平にすれば3年ぶりの試合ということで、それなりに心中期するものがあっただろうが、対戦相手が試合直前になって止むに止まれぬ個人的理由(親族の急浙)で急遽帰国。当初殆ど禁じ手なし
の厳しいバーリ・トゥード・ルールで行われるはずだった試合は、対戦相手を変更した上でのエキシビション・マッチになってしまった。
対戦相手はあのマルコ・ファスを破ったアレクサンダー大塚であるから、相手としては申し分無いだろう。しかし一つ間違えば選手生命も、いや生命そのものも危険に
晒されるような世界に於いての正式対戦と、エキシビションでは天と地ほどの差がある ことは間違いない。
平はプロ意識をしっかりと持った選手であるから、セメント・マッチにはなりようもないエキシビションなりに、観客を楽しませることができるよう派手な技を多用し
て見せたりはしていたようだ。ある意味では「何でもあり」が選手に抱かせる物凄い プレッシャーから解放されることで、伸び伸びと動けた面すらあったかもしれない。
そうした技の一つである上段へのハイ・キックが大塚の頭部を「捕らえてしまった」 時に平が浮かべた苦笑いが、彼の心情を物語っていたように見えた。
2週間前の公開スパーの時のインタビューを聞いた限りでは、こうした過酷なルールに対しては今回自分なりの一つの節目を設定しようとしていた感のあった平にとっ
て、さぞかしこの展開は複雑な思いがあったことと思う。
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