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 [第7試合 日・タイ国際戦 フライ級5回戦」
深津飛成 vs アヌワット・ゲオムサリット
れのある動きと、軽量級であることを感じさせない威力あるパンチで、王座まで上りつめた深津選手。しかし、その後も勝利こそ重ねるものの、ファンにとって納得のいく小気味よさがなりを潜めている。もちろん、本人もそのことは承知しているのだろう。試合後に、リング上から四方の客席に向かって頭を下げる姿が度々見られた。
 そんな深津選手とファンのフラストレーションがぶつけられる今日の相手は、しかし、格別の強敵だ。ラジャダムナン・Jrフライ級3位のアヌワット・ゲォサムリット選手。現在まだ17才という。現役ランカーとしての実力に、若さという勢いも加わることだろう。
 深津選手が、爆発するためには、一気にパンチの距離に入りたいところ。アヌワット選手はそれを許してくれるか。紛れもない実力者相手に、深津選手の力が試されることになるだろう。



ラウンド1 合いの入った表情で勢いよく入場する深津選手。射抜くような鋭い視線の先には落ち着いた顔のままのアヌワット選手がいる。
 軽いジャブで牽制する深津選手。ミドルにミドルを返すアヌワット選手。そこから前蹴り、ジャブ、ワンツー。間合いを取って、さらにジャブ、ローを軽く放ち、右ストレート、左ミドル、ジャブ連打、前蹴りと、淡々と攻め続けるアヌワット選手。深津選手は、受けに回される。深津選手もようやくジャブとローを返すが、アヌワット選手は動じずにミドル、そして、強烈な左ボディアッパー、ジャブ、前蹴りと手を休めない。終盤、深津選手にもパンチのコンビネーションが出るが、続かない。

ラウンド2 ヌワット選手が前に出ると、右ミドル。プレッシャーをかけると深津選手はジリジリと下がってしまう。そこに左右のフック、テンカオ、再び左右フック、左ボディフック、アッパー、さらにヒジ撃ちも見せる。下がりっぱなしとなる深津選手に、ストレートをを打ち抜き、深津選手が前に出ると鋭くテンカオをあわせ、ロープに詰めると左右のボディフックを連打。ここで、深津選手の体が崩れてダウン。ここは立ち上がった深津選手だが、再びロープに追い込むと、首を取ってヒザを突き上げ、左ボディアッパー、左右フック、ミドル、ヒザ、そして再び左ボディフックをズドンと撃ち込むアヌワット選手。



ラウンド3 に出るアヌワット選手。深津選手はすぐに後退。アヌワット選手がテンカオから首を取るとヒザ、離れ際にミドル。そのまま追いかけてミドル、左のヒジ、ロープに押し込んでヒザ、そして右ヒジを叩き込むと深津選手が一瞬よろめく。さらにヒジを突き上げ、左ボディアッパー。深津選手も必死の表情でにヒジを振ったが、アヌワット選手はすかしてヒザ、左ボディアッパー。深津選手はバックブローの奇襲をかけるが、冷静なアヌワット選手は逆に回転ヒジを繰り出し、首を掴むと下からヒザ、上からはヒジを放ち深津選手の体が折れる。ゴング直前には、深津選手がダウン寸前に追い込まれる。


アヌワットの猛攻に
思わず逃げ腰の深津

ラウンド4 ンターバルに気勢を上げて気合いを入れ直した深津選手だったが、アヌワット選手の圧力に開始早々下がってしまう。アヌワット選手は、前蹴り、飛びヒザ、強烈な左ボディアッパー、首を取ってヒジ、と手を休めない。さらに淡々と前に出て、入り際にヒジを落とし、ガードを上げさせると、空いたボディにフックを叩き込む。深津選手も時折ローを返すが、単発で終わってしまう。アヌワット選手は、よく見てミドルで突き放し、ヒジ、ヒザロープに追い詰めると左ボディから左右のフックの連打でダウンを奪う。さらに、立ち上がった深津選手が力無く下がり、ロープを背負うとアヌワット選手の上下に散らせたパンチのめった打ちに亀になってガード。ここでスタンディングダウンが告げられた。


深津のパンチも当った
が全て単発で終わる

ラウンド5 はり下がってしまう深津選手。アヌワット選手がロープ際、ガードの上からフックを連打して早くもダウンを奪う。再開後も、左右のフックから、左右のボディアッパー、さらに左右のフックと、上下に打ち分ける。深津選手もガードを固めて耐えるが、アヌワット選手は力強くフックを振り抜き、パンチを集めたところに、レフェリーが試合を止めた。


5Rもアヌワットの猛攻にさらさ
れ続ける深津、抵抗も出来ぬま
ま遂にレフェリーストップ    



あどけなさが残る17歳、見た目は未だ子どもだが試
合が始まるや鬼のような強さで深津を打ちのめした 

ヌワット選手の圧力に、下がりっぱなしとなってしまった深津選手。最後まで自分の持ち味を出すことができずに一方的にやられてしまった。アヌワット選手も比較的にパンチ主体に攻めるスタイルだったが、噛み合うことなく、殴られ役に甘んじることになった。
 開始早々から、弱々しく下がってしまう深津選手は初めて見た気がする。アヌワット選手は、勢いよく畳み込む選手ではなかったが、ジリジリとプレッシャーをかけ、相手を見てガードのないところを淡々と、しかし力強く叩き込む、文字通りの強者だった。闘っている深津選手自身がそれを感じ取ってしまったのだろうか。
 深津選手にとっては試合を止められるという最悪の結果になったが、この試合展開ではやむを得ないだろう。最近、「らしさ」が出せていないだけに、この試合が復活の機会になればと思っていたが・・・。逆に、完封されたことで吹っ切れて、来年の飛躍に繋がるのだろうか?。

 しかし、そんな心配をよそに試合後の深津選手は落ち込む様子は無かった。「あれなら届かないことはない!」と力強い台詞も聞こえるほどだ、現役ランカーへの敗北に逆にファイトを燃やしているかのように。リトルタイソン復活の日は近いかもしれない。

文 片岡・渡辺


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