シュートボクシング 9.15 後楽園ホール:海人、ラジャダムナン&WMC王者・チャムアトーンに判定負け。連勝9で止まるも「また成長できる」
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中野トイカツ道場
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SHOOT BOXING 2018 act.4
2018年9月15日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第8試合 スーパーライト級(65kg契約)(肘有り) 3分5R(無制限延長R)
×海人(TEAM F.O.D/SB日本スーパーライト級(65kg)王者/64.85kg)
○チャムアトーン(チャムアックトーン)・ファイタームエタイ(タイ/ラジャダムナン&WMCスーパーライト級王者、元ルンピニー同級王者、ルンピニー認定ウェルター級5位/64.85kg)
6R 判定0-2 (北尻9-10/若林10-10/津山9-10)
5R 判定0-1 (北尻49-50/若林50-50/津山50-50)
海人は鈴木博昭、宮越慶二郎、憂也、健太、タップロン、不可思、ジャオウェハーを破り、7月と8月に上がったRIZINでも2連戦し、現在9連勝中。シュートボクシングでは11月18日の両国国技館大会でS-cup -65kg世界トーナメントを開催するため、海人はその主力として期待されている。
チャムアトーンは保持するベルトが示す通りタイのトップ戦線で活躍中の選手で、ONE Championshipとも契約を結んでいる。日本では16年7月のムエマラソントーナメントで初来日し、翔センチャイジムに一回戦で勝利し、決勝ではペットモラコットに敗れた。昨年7月には元日本ライト級王者・石井達也を1R KO。8月29日には高橋幸光を終始攻め続け判定勝ちした。10月にはラジャダムナン王座の防衛戦を控えている。
1R、チャムアトーンが左ミドルを空振りさせた後、すぐ右ミドルを当ててクリーンヒット。場内は素早い動きにどよめく。海人の左の脇腹はこれ1発で赤く腫れる。その後もチャムアトーンは組んで離れ際の右肘、右ハイで脅かす。海人も右ロー、右ストレートを返すが、チャムアトーンは反応できている様子だ。ジャッジ3者ともイーブン。
2R、海人が顔面狙いの右の前蹴りを当てるが、その後はチャムアトーンが組んで突き放しての右肘を巧く放ち、右ハイ、ミドル等もヒットし主導権。海人も時折右ロー、右ストレート、左ボディをお返しするが、ヒットが少ない。ジャッジ3者ともイーブン。記者採点もSB基準でまだイーブンとしたが、チャムアトーン優勢という印象で、タイなら確実にチャムアトーンだろう。
3R、チャムアトーンは組んでの肘、膝を当て、離れて時折スイッチしつつミドル、ハイを当て主導権を維持する。海人は右ストレート、左ボディ、右ローを返すが打開ができない。ジャッジ3者ともイーブン。記者採点はチャムアトーン。3R以上にチャムアトーンがテクニックで差をつけていたと評価した。
4R、チャムアトーンが変わらず組んでの肘、膝、離れての左ミドルで優勢。海人はこれまでよりも攻撃を当てられなくなるが、チャムアトーンも少し疲れが見えてきた。試合後の話によると、SBならではの投げによるポイントにも警戒していたという。記者採点はイーブン。
5Rもチャムアトーンがロープを背負いつつ左ミドルを当て、組んでは膝をヒット。海人も左ボディ、右ストレート、右ローを当て沸かせるが、チャムアトーンも右ストレート、右ミドルを返し、差をつけさせない。記者採点はイーブン。合計49-50でチャムアトーン。ジャッジは1者だけ5Rにチャムアトーンにつけ、49-50でチャムアトーンとしたが、2者はドローで延長に突入する。
6Rもチャムアトーンが左ミドル、膝、肘、海人が右ロー、右ストレートの構図で、チャムアトーンのヒットが上回る展開で変わらない。記者採点は9-10でチャムアトーン。5Rまでの採点の傾向なら10-10でも不思議では無かったが、ジャッジ2者がようやくチャムアトーンにつけた。海人は負けが決まると、納得した様子でうなずいていた。
バックステージでチャムアトーンは「海人は強かったです」と話したが、「5R終わった時点で判定はどうだと思ったか?」という質問には「勝っていたと思った」と答え、苦笑していた。
シュートボクシング協会のシーザー武志会長は「海人は普通の日本人と違って、タイ人相手でも怖がらないのはえらい。今日は特別ルールで引き分けにしたいぐらいだった」と、敗れはしたものの海人を高く評価した。
海人は「何もできなかった。手応えは全然ないです。上には上がいるとわかりました。ミドルは重くはなかったけどタイミングがバッチリでした。首相撲は手も足も出なかった。スタミナ切れは無かったけど、リズムを全部持って行かれました」とコメント。本戦が終わった時点での判定は「負けたかドローかなと思いました」という。だが「越えられない壁じゃないと思った?」と聞くと「はい、間違いなく超えます」と即答。「負けて悔しいですけど、強くなれたものを感じれたので、また成長できると思います」と最後は前向きに話していた。
第7試合 SB日本ライト級(62.5kg)王座決定戦 3分5R(無制限延長R)
×村田聖明(シーザージム/元スーパーフェザー級(60kg)王者/62.5kg)
○西岡蓮太(龍生塾/1位/62.5kg)
7R 判定1-2 (茂木10-9/津山9-10/若林9-10)
6R 判定1-1 (茂木9-10/津山10-10/若林10-9)
5R 判定0-0 (茂木50-50/津山50-50/若林50-50)
村田は階級アップし2階級制覇を目指す戦い。西岡は14戦11勝(6KO)3敗の19歳。1R、前に出て来る村田に対し、西岡は回って距離を取ってかわしながら、左右のフック、ミドルを当てる。まだ大差は無く、ジャッジ3者ともイーブン。
2Rも似たような構図の中で、お互いストレートを炸裂させてもらったほうがのけぞるが、まだ大差はない。ジャッジ3者ともイーブン。
3Rになると西岡が圧力をかける側になる時間の比重も上がる。お互いコンビネーションからストレートを炸裂させるが、このラウンドも大差が無い。ジャッジ3者ともイーブン。
4Rになると2Rまでに近い感じで、村田が圧力をかける時間が増えるが、なかなか均衡は崩れない。終盤のパンチの打ち合いでも均衡状態だ。
5R、時間が進むにつれお互いのパンチが増えるが、有効打が多いのは西岡。村田は口から出血し少し苦しそう。終盤は西岡が攻勢で終える。記者採点は5Rを西岡につけ49-50で西岡としたが、ジャッジ3者とも50-50で延長に突入する。
6R、序盤にクリンチの展開で西岡が肩固めを仕掛けるが、極まりは浅い。前に出る村田をかわし、西岡が右のローを連打。終盤、ようやく村田が手数を上げ、左ミドル、右ストレートを連打するが、決定的な差はつかない。記者採点は10-10。ジャッジは三者三様で再延長へ。
7R、中盤まで少し西岡はスリップする場面もあり、疲れて来たようにも見えたが、中盤以降、回って距離を取りながらも、少しずつ左右のパンチのヒットを増やし攻勢。終了のゴングと同時に西岡は雄たけびをあげる。記者採点は9-10で西岡。ジャッジも2名が順当に西岡を支持し、西岡の勝利となった。
西岡は「普通の人なら倒れるぐらいのパンチをもらっても立ち続けて僕と戦ってくれた村田選手ありがとうございます。ここまで育ててくれた親に感謝の気持ちを伝えたいです。このベルトを巻けたのがスタートです。満足せず精進します」と涙ながらに宣言した。
第6試合 SB日本スーパーフェザー級(60kg)王座決定戦 3分5R(無制限延長R)
○深田一樹(龍生塾ファントム道場/元フェザー級(57.5kg)王者/60.0kg)
×上田一哉(シーザージム新小岩/3位/60.0kg)
判定2-0 (若林50-49/津山49-49/北尻50-48)
村田が返上した王座を賭けての一戦。31歳・33戦目のベテラン・深田は2階級制覇を目指す戦い。上田は子供の時からSBを習い、現在17歳で3連勝中だ。
1R、サウスポーの深田が相手だが、上田は右ミドルを何発も当て続け主導権。深田のパンチを時折もらうものの、蹴り数で上回る。ジャッジ3者ともイーブンだ。
2Rも執拗に上田が右ミドルをヒットし続ける。上田も左ボディ、左インローを返すが、連打にはつながらない。ジャッジは1者のみ上田につける。
3Rになると、少しずつ深田が首相撲で捕まえる場面が増え、上田の右ミドルが少し減り、差が縮まる。ジャッジは3者ともイーブンだ。
4R、上田は慣れない5R戦の影響もあってか、深田に組まれるうちに疲れが目立つようになり、押し込まれる場面が多い。深田は膝、右ボディを時折り当てて優勢だ。
5R、クリンチが多いとして、上田に注意1が入る。その後も深田が押し込み続け、右ボディを度々強打し攻勢を印象付ける。記者採点は2Rが上田、4Rと5Rが深田で49-48で深田。ジャッジ2者が深田を支持し、深田の判定勝ちとなった。深田は「この内容じゃエラそうなことは言えない」と反省し「30を超えましたけど、まだまだやります」と宣言した。
第5試合 SB日本フェザー級(57.5kg)王座決定戦 3分5R(無制限延長R)
○笠原弘希(シーザージム/1位/57.5kg)
×元貴(DAB/3位/57.25kg)
判定3-0 (津山50-48/若林50-47/茂木50-47)
深田の返上した王座争い。笠原兄弟の兄・弘希は19歳。昨年6月に元貴と対戦し判定勝ちしている。1R、弘希が左ジャブを駆使しつつ、左ミドルも随所で巧く当てる。元貴は細かく右ローを当て続ける。
2R、序盤から元貴が左ジャブの連打で先手を取るが、弘希は左ミドルを強打し続け、終盤には右ストレートで元貴をぐらつかせ好印象。ジャッジ3者とも弘希につける。3Rも弘希が左ミドル主体で若干優勢だが、2Rのようなクリーンヒットにはつながらない。ジャッジは1者だけ弘希につける。
4R、お互い疲れが見えて来たが、弘希が左ボディ、左ミドル、元貴が右ストレートを当てて場内を沸かせる。5Rは弘希が左ミドル、左ストレートのヒットで上回り優勢。元貴も時折パンチを返すが流れは変わらず終了。
記者採点は2Rと5Rが弘希で50-48で弘希。弘希が判定勝ちで初のベルトを獲得した。試合後は祖母と弟2人をリングに上げ「これからもカッコいいお兄ちゃんの背中を見せたい」とマイクで話した。
第4試合 女子50kg契約 3分3R(無制限延長R)
○MIO(シーザージム/SB日本女子ミニマム級(48kg)王者/49.5kg)
×山口遥花(仰拳塾/49.95kg)
判定3-0 (北尻30-28/津山30-28/若林30-28)
MIOは7月のGirls S-cup 48kg世界トーナメント決勝でイリアーナ・ヴァレンティーノに判定負けして以来の試合。ヴァレンティーノのパワーに押されたため、今回は1階級相当上での試合となる。対する山口は愛知出身の19歳で、幼少期から空手を習い、キック戦績は9戦6勝2敗1分。
1R、体格で勝る山口が、サウスポーからの左フックで先手を取るが、MIOも少しずつロー、左フックを返すように。山口は時折構えをオーソドックスに変える。
2R、MIOは腰投げでシュートポイント1を獲得。だが山口は左ボディ、左ミドルといった打撃面では若干優勢だ。
3R、セコンドのRENAから「手数少ないよ」という声も飛ぶが、MIOは山口の圧力に押され気味で、なかなか攻撃を返せない展開が続く。終盤には山口の左ボディ、膝、ミドルをもらって後退するが、山口が組んで膝をあげたタイミングでMIOが投げを決め、シュートポイント1を加算し終了する。3R目は山口が1ポイント取ってもいいように思えたが、ジャッジは3者とも30-28とつけ、MIOの勝利となった。
第3試合 71kg契約 3分3R(無制限延長R)
○坂本優起(シーザージム/元SB日本スーパーウェルター級(70kg)王者/70.95kg)
×奥田啓介(デンジャーゾーン/70.65kg)
2R 1’39” KO (フロントチョーク)
奥田のセコンドには青木真也がつく。レスリング出身の奥田はタックルを繰り返し、抱え上げて倒す場面もあるが、腰から上まで行かないためポイントにはならず。坂本はそのまま尻餅をついてしまう場面が多いが、ギロチンや首相撲で捕まえての膝蹴りで迎撃するように。2Rも奥田がタックルから押し込むが、坂本がギロチンを仕掛けたところで奥田はタップし、坂本の勝ちとなった。
第2試合 SB日本スーパーバンタム級(55kg)王座決定トーナメント準決勝 3分3R(無制限延長R)
○植山征紀(龍生塾ファントム道場/1位/55.0kg)
×伏見和之(シーザー力道場/3位/55.0kg)
2R 2’42” TKO (レフェリーストップ)
5月20日の愛知大会、6月10日の後楽園大会で一回戦が行われたトーナメントが準決勝。1R、ローの応酬の中で、植山が打ち合いの展開で左フックをクリーンヒット。その後も圧力をかけてローをコツコツ当てていると、2Rには伏見が苦し気な表情を浮かべ下がり気味に。するとまたも植山の左フックがクリーンヒットし、伏見がダウン。レフェリーは続行させたが、止めてもいいぐらいのダメージで、植山が右ミドルを当てた後、コーナーに詰めて飛び膝を放ったところでようやくストップした。
第1試合 SB日本スーパーバンタム級(55kg)王座決定トーナメント準決勝 3分3R(無制限延長R)
×川上 叶(龍生塾/2位/55.0kg)
○笠原友希(シーザージム/4位/55.0kg)
1R 3’00” KO (右フック)
両者サウスポー。笠原兄弟の弟・友希のミドルを川上がつかんで、押してからパンチや蹴りを狙う状態が続いたが、パンチの打ち合いの展開で、リーチで勝る友希が左ストレートを当ててダウンを奪取。終了間際の打ち合いで右フックで2ダウン目を奪うと、川上は立ち上がろうとしたがすぐ転んでしまいレフェリーがストップ。友希が決勝進出を果たした。
オープニングファイト 68kg契約 2分3R(延長1R)
○義光(シーザージム/67.75kg)※村田義光 改め
×SHINGO(LEOジム/67.8kg)
1R 1’32” TKO (ドクターストップ:右すねの裂傷)