Hideto Ida's Blog 〜 時に放浪、日々朦朧 〜

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03/19  鬼哭啾々:KAWADE夢ムック「中島らも読本」 / [library:涜書]
■故人を知る人のコメントの大半が「彼らしい死に方」的なトーンの、諦め半分、微苦笑半分のコメントでまとまってる中で、吉村海坊主こと吉村智樹がただ一人「もう誰も酒を飲むな」と泣き崩れたような文体で、遺された者の痛切な苦悶を表明している。刺のように刺さる一文で、異様にリアルでもある。

ファンの立場から誰かを見上げてしまった人間の、愛憎相半ばした、胸をかきむしるような想いが伝わる。これ読むだけでも、お値打ちの一冊。

対照的だったのは、モブノリオの作文。対象が見えていないし、書くべき事も何も無いのがミエミエ。そもそも文学賞に屈折しまくったルサンチマンのあった中島らもを、なんで彼に語らせたかったか、この部分に関しては編集者の意図を疑う。はっきり言ってしまえば「場違い」。

例えて言うなら、「たこ八郎の弔辞をアイドル歌手に読まれてもなあ」…って感じ。

■河出書房のこのシリーズでは内田百間、岡本綺堂、山田風太郎、山口瞳、中上健次なんかの懐古特集ものがよくて、ポロポロ読んできたんだけど、改めて考えてみると「a guidebook to young persons about dead writers」って感じで物故作家ばっかりなのね。らも氏の登場もその路線?

そういえば、大昔に別冊新評とか、別冊面白半分とかの作家読本があって、その流れもあるだろうね。びっちり一冊作家の特集する雑誌ってありそうでないから。アレは当時の現役作家ばっかりだったけど。

で、このシリーズの面白い所は、作家にこだわらずにプレスリーとかジミヘン、植村直己なんかも取り上げてる所。らも氏はまだ仏さんとしてはホヤホヤだけど、死人特集のシリーズと見ればフォーマット的には正しい訳だ(笑)。

物故つながりなら、70年代に河出のスター作家だった広瀬正とか、あと開高健に半村良とかもやって欲しいなあ。だんだんそういうのが重なって「死んだらKAWADEの夢ムックで特集されたい」みたいなのが作家の夢になっていったりすると面白いねえ。

でも、シリーズに出て来てる鈴木清順も江口寿史も庵野秀明も押井守も一応生きてるか…まあ、その辺はアレだ、おむつ、おむつ、おむつ…

■それにしても、わかぎえふ。
没後の週刊誌のインタビューにはしたり顔で出ていって、肝心の追悼本に出て来ないって、どうよ? 

当事者同士いろいろ経緯はあったんやろけど、やっぱ好きになれんなあ。



投稿者 井田英登 at 09:37