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 [第8試合 MAフェザー級5回戦]
砂田政彦 vs 山口元気
の試合、あえてテーマを見いだせば、新旧王者対決ということになるだろうか。しかし、山口選手は現在は階級を上げてバンタム級で闘っているが、元MAフライ級王者。そして、砂田選手は現MAフェザー級王者。王者の肩書で比べれば2階級も違い、現在のウェイトからしても1階級違う両者の対決は、ややマッチメークの狙いが読みにくいというのが正直なところだ。 とはいえ、山口選手の実力はいまだに無敗かつ60%を越すKO率という数字が雄弁に物語る。砂田選手にしても、実力者の揃うMAフェザー級戦線で、コンスタントに結果を出し続けてきた点は、もっと評価されていいはずだ。 また、お互いムエタイを意識したスタイルだけに、テクニカルな試合は予想がつくし、さらにハートが巧く噛み合えば、ファンを巻き込む好試合が期待できるだろう。



ラウンド1 場の際、砂田選手の髪型に会場がどよめく。 砂田選手のミドルに山口選手は速いローを返す。砂田選手がローからロングフック、ストレート。山口選手もローを返し首相撲に持ち込むと、組み手争いは体格差にも関わらずほぼ互角。山口選手が随所にヒザを入れて、横ヒジも放つ。


ミドルで果敢に攻める山口

ラウンド2 ドルを蹴り合いから始まる。山口選手のミドルに砂田選手が左フックを合わせる。砂田選手が左ミドルを打てば、山口選手が右ロー、左フックを返し、両者再びミドルを交換する。山口選手は接近しての組み際にヒジを狙い、左ハイで砂田選手の頭を揺らし、さらに左ミドルを放ってペースを掴んだままこのラウンドを終える。

ラウンド3 田選手はパンチを狙うが、山口選手がミドルで断ち切る。中間距離から山口選手がストレートアッパー、組み手争いから右ヒジを打ち込む。前蹴りで突き放してミドルを放つ砂田選手に、山口選手がパンチを合わせ、左ミドルを続ける。砂田選手はローを連打。組み合って山口選手はヒジ、左ハイを狙う。


組み合うとやや砂田

ラウンド4 ンツーで砂田選手がコーナーに詰めると、山口選手はミドルを返す。首相撲からヒジを狙い、そこから右フック。山口選手が左ミドルを放つと、そこに砂田選手がパンチを合わせて転がし、そこから砂田選手が前に出て圧力をかける。左右のフック、ミドル、ローからワンツー。山口選手は時折ヒジなどを返すもやや動きが落ちている



ラウンド5 田選手のローで山口選手スリップ。砂田選手は前蹴りからローを放つと、山口選手はミドルと左の肘を撃ち、首相撲になるとやや砂田選手がヒザの数で優る。砂田選手は距離を取りつつ右ロー、前蹴りなどを多用。距離が近づくと、山口選手が組み際に左アッパーとヒジを入れ、パンチで突き放すと、もつれたところで回転ヒジを出すが空振り。砂田選手がワンツー、ロー、ミドルと続け、山口選手もアッパー、左ミドルを返し、首相撲では肘を撃つ。

 

健闘を讃え合う両者


者三様のジャッジを見ても分かるとおり、どちらかが決定的な場面を握るということはなかった。ドローという結果は妥当だろう。
 後半、やや山口選手の動きが落ちた気がするが、体格差もあるし、首相撲でもほぼ互角だったことを考えれば、「さすが」というべき。重いミドルも相変わらずで、バンタムに戻ったときの今後の活躍に期待したい。

 一方の砂田選手も、ミドルを中心に巧く組み立てていたが、得意のヒザはやや封じ込まれてしまった感がある。十分なテクニックはこの試合もうかがえたが、もう少しパワーがあれば…という気もする。最近、鈴木秀明選手(NJKF)、小野寺力選手(新日本キック協会)と、フェザーには話題も多い中、ややおとなしい印象のMAフェザー級をもっともっと盛り上げるためにも、砂田選手には頑張って欲しい。

文 片岡


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