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 [第9試合 MA・全日本対抗戦59kg契約5回戦]
金沢久幸 vs 山崎道明
崎選手は、今年より新設されたMAスーパーフェザー級王者。しばしば「和製ベニー・ユキーデ」と称されることから分かるように、そのキャリアは長く、実に45戦を数える。変則的な動きから多用なパンチを駆使し、対戦相手を翻弄する老獪さと、5ラウンドにわたってペースを守り続けるスタミナも持ち合わせている。対戦相手にすれば、実に「いやらしい」選手だといえる。
 その山崎選手と対戦する金沢選手も、すでにキャリア10年を数えるベテラン選手である。確かに、全日本ライト級の中堅ランカーとしてその名を知られてはいたが、正直なところ、輝いて見える試合は少なかった。しかし去る7月、長年に亘り日本のキック界を牽引してきた立嶋選手を飛びヒザ蹴りでKO葬。一躍時の人となった。
 前試合を落としている山崎選手と、立嶋選手を葬り勢いに乗る金沢選手。山崎選手は金沢選手の光を消すことが出来るか。あるいは、金沢選手が立嶋を破った勢いを持続するか、そのあたりが楽しみである。



ラウンド1 さくステップを踏んでフェイントをかける山崎選手。金沢選手は、アップライトから左をリードしてアッパー、ワンツーを仕掛ける。山崎選手は、遠間から不意に飛び込んでフックを放ち、組みつくとヒザを繰り出す。金沢選手は、左ジャブから右ストレート、左アッパーとパンチのコンビネーションで組み立てる。

ラウンド2 崎選手の前蹴りに、金沢選手が捌いてワンツーから組み合う。山崎選手はヒザを回し、金沢選手はヒジを落とす。金沢選手のワンツーをかいくぐって抱きつく山崎選手だが、その離れ際に金沢選手が右ハイでぐらつかせる。山崎選手は距離を取って、左ローから右ジャブ、組むとすぐヒザを回す。金沢選手は、ローを放って山崎選手の体勢を崩すと、再び右ハイを放ってヒットさせる。



ラウンド3 金沢選手が、ロー、ローと来てハイキックを狙う。山崎選手もローを返す。ロープ際に組み合うと、山崎選手がコツコツとヒザを太股に繰り出す。離れると、金沢選手は敗を狙い、山崎選手はワンツーを出し、金沢選手はジャブで牽制するが、かいくぐって間合いを盗み、ホールディング。金沢選手は、組まれると組み手も取らず、ヒザも出さない。ミドルに合わせて金沢選手がヒジを出し、組みに来ると右フックを叩き込むが連打に続かない。


金沢のパンチにローの山崎


和製ユキーデ山崎後ろ回し蹴り

ラウンド4 者細かく動きながら回り、山崎選手の前蹴り。金沢選手は、ローローと来て右ハイを放つと、これは浅く山崎選手の顔をヒット。山崎選手は大きなパンチを振るが、これはヒットしない。以降、金沢選手がワンツーなどパンチを出すと、その下をかいくぐった山崎選手がホールドして投げ捨てるという展開が続く。


金沢のハイが山崎の頭をかすめる
ラウンド5 者組み合うと、山崎選手は胴に組みつき、金沢選手は引き離そうと顎に手でいれて押さえつけ、一方の手でヒジを落とす。中盤、金沢選手がロングからハイキックでふっ飛ばすが、山崎選手はすぐさま胴タックルに入る。金沢選手は、組みつく山崎選手を突き放し、左右のフックを重ねるが、たまらず山崎選手は再び胴にしがみつく。終盤、金沢選手は、バックスピンキックや飛び前蹴りも繰り出す。セコンドからも「飛べ」の指示が出るが、決定打にはならず。

 

合はジャッジがスプリットながら、金沢選手が制した。 金沢選手は終始落ち着いて、山崎選手の不規則な動きに対応していたが、組み合った状態から特に手やヒザを出すわけでもなく、少しおとなしい印象だった。首相撲での勝負を避け、ミドルレンジでの闘いを望んでいたのだろうか。

 一方の山崎選手も、クリンチに入り、そのまま投げ飛ばすという場面が多く、やや積極性に欠けるとの見方も出来よう。いつも通りといえば、いつも通りだが、手数も少なく、これで判定勝ちを狙うというのは少し難しかったのではないか。

 両団体のトップクラスの対戦ながら、今一つ焦点のぼやけた試合となった感は否めない。金沢選手の判定勝利は順当と思うが、対抗戦らしい激しい試合を期待していたファンには少しばかり消化不良の試合となったのではないだろうか。

文 片岡


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