UFC 12.2 オーストラリア:岡見勇信、ロシアの19戦全勝の新鋭に完敗。中村K太郎、スプリット判定勝ち。廣田瑞人3連敗。ハント、UFC最後の試合は判定負け
UFC Fight Night 142 dos Santos vs. Tuivasa
2018年12月2日(日)オーストラリア・アデレード:エンターテインメント・センター
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
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レポート:井原芳徳
第12試合 メインイベント ヘビー級 5分5R
○ジュニオール・ドス・サントス(7位・元王者)
×タイ・トゥイバサ(11位)
2R 2’30” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
元ヘビー級王者のドス・サントスは13年あたりから年1回の試合ペースで、勝ち負けを繰り返す状態。トゥイバサはMMA 8戦全勝、UFC 3戦全勝の25歳の新鋭だ。オーストラリアの先住民族・アボリジニの旗を掲げ入場する。
1R、ドス・サントスは回って距離を取りながら蹴り、左のジャブとボディストレートを当てる。トゥイバサは右フック狙いで、1分半にパンチを振りながら金網に押し込むが、ドス・サントスは突き放す。その後も同じ構図が繰り返されるが、終盤に近付き、次第にトゥイバサの右フック、アッパー、左肘とヒットが増える。トゥイバサのパンチが当たる度に歓声が起こる。記者採点はトゥイバサ。
2Rもトゥイバサが詰めて積極的にパンチを振るうが、1分半過ぎ、トゥイバサのパンチをかわし、ドス・サントスが右と左のショートフックを着実に連続で当ててトゥイバサにダメージを与えると、右フックをクリーンヒットしてダウンさせる。ドス・サントスはすぐに上になり、パウンドを連打。トゥイバサがもらい続けていると、ハーブ・ディーン・レフェリーがストップした。
第11試合 セミメインイベント ライトヘビー級 5分3R
○マウリシオ・“ショーグン”・フア(13位)
×タイソン・ペドロ(14位)
3R 0’43” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
ペドロは地元オーストラリアの27歳。1R、回って距離を取り、左ジャブと右ストレートを連続でヒットする。リーチが長く、パンチに伸びがある。その後もパンチを当て続けていると、距離が近づいて、ショーグンも右フックを当てるが、ペドロは火が付いたように右アッパー、右膝等でラッシュを仕掛け、ショーグンを苦しめる。終了間際、ショーグンは倒して再度を奪い、肘を当てたところでブザーが鳴る。記者採点はペドロ。
2R、ショーグンは序盤からしがみついて、倒してハーフガードに。ペドロは下からアームロックを仕掛けて抵抗するが、ショーグンはサイドから押さえ込み続ける。場内からはブーイングも飛ぶが、37歳・キャリア16年のベテラン・ショーグンは泥臭くとも勝利を奪いに行く。終盤、ペドロが立っても、ショーグンはしがみつき、グラウンドに引きずり戻し、鉄槌を当て、最後は裸絞めを狙う。記者採点はショーグン。
3R、ショーグンが圧力をかけ、ペドロが回って距離を取り、金網を背に左ジャブを放つと、ショーグンはかわし、右ストレートをヒット。ペドロがダウンすると、ショーグンは上からパウンドを連打し、レフェリーがストップ。ショーグンが苦境を乗り越え、見事逆転TKO勝ちを果たした。メインイベントのドス・サントスと共に、ベテランのブラジル勢が地元オーストラリアのホープを連破する形となった。
第10試合 ヘビー級 5分3R
×マーク・ハント(10位)
○ジャスティン・ウィリス(15位)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
1R、サウスポーのウィリスに対し、ハントは右インローをヒット。右ミドルも当てるが、ウィリスはすぐ左ストレートを返し、危険なムードを漂わせる。ハントは右スネを切って出血し、少し足取りが重くなる。両者慎重な試合運びだが、有効打数ではハントか。
2Rもお互い慎重だが、ウィリスがハントの圧力をかわしつつも、細かく右ジャブやローを返す場面が目立つように。記者採点はウィリス。
3Rもウィリスが右回りを続け、右ジャブをコツコツ当て続ける。ハントは右ミドル、右フックを放つが、空振りが続く。記者採点はウィリス。合計28-29でウィリス。ジャッジ3者も同じでウィリスが判定勝ちした。
ハントはUFCとの契約が最後の試合。試合後のインタビューで「またどこか違う場所で会いましょう(See you, somewhere else.)」と話しており、他団体での現役続行を示唆した。
第9試合 ウェルター級 5分3R
×ジェイク・マシューズ
○トニー・マーティン
3R 1’19” アナコンダチョーク
第8試合 フェザー級 5分3R
×スーマン・モクタリアン[Suman Mokhtarian]
○ソディック・ユサフ[Sodiq Yusuff]
1R 2’14” TKO
第7試合 ライトヘビー級 5分3R
○ジム・クルート
×ポール・クレイグ
3R 4’51” アームロック
第6試合 ウェルター級 5分3R
×岡見勇信(EXFIGHT)
○アレクセイ・クンチェンコ[Alexey Kunchenko](ロシア)
判定0-3 (26-30/26-30/27-30)
岡見は昨年9月のUFCさいたま大会のメインイベントのマウリシオ・“ショーグン”・フアの欠場により、急きょ代役オファーを受け、ライトヘビー級で同級当時7位のオヴィンス・サン・プルーと対戦し、ヴォン・フルー・チョークでわずか1分50秒で敗れた。4年ぶりのUFCは準備不足、2階級上という大きなハンデを背負っての戦いだったが、続く今年4月のアリゾナ大会ではディエゴ・リマ相手にジャッジ3者とも26-30をつける完勝を果たし、UFCで5年ぶりの白星を飾った。
対するクンチェンコは34歳。2013年にMMAデビューし19戦全勝(13KO/1一本)。ロシアのM-1 Globalのウェルター級王座を獲得している。9月のチアゴ・アウベス戦でUFCデビューし判定勝ちしている。下馬評もクンチェンコが上だ。
1R、クンチェンコがローを当ててからパンチを振るい、岡見は1分過ぎにタックルを仕掛けるが、クンチェンコはさばく。クンチェンコがプレッシャーをかけ、左右のフックを当てるが、岡見は動いてギリギリで急所に当てさせず、まだ反応できている。岡見は時折スイッチするが、なかなか自分の攻撃につなげられない。それでも伸びのある右ストレートを一発当て、残り1分、タックルから押し込んで流れをつかみかけるが、膠着ブレイクがかかる。最後はクンチェンコが左ミドルを当てて終了する。記者採点は打撃で有効打の多かったクンチェンコにつけた。
2R、岡見は片足タックルを繰り返すが、クンチェンコは切り続ける。クンチェンコは圧力を強め、右フック、右ミドル、左ミドルを当てる。終盤、クンチェンコが岡見のタックルをがぶった状態で鉄槌と肘を連打し、打撃のヒット数を稼ぐ。終了間際、岡見の左のテンカオにクンチェンコが右フックを合わせ、岡見が尻餅をしたところで終了のブザーが鳴る。記者採点はクンチェンコ。岡見は手詰まり感が出てきた。
3R、クンチェンコが圧力を強め、右フックを当てると、岡見がひるみ、タックルでしのぐが、クンチェンコは突き放す。クンチェンコは左右のミドル、ローを強打し続け、タックルも切り続け、中盤にはバックを取りかける場面も。残り1分を切り、岡見はパンチを振るうが、クンチェンコはかわして右ストレート、左ミドルをヒット。終了間際には右フックで少し岡見をひるませて終了する。記者採点はクンチェンコ。合計27-30でクンチェンコ。ジャッジは2者が26-30とつけるほどで、岡見はロシアの新鋭相手に完敗に終わった。
Kunchenko landing here in round 3 has Okami staggered. #UFCAdelaide pic.twitter.com/FJJPjBwOmt
— UFC (@ufc) 2018年12月2日
第5試合 フライ級 5分3R
○ウィルソン・ヘイス(8位)
×ベン・グエン(10位)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
第4試合 ウェルター級 5分3R
○中村K太郎(K太郎道場)
×サリム・トゥアリ[Salim Touahri]
判定2-1 (30-27/28-29/29-28)
中村は4月のアトランティックシティ大会でトニー・マーティンに判定負けして以来の試合。UFC初の連勝ならず、15年のUFC復帰後の戦績は6戦3勝(2一本)3敗の五分となっている。
対するトゥアリはMMA戦績10勝(6KO/2一本)2敗の29歳。柔術茶帯。昨年10月に地元ポーランドで行われたUFCファイトナイトに、試合5日前のオファーで緊急参戦する形でUFCデビューを果たしたが、ワーレイ・アウヴェスに判定負けを喫している。
1R、中村がサウスポーに構えて中央から圧力をかけ続ける。両者ともに慎重で、なかなか攻撃が出ない。中盤、中村が左ミドル、ローを当てるが、攻撃が続かない。3分半過ぎに中村がタックルを仕掛けたが、トゥアリは切る。結局両者ほとんど攻めないまま終了。採点の差がつけがたい内容だが、あえてつけるなら中村か。
2R序盤、トゥアリが詰めて左フック振るってきたタイミングで、中村が右フックを合わせ、一瞬トゥアリをダウンさせる。トゥアリはすぐ押し込んで対処する。中村は突き放し際に右フックをねじ込む。離れてからも左ミドルを当てていると、トゥアリは口が開いて少し苦しそうな様子を見せるようになる。だが少しずつトゥアリも持ち直すと、右フック、右ボディを当てるようになる。とはいえ中盤以降は普通の試合に比べれば手数が少ない状態は変わらない。記者採点は中村。
3R、中村が前に出て、パンチを積極的に振るうように。中盤からトゥアリが圧力をかける側になり、パンチが増えるが、ヒットは少ない。終盤になってもお互い攻撃が少なく、場内からはブーイングも飛ぶ。結局両者とも決め手に欠けるままこのラウンドも終える。記者採点はこのラウンドも難しかったがトゥアリとした。合計29-28で中村。判定は採点の難しさを反映するように割れたものの、中村がかろうじて勝利を奪うことに成功した。
第3試合 フライ級 5分3R
×イライアス・ガルシア[Elias Garcia]
○カイ・カラフランス
判定0-3 (25-30/25-30/26-30)
第2試合 ライト級 5分3R
×廣田瑞人(CAVE)
○クリストス・ジアゴス[Christos Giagos]
判定0-3 (28-29/27-29/27-30)
廣田は37歳。昨年9月のさいたま大会で試合が組まれたが、前日計量でフェザー級リミットをオーバーし、体調不良でドクターストップがかかった。今年2月のロス・ピアソン戦ではライト級に戻したが、判定負けに終わっており、3連敗は許されない状況だ。
ジアゴスは28歳。20歳だった2010年にMMAデビューし、RFAやTPFといった米国のローカル大会で実績を残した後、14年から15年にUFCに上がり、1勝2敗で契約が切れた。だが以降はRFAで2勝し、ロシアのACBでも2勝1敗し、9月のFight Night 137ブラジル大会でUFCに復帰。地元勢のチャールズ・オリベイラに2R裸絞めで一本負けしている。UFCへの出戻りで、連敗はできない状況は廣田とも共通する。
1R、ジアゴスは距離を取りながらも、時折スイッチし、細かくフェイントを仕掛け、積極的に右フック、左ミドル等を放ち、1分過ぎには右フックを当てて廣田をダウンさせる。1分半過ぎにはタックルでテイクダウンを奪取。金網際で廣田を押さえ込み、時折パウンドを当てる。廣田はパワーで差が付けられている感がある。1分ほどで立ち上がり、またもジアゴスがタックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。廣田はギロチンで迎撃するが、ジアゴスは首を抜いてトップをキープする。いったん立ったところで、廣田は足関を狙い、最後にスタンドに戻ったところではボディにパンチを当て、場内をどよめかせる。記者採点はジアゴス。
2Rも30秒過ぎにジアゴスがタックルでテイクダウンに成功する。廣田は押さえられ続けて、なかなか逃げられない。2分半過ぎ、ようやく廣田が金網を背にして立つところまで行くが、ジアゴスは胴タックルで抱えてグラウンドに引きずり戻す。残り20秒でスタンドに戻り、廣田がパンチを当てるが、攻めきれずブザーがなる。記者採点はジアゴス。
3Rもジアゴスがテイクダウンを奪いかけるが、その勢いのまま廣田が回転させてサイドポジションを奪うことに成功する。ようやく反撃の兆しが見えたが、30秒ほどでジアゴスがスタンドに戻し、ジアゴスがまたもタックルで倒して、金網際で上になる。廣田は立とうとトライを続けるが、息が荒く、力が入りきらない。3分過ぎにスタンドに戻し、ジアゴスも疲れが見えるが、しぶとく組み付き、廣田の反撃を封じる。ラスト30秒、廣田がジアゴスからすり抜けて、マウントを奪って少しパウンドを当てるが、フィニッシュには程遠く、終了のブザーが鳴る。記者採点はジアゴス。合計27-30でジアゴス。ジャッジ3者ともジアゴスを支持し、廣田はUFC 3連敗となってしまった。
第1試合 ライト級 5分3R
×アレックス・ジョージース[Alex Gorgees]
○ダミル・イスマグロフ[Damir Ismagulov]
判定0-3 (25-30/26-30/26-30)