1ファイティングネットワークと銘打たれた「Ramble on The Rock」に出場したアマチュアレスラー・宮田和幸など、K-1の肝いりでプロ転向した選手の多くが慧舟会で総合の練習に励んでいる事実。加えて、12月の修斗代々木大会を対戦相手の怪我で欠場した宇野薫が「Dynamite!!」にシフトする形で試合を行った事。以上の材料を総合して、今後、K-1と慧舟会の交流が密接になるのではないか、という発言を行ったわけです。
僕個人、このところ判定などの面で競技性に揺らぎが見えるK-1には、その路線を修正してくれる外部的要因が必要だと思っていた矢先でした。また総合路線で選手を集めているにもかかわらずその受け皿となるイベント開催ができていないこともあって、そこに競技性に一家言ある慧舟会が助っ人として手を貸せば、K-1の持つ本来のメジャーパワーが十分発揮できる展開になるのではないか? そう考えて、正直ワクワクしていたのです。
ただ、ワクワクしすぎて、裏取りの詰めをしないまま、公に発言してしまった。これが真相です。
一ファンの妄想ならともかく、ジャーナリストの発言としては大失敗です。諸処の材料はともかく、最後の結論に至る論証や、裏取り取材を怠ったまま記事にしてしまったわけですから。
正月3日に、当事者である和術慧舟会・久保代表から事情説明を求める電話があり、以上のような事情を伝えました。当然、取材不足の問題と、記事のトーンに付いて不快感を表明されました。
ここでもう一つ僕は失敗をしている事に気づきました。
記事の中で、僕の発言はあたかも慧舟会がK-1の下部団体として取り込まれるようなニュアンスで語っていること、あるいは宇野選手の参戦をK-1との取引材料にしたように語っている事。これは、本来どこの団体とも対等に外交してきた、慧舟会の姿勢を根本から踏みにじるような物言いです。実際、僕は久保代表から直に「選手を上げてくれる団体とは、どことも公平に話すのがうちの姿勢。どこにもおもねらないし、どこの派閥にも属さない。それがウチのプライド」というお話を伺っており、非常に共感もしました。それだけにやってはいけないミスでもあったのです。
僕は、デモリションがスタートした当初、このイベントの革新性を絶賛した記事も書きましたし、3月からスタート予定のケージを使った新イベントDOGも全面的に応援するつもりだったので、慧舟会には非常に深い思い入れもあります。それもあって、表面的な構図が作る“バラ色の未来”に浮かれて、慧舟会本来のイズムや立場を無視したいい分を連ねてしまったのでした。
翌日、東京に戻った僕は、宇野選手と久保代表の元を訪ね、取材不足と舌足らずだった記事内容に関するお詫びをしました。そして数日をかけて慧舟会を貶める意図が無かった事をご理解いただいた結果、今後も変わりなくおつきあいいただける事になりました。またその後、K-1谷川プロデューサーとも電話でお話しし、お詫びと事実確認を行いました。
では、一連の話し合いで判明した事実をここにお知らせしておきます。
・ 2月9日代々木のイベントに関しては、当初K-1がMAX用に押さえたものだが、有明コロシアムのMAX日本代表トーナメントに企画が移行した。
・ 慧舟会はその会場使用権を譲渡するということでK-1から提案を受けたが、開催までに時間が少ないこともあり断った。
・ 秋山、曙の練習はたしかに引き受けているが、提携を意図したものではない。特に宮田の場合、RJWの矢野倍達と親交があり、二年前から既に出稽古に来ている。K-1を通しての依頼ではない。
・ 宇野の「Dynamite!!」出場は以上の話とはリンクしない、単体でのオファーだった。今後も宇野は修斗、UFCでの活動を希望しており、K-1専属になるといった契約は一切無い。
さて、今回の件で何より僕が恐れるのは、Boutreviewに対して慧舟会やK-1から不当なプレッシャーが掛けられたのではないかという疑惑が生じる事です。確かに久保代表は巷間でなにかと強面の印象で語られる事の多い人ですが、決してそうした噂で語られるような無頼漢ではありません。むしろ理の通るまで徹底的に話し合いを行う知的な人物です。古風なロマンチシズムを感じさせる生き方が、時に誤解を生むのかもしれませんが、僕から見て、これほど筋の通った考え方をする人も珍しいと思います。今回の抗議でも、一方的に僕を追い込む事はせず、徹底して言い分を聞いて頂きましたし、こちらも十分納得した上でお詫びをしたつもりです。メディアに対する不当干渉でもなければ、圧力でもない。これだけは断言しておきたいと思います。
谷川プロデューサーも「聞いてもらえば何でも答えますから」と取材者の立場を尊重してくださっており、非常にありがたく感じたました。普段からK-1に関しては、何かと舌鋒鋭く切り込まねばならない事が多く、今回の原稿でも多くの部分をK−1の体制批判に筆を割いています。それでも、決してその批判者である僕を煙たがったりせず、きちんと対応してくれた、谷川氏のリベラルな態度に関して尊敬の念を感じました。
いずれにせよ、ご迷惑をお掛けした慧舟会ならびにK-1の関係者、そして読者の皆様には、この場で再度陳謝の意を表明したいと思います。今後こうしたミスを二度と犯さないよう心に刻もうと思っています。
とか、「メリクリ」とか言うのはいい加減止めやがれ、と思う新橋体質の私ですが、BoAの新曲がそう来てたら、ちょっとヤられたと思うかもしれない(笑
ということで、改めて
全国の格闘ファンの皆様、新年あけましておめでとうございます。
大晦日のイベント、僕は「 Dynamite!!」担当。
K-1系は久しぶりの会場取材。結構関係者に驚かれたりしていましたが、発見が多かった事も事実。やっぱりもっと現場に顔を出さなきゃなと、思ったりしました。
リングの上の事に関してはレポートに譲るとして、やはりこのスケールのイベントを遺漏なく運営する手腕、底力には素直にリスペクトを。
レポーターとして、問題点を書く筆を緩める気は一切ないんですが、じゃK-1が無くなってしまえとか、潰れてしまえとか思って書いてる事じゃないんで。むしろ、“無くてはならないもの”と思うから筆圧を上げて書いてる、って意識ですね。そこだけは誤解無く>関係者の皆様。
実は前日もほぼ貫徹でオールアバウトの年末原稿を仕上げたりしてたんで、すごく体調はキツかったんですけどね。5万人がリングの上の光景に、一喜一憂するスケール感は、やはり得難いもの。特に魔裟斗とKIDの試合は、TVでは絶対に伝わらない、ファンの感情のウネリみたいなものを実感できて、アンテナがすごく鋭微になった気がしました。行ってよかった。
結構がんばって、会場とインタビュールームを行ったり来たりしたんですが、宇野君の口から「UFCと修斗へのこだわり」を聞けたのは収穫。年末の代々木出場が消えて、彼の気持ちがどこにあるか見定めきれない気がしていたんで、直にそれを聞けたのは特にココロに残りました。もちろんKIDと魔裟斗のストレートなコメントもね。
おかげで二連チャン徹夜のレポート書きをやっちゃって。年寄りの冷や水もいいとこですな(笑)。普段、ウチは速報媒体じゃないって居直ってるんですけど、やっぱり書きたい事があったときは感動が蒸発しないウチに書いちゃいたいんですね。ま、いつもじゃないんで、毎回期待されても死にますが(笑)
あ、それとさっき掲示板を見て、魔裟斗戦のレポートに異論という書き込みがあったので、ここで僕なりのご返事を。確か、「ジャブを振ってローに入るのは定石なんで、金的の原因じゃないでしょう」とのご指摘。
>スローモーションで見てみると、魔裟斗は問題の一撃を放つ瞬間の前に、
>瞬間猫だまし風に左の拳を上に薙(な)いでフェイントに使っている。
>細かく出入りするKIDの前進を牽制するための動きだろう。だが、その余
>分なワンモーションが、その次に来るローの精度を下げたのではないか。
>その無駄なモーションの分、標的は内股から股間にずれたのだ。
って一節ですね。
あのパンチが内軸で振られた「通常のジャブ」ならおっしゃる通りなんですけど、手の甲の方に振る外向きのアクションだったんで、あえて僕もジャブとは書いてないんですよね。
なんて言うのかな、実も蓋もない言い方をすれば「ハエを追い払う」動きっつーか、回転しない裏拳っつーか、漫才師の突っ込みの「なんでやね〜ん」の手というか(笑
当然、次に出すローと反対の回転のアクションになるんで、一連のコンビとして自然な動きにはならないだろうと。
なんで普通のジャブではなく、そういう動きになったか。
そこに心理の綾を見た気がするんですね。
魔裟斗は、出入りの早いKIDの右をすごく意識してたし、その動きを止めるためのフェイントでしょ。右がカウンターで来てもパーリングとして払える動きでもあるわけですよ。そっちに気持ちが行っているという所に、コンマ数秒の気持ちの“揺れ”みたいなものがあるのかなと。
まあ、正直に魔裟斗が手の内を明かしてくれる前提でじっくりビデオでも回して検証作業をやれるなら、“答え合わせ”も出来るんですが。
とりあえず、そんな感じで考えて書きました。
どうでしょう?
こういう議論は好きなんで、どんどん意見を聞かせてください。反論歓迎。どんどんお話ししましょう。もちろん褒めてもらうのも大好きです(笑)
あ、それとオールアバウトの年末放談、矢作@格闘ライター引退先生とまた好き放題危険な話してます。お年玉がわりに笑ってください。
http://allabout.co.jp/sports/k1/closeup/CU20041231A/index.htm