K-1 3.21 さいたまスーパーアリーナ【スーパー・フェザー級王座決定トーナメント】:武尊、スタウロス・郷州征宜・小宮山工介を撃破し3階級制覇達成「僕とやりたいならK-1上がって来てください」
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K-1 WORLD GP 2018 JAPAN ~K’FESTA.1~
2018年3月21日(水/祝) さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
(※K’FESTA.1の記事はスーパー・フェザー級王座決定トーナメント、6階級タイトルマッチ、ワンマッチと別々のページでお届けします)
K-1 WORLD GP 第4代スーパー・フェザー級(-60kg)王座決定トーナメント
第1試合 一回戦(1) 3分3R(延長1R)
×卜部弘嵩(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元K-1 WORLD GP同級王者/60.0kg)
○皇治(TEAM ONE/ISKA K-1ルール世界ライト級王者/60.0kg)※S.F.Kから所属変更
4R 判定0-3 (梅木9-10/山根9-10/水谷9-10)
3R 判定0-1 (梅木29-30/山根29-29/水谷29-29)
14年11月にM-1スポーツメディア運営体制でのK-1 WORLD GP JAPANがスタートし、代々木競技場第二体育館、さいたまスーパーアリーナ・サブアリーナと主戦場を堅実に拡大し、今回はたまアリのメインアリーナで最大規模のイベントに。主催者発表で1万5千人・超満員札止めとなる。
メインイベントとして大雅と武尊によるスーパー・フェザー級タイトルマッチが12月に発表されたが、大雅の所属するTRY HARD GYMとの契約トラブルにより試合が中止となり、大雅の王座もはく奪され、約1か月前のタイミングで急遽トーナメントが設定された。
一回戦第1試合は舌戦を繰り広げた弘嵩と皇治の顔合わせ。1R、まだお互い慎重で、皇治が少しずつ右フック、ローを増やすと、弘嵩もパンチの手数を上げ、終盤に右フックを2度ヒットし少し好印象に。記者採点は10-10。
2R、お互いパンチを出すがなかなかクリーンヒットにはつながらず。皇治は左ミドル、ハイ、左ボディを織り交ぜる。こちらもブロックされがちだが、攻撃の多彩さでは若干好印象か。記者採点は10-10。
3R、右ローの応酬の後、皇治が左ミドル、ボディも絡めると、右フックをクリーンヒット。場内がどよめく。皇治のほうが蹴りもパンチも多いが、弘嵩も右ローを返し続け、大差はつけさせない。記者採点は9-10で皇治だが、10-10でも不思議ではない。総計は29-30で皇治。
大差なく終わり、結局ジャッジ1者のみ皇治を支持し延長へ。皇治はおそらくバッティングで左まぶたをカットし血だるまに。このラウンドも僅差となるが、若干皇治がパンチを積極的に出す内容で終わる。記者採点は9-10で皇治。皇治を3者とも支持し準決勝に駒を進めた。
第2試合 一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○小宮山工介(K-1ジム北斗会館/元RISE王者、BLADE FC -61kg JAPAN CUP ’14優勝/59.7kg)
×スアレック・ルークカムイ(タイ/STURGIS新宿ジム/REBELS-MUAYTHAIスーパーライト級王者、元ラジャダムナン認定フェザー級7位/60.0kg)
1R 2’56” KO (左ハイキック)
1R、スアレックが左テンカオ、右のミドル、三日月蹴りを当て、小宮山はスイッチも駆使しつつ、左の前蹴り一発でスアレックを吹き飛ばす。終盤、スアレックがパンチの連打で前に詰めてきたが、工介は下がってロープを背負いながら、左ハイをヒット。スアレックはこれ一発で伸び、空手式の残心もしっかり決めた工介のKO勝ちに。空手・BLADEでトーナメント経験の豊富な工介がノーダメージで幸先の良いスタートを切った。
第3試合 一回戦(3) 3分3R(延長1R)
○武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1 WORLD GPフェザー級(-57.5kg)王者/60.0kg)
×スタウロス・エグザコスティディス(ギリシャ/ナソス/メジロジム/ISKA・WAKO・WKBC世界王者/59.9kg)
判定3-0 (岡田30-28/豊永30-28/山根29-28)
1R、武尊は積極的に顔面狙いのパンチをはじめ、左ボディフック、ミドルといったボディ狙いの攻めも織り交ぜ、スタウロスは少し息苦しそうにする。スタウロスも左フックを返し、まだ大差はつけさせない。記者採点は10-10だが、10-9でも不思議ではない。
2Rに入ると、武尊は右ロー、左三日月を散らし、少し攻勢になりかけたが、スタウロスも頭を振るフェイントからの左フックを当てたり、飛び膝を返し、五分か若干優勢の状態に戻す。武尊は笑顔を浮かべるようになり、テンションが上がって来た様子だ。記者採点は10-10。
3R、武尊はしぶとくボディ狙いのパンチ、蹴りを繰り返していると、さすがのスタウロスも後退。武尊はロープに詰め、パンチの連打を続け、終盤には左フックでぐらつかせる場面も作る。記者採点は9-10で武尊。合計29-30で武尊。ジャッジも3者とも武尊を支持し、武尊の勝利となった。
第4試合 一回戦(4) 3分3R(延長1R)
○郷州征宜(K-1ジム総本部チームペガサス/Krush -60kg王者/60.0kg)
×デニス・ウォーシック [Dennis Wosik](ドイツ/アムラーニ・プレイス/59.8kg)
判定2-0 (西村29-29/梅木30-28/豊永30-29)
郷州は当初、ティムール・ナドロフ(ロシア)との一回戦の予定だったが、ナドロフが右足首を骨折したため欠場し、大会3日前にウォーシックへの変更が発表された。ウォーシックは初来日の24歳。27戦23勝(9KO)3敗1分。
1R、郷州がいつも通り前に詰め、パンチを積極的に振るいつつ、左の膝を効かせる。ウォーシックは下がる展開が続くが、ハイやバックハンドブローを返し、終盤にはパンチの連打を当てる。記者採点は10-10。
2Rも郷州がパンチと膝を何発も当て攻勢。記者採点は10-9。だが急所を捕らえる攻撃は乏しく、なかなかダウンを奪えない。
3Rも郷州が積極的にパンチと膝を当てるが、ウォーシックも耐え、パンチと膝を返す。とはいえ手数差ははっきりしており、郷州がポイントを取る。記者採点は30-28で郷州。郷州が初戦を突破したが、武尊同様にスタミナロスが気になるところだ。
リザーブファイト 3分3R(延長1R)
×横山 巧(リーブルロア/K-1甲子園’16 -60kg準優勝/60.0kg)
○大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/60.0kg)
判定0-2 (山根29-29/豊永29-30/梅木28-29)
1R、お互いまだ慎重だが、次第に横山が左ジャブでペースをつかみ、左ボディや右ハイにつなげて積極的に。2R、大岩の右ストレートで少しひるんだ横山だが、中盤以降は持ち直し、左のテンカオを立て続けに当て印象を持ち直す。3R、お互いパンチの手数を上げ、中盤まで横山が攻勢だったが、終盤は大岩が巻き返す。僅差のラウンドが続き1者はドローとつけたが、3R最後の巻き返しが功を奏し、大岩の勝利となった。
第10試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×皇治(TEAM ONE/ISKA K-1ルール世界ライト級王者/60.0kg)
○小宮山工介(K-1ジム北斗会館/元RISE王者、BLADE FC -61kg JAPAN CUP ’14優勝/59.7kg)
判定0-3 (岡田27-30/梅木27-30/山根27-29)
1R、小宮山が開始すぐから右ローを連打した後、上段回転蹴りを当て、その後も顔面への左前蹴りを当てるなど攻勢。皇治も時折詰めてパンチを連打するが、小宮山は防御する。記者採点は10-9で小宮山。
2Rも小宮山は蹴り主体で、皇治は時折パンチで詰める。途中、皇治が一回戦で切った左まぶたの傷のドクターチェックが入り再開。皇治が詰めてから小宮山がクリンチで防ぐ展開が多く、皇治に注意1、小宮山に注意2回の累積で警告が出される。記者採点は10-10としたが、小宮山のクリンチ多用は減点1と同格になってもいいぐらいだろう。
3Rもクリンチが多く、両者に注意1。残り1分、再び皇治にドクターチェックが入る。お互い攻めあぐねる試合となるが、終盤、小宮山の胴回し蹴りで、皇治が吹き飛ぶと、豊永レフェリーはダウンを宣告する。皇治はすぐ立ち、ダメージ自体はほとんど無い様子で、手を広げ不満を示したが、これが決め手となり、小宮山の決勝進出となった。記者採点は8-10で小宮山で、合計27-30で小宮山。
第11試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R)
○武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1 WORLD GPフェザー級(-57.5kg)王者/60.0kg)
×郷州征宜(K-1ジム総本部チームペガサス/Krush -60kg王者/60.0kg)
1R 2’24” KO (右フック)
1R、開始すぐから武尊は郷州とのパンチの打ち合いを展開。被弾しながらも前に出続け、次第に左ボディ、左フック等のヒットを増やす。すると郷州は少し表情が曇り、手数が落ち、武尊はここぞとばかりにより一層圧力をかけ、左と右のフックの連打で郷州をマットに沈めた。武尊はコーナーに登ってバック宙を披露し、観客をさらに沸かせた。
第19試合 決勝 3分3R(延長1R)
×小宮山工介(K-1ジム北斗会館/元RISE王者、BLADE FC -61kg JAPAN CUP ’14優勝/59.7kg)
○武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1 WORLD GPフェザー級(-57.5kg)王者/60.0kg)
3R 2’02” KO (3ダウン:右ローキック)
※武尊が新王者に
1R、小宮山がステップして回り続け、武尊が追いかける展開。小宮山はバックスピンキックを時折出し、武尊はパンチを放ち、終盤はバックブローや前蹴りを当てるが、なかなか捕まえきれない。記者採点は10-10。
2Rになると、少しずつ小宮山のスピードが落ち、武尊の右ボディフック、左ミドルが少しずつ当たるように。小宮山は変わらず逃げ続けるが、口が開き苦しそうだ。記者採点は9-10で武尊。
3Rも武尊は執拗に小宮山を追い続け、右前蹴り、右ローを効かせる。そして右ボディをクリーンヒットしてついに小宮山の動きを止めると、ロープに詰めてのパンチ連打でダウンを奪う。小宮山は立ち上がるのがやっとで、武尊は左テンカオと右フックの連打でダウンを重ね、最後は渾身の右ローキックでマットに沈めた。
武尊は子供時代のK-1への憧れ、旧K-1休止からここまで這い上がった状況を振り返り「今日からは新生K-1の『新生』はいらないです。『K-1』でお願いします。K-1は希望と夢を与えられるパワーがあると思います。地上波のゴールデン生中継を現役中に実現させたいです。そのためにこれからもK-1を応援してもらえるとうれしいです」とアピール。そして一息置いた後、「で、僕、勝ち続けているんですけど、僕とやりたいと言っている選手もいますけど、やりたいならK-1上がって来てください。K-1が世界最強のリングです。K-1最高」と、名指しはしなかったものの対戦待望論が途切れない那須川天心を意識したメッセージを発した。「僕とやりたいならK-1上がって来てください」という主張は、那須川の15年8月のBLADEトーナメント優勝直後の対戦要求に対する「K-1で試合が組まれるならいつでもやってやる」という返答から一貫しており、改めてそこを武尊は変えない姿勢を示した形だ。
なお、大会後のインタビューで、武尊はベスト体重について「本当はフェザー級がベストですね」と答え、「今回増量するために、毎日1か月ぐらい前まで、吐気するぐらい食べて(昨年12月の修行先の)アメリカでも1kgのステーキを毎日食べていました」と明かしたが、「でも取ったからには60で戦える体を作りたいです」と、スーパー・フェザー級で戦い続けることを宣言した。
(※K’FESTA.1の記事はスーパー・フェザー級王座決定トーナメント、6階級タイトルマッチ、ワンマッチと別々のページでお届けします)