ONE Championship 2.7 ジャカルタ 試合後インタビュー:松嶋こよみ「フェザー級王座にはまだまだ遠い」、内藤大樹「ようやくフライ級の強豪の中に入れたのかな」、平田樹「テンションがアガってしまって試合が本当に楽しかった」
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ONE Championship「ONE: WARRIOR’S CODE」2月7日 インドネシア・ジャカルタ:イストラ・セナヤン大会には、日本から松嶋こよみ(パンクラスイズム横浜)、内藤大樹(BELLWOOD FIGHT TEAM)、平田樹(K-Clann)の3選手が参加。3人とも勝つだけでなく、存分に持ち味を発揮し、インパクトを残すファイトを繰り広げた。帰国後、ONE Championship日本支社が3選手にインタビュー。試合前、試合中の細かい局面を振り返り、今後のさらに上に向けての展望を語った。現在の3人のポジションを考えれば、あと1~2試合勝てば、新たに開催の決まった「ONE Infinity 3」10月25日 東京大会でタイトル絡みの試合が組まれる可能性も浮上する。
松嶋こよみ「癖を試合前に見つけられたのは、すごく大きい事でした」
――強敵のキム・ジェウォン戦の試合を振り返った感想を聞かせてください。
松嶋 そうですね、すごいしんどい試合でもあったんですけど、最終的には自分の作戦が上手くハマった試合かなと思っています。
――かなりアグレッシブなファイターが相手だったと思いますが。
松嶋 凄く圧は感じたんですけど、(昨年8月戦ったフェザー級王者の)マーチン・ニューイェンの圧ほどではなかった。そこはちょっと気持ちが楽になって戦えたかなと思います。
――客観的に圧力とかは実際見えない部分ではありますが、マーティンほどじゃないと言うのは具体的に何処が違いますか?
松嶋 (今回のキム・ジェウォンは)マーティンより武器が色々あるんじゃないかなと思うんですよね。マーティンはあの右があるから、他は気にせずともこれを当てるという圧が凄くて、そこに僕は精神的にやられた所があるんですけど、逆にキム・ジェウォン選手は意外と色んな所から攻撃出来るタイプだった、それが僕的にはやりやすい。それが圧を感じなく(マーティンと比べて)戦えた結果かなと思います。
――前回はマーティン選手の右を凄く気にしてしまったと。
松嶋 そうですね。向こうの強い部分を意識して自分が弱くなっちゃう所があったんじゃないかなと。今回は自分の強い所を当てようと思っていたので、逆に相手が嫌がってくれた。圧を感じなかった結果かなと思います。
――激しい打撃戦にもなりましたが、打ち勝てる自信はありましたか?
松嶋 (打撃を)貰わずに打つというのが一番大事だと思っていたんですけど、正直ダウン取れるとかは全然考えていなくて、ただ良いパンチをどんどん当ててテイクダウンに繋げていこうと思っていました。
――2、3R消耗していく中、どのようなセコンドの指示だったのでしょうか?
松嶋 2Rにダウン取った時も「急がなくて良い」って言ってくれて、そこで焦らず、もちろんそこで決めたかった気持ちもあったんですけど、体力温存させる為にも「焦るな、焦るな」って言ってくれたので、そういう部分ではあの場面で急ぎ過ぎなくて良かったなと。もしあれで動き過ぎてたら体力無くなって次のラウンド行けない状態だったなと思うんで。
――ダウンを取った時、自分の拳の感覚と手応えとしてはどうでしたか?
松嶋 一回倒れた時は相手の目がまだ虚ろだったので「このまま行けるかな」と思って倒しに言ったんですけど、パウンドを入れる中で相手が起きて来たのが目で分かったんです。もちろん(セコンドの)北岡(悟)さんの声も聞こえて「ここは休もう」って意識をすぐに切り替えられました。
――徐々に相手の意識が戻ってきて相手がホールドして来ましたよね
松嶋 ONEの採点方法でもあれだけダウンとったら大きいと思うんですよ。ただテイクダウンを取って上にいるだけでは無いので。その部分では安心して休むことが出来たかなって。
――3R目のフィニッシュを振り返ってみてどうでしたか?
松嶋 ただただしんどかったですね。パンチで倒した後は乳酸が溜まって「早く止めてくれ、早く止めてくれ」と思ってました。その前のキム選手が前に出て来てくれたおかげで下がったところにパンチだったと思うんで、もちろん彼が攻める気持ちがあったからこそ起こった最後の結果だと感じます。
――実際に対峙して見つけた相手の癖は?
松嶋 すごく特徴的な腕の振り方をしていたので、そこを狙っていて。右のストレートがそんなに見えていないだろうなと感じていたのでその部分では作戦が当てはまったなと。
――それは試合中に気づきましたか?ビデオなどでしょうか?
松嶋 ビデオです。試合当日の試合前にちょうど見ました。会場行きのバスの中で北岡さんとトレーナーさんとみて「やっぱり左手落ちてくるね」と話をしてて。左ボディ、左フックが強いので、狙う時、上下の振りがある。そこでやっと気づきました。(左ボディ打ってくる時)体も傾けてくるのを試合前に見つけられたのは、すごく大きい事でしたね。作戦は最初から決まっていた事を当てはめただけなんですけど、丁度相手の癖とも合わさって上手く入ったなと。
――打投極の全てを織り交ぜたMMAを見せてくれましたが、今の自分自身の完成度はどれくらいですか?セコンドの方はまだ完成度は2、3割ぐらいだと言ってましたが。
松嶋 そうですね、まだまだ強くなれると思うし、試合の映像を見てもダメな部分が何個も見つかって2割3割ぐらいでいいかな。まだまだあるって所を見せたいですね。
――今後、戦う相手も松嶋選手の癖を研究してくると思います。
松嶋 毎回違う動きをするので、逆に見つけにくいのかなと。ただ、レスリングがみんな印象付いているので、それを餌に違う攻撃をする事が、今後の課題かなと。
――松嶋選手のレスリングを駆使した戦い方は非常に体力を消耗する戦い方です。今後の課題はなんでしょうか?
松嶋 もちろん、自分の強みがレスリングであることは今後も変わらないし、ただその中で打撃を織り交ぜて、尚且つ倒した後も攻めていけるかをもっと突き詰めていきたいなと思います。
――フェザー級王者まであとどれくらいの道のりになると思いますか?
松嶋 まだまだ遠いと思いますね。それ以外にも強い選手がいっぱいいるので。その選手達とも戦わないといけないし、順番に並んでるものなのでマーティンもすぐ僕とやる必要はないと思います。一つ一つ勝って、まだそこに辿り着かないといけないですね。
――アピールするのであれば次は誰と対戦してみたいですか?
松嶋 誰ともやりたくないのが一番ですけど(笑)、僕とやりたい人がいればって気持ちでいます。誰とやってもしんどいので、そこで勝ってタイトルマッチ出来るんであれば、そんな対戦相手とどんどん戦っていくしか無いのかなって。
――応援してくれるファンの方々へメッセージ
松嶋 今回は試合応援して頂きありがとうございます。タイトルマッチまで遠い道のりではあると思うのですが、一つ一つ積み重ねてベルトを狙っていきたいと思うのでこれからも応援宜しくお願い致します。
内藤大樹「鈴木さんが『腹くくって右だ!』と」
――強敵のマイケル・サバス戦の試合を振り返った感想を聞かせてください。
内藤 一言でいうと、「本当に精神的に疲れた試合」というか頭を使った試合だったと思います。フルラウンド通して一瞬も気が抜けない試合でした。気が抜ける試合なんて無いんですけど、より今まで経験した試合の中でも一番精神を使うというか…終わった後はどっと疲れましたね。
――相手の戦績が先行して、必要以上に強いイメージを持たれていたかもしれませんが、実際対峙してみてどうでしたか?
内藤 事前に強い選手だという事はしっかり理解した上で戦ったので、そこまで驚くことはなく 単純に強い中でどう戦おうかという冷静な部分がありましたね。
――想定を上回った所は?
内藤 圧力ですかね。どのくらいあるのかなと思ってたんですけど。ダウンさせても最終ラウンドまで詰めてきたので、今まで経験した事がないタイプでした。大体、ダウンしたら怯んで一方的にいける展開が多かったので、圧力が今までの選手とは違うなと感じましたね。
――足の場所や間合いの支配率はどうでしたか?
内藤 周りから見れば自分が下げられているように見えるんですけど、その中でマイケル選手がやりづらい距離、クリーンヒットを与えない距離は常に保っていたのかなと思います。
――ダウンを2度奪っての完璧な試合でした。どのような作戦で挑みましたか?
内藤 今回は、まず下から削る作戦で、カーフキックはバレてるなと。インローとカーフでは無く前足で腿を蹴るローキックを多用しようと思っていました。その中で倒すのであれば右ストレートかなっていうのは自分の中でありました。
――どのタイミングで勝ちを確信しましたか?
内藤 1ラウンドは完全に取られたなと正直思うんですけど、1ラウンド後半から相手のパンチが雑になってきて、少しイライラしている感じが自分もセコンドも分かっていたので、段々後半にかけて自分のペースに持っていけてるなと。相手にやらせたい事をやらせずにイライラして大振りになって来た所を狙う作戦だったので、徐々にハマっていったのかなと思いますね。
――1回ダウンを取って落ち着いてましたか?それとも、もっと引き離そうと思うなど、焦りはありましたか?
内藤 逆に落ち着いてましたね。しっかり見て、やはり一発のある選手だし、諦めないのは分かっていたので。変にムキになって(打撃を)もらうよりは、もう一度仕切り直して、冷静な部分はありました。今回はラウンドを重ねる毎に冷静になるように自分に言い聞かせてましたね。
――3Rダウン取った時、かなり相手も焦って襲いかかってきましたよね。その時はかわそうと思いましたか?それとももう一度ダウンを取ろうと思っていましたか?
内藤 チャンスがあればいきたいなと思ったんですけど、そこはセコンドがしっかり見ていてくれて「今行くタイミングじゃない」と。その声はしっかり聞こえていたので徹底して切り替える事が出来ました。セコンドがあそこで間違えて「行け」って言われたら逆転されてた可能性もあったと思うので。
――つまりチームワークが活かされたと。
内藤 今回本当にチームワークを感じましたね。あの2回ダウン取ったあのパンチは2回とも鈴木博昭代表の指示で。出したパンチが当たったので正直ビックリしましたね。
――それは鈴木さんが合わせろと?
内藤 「腹くくって右だ!」と。あの右クロスしかないと。
――マイケル・サバスを倒したということは、いよいよフライ級トップランカーの仲間入りですね。
内藤 ようやくフライ級の強豪の中に入れたのかなと自分でも思っています。一瞬でも満足したらすぐに潰されてしまうと思うので、より気を引き締めて行こうと思います。
強い選手はどんどん出てくると思うのでその選手達を次々倒していきたいなと。
――次の対戦相手は誰でも良いと言ってましたが、お名前を挙げるとすれば?
内藤 やっぱり、正直このままタイトルマッチが理想かなと思いますけど、そうでなければタイトルマッチを経験した選手ハガティーだったりゴンサルベスだったりとか。そういう選手に勝てば本当に「内藤しかないだろ」って分からせる事ができると思うので。
――フライ級王者のロッタンまであとどれくらいの道のりだと思いますか?
内藤 そうですね、まず日本人がフライ級王者に挑戦した事がないのが大きいと思うので、タイミング的にダイレクトマッチで戦える可能性はあるのかなと。
――もしロッタンと試合するとなるとどういった展開になる?
内藤 あのロッタンの圧を捌ききるのは相当難しいと思うのですが、逆に自分が前に出るというかロッタンのやってる事を自分もやる。真正面からぶつかるのも面白いのかなと思います。
――応援してくれるファンの方々へメッセージ
内藤 いつも日本から応援ありがとうございます。
戦う場所は海外ですけど、日本からの応援がすごく力になっているので必ずその期待に応えて世界の強豪の中で生き抜いていきたいと思っていますので、これからも日本からの応援宜しくお願い致します。
平田樹「テンションがアガってしまって試合が本当に楽しかったです」
――1R少し重たいスタートだったと思いますが、2R、3Rとどんどんギアが上がっていきました。今回の試合を振り返った感想を聞かせてください。
平田 過去一番楽しかった試合でしたね。本当は1ラウンドで極めようとずっと思っていたんで、その思いが強すぎて動きが固かったのかなと思いました。
――打撃でいこうと思っていましたか?それとも組みに行こうと?1ラウンド目は距離が合ってない感じがありました。
平田 結構対策されてて、足取りに行った時もすぐ距離を取られたり、離れたりで組みづらいなと1ラウンド目は思いました。
――ハイドレーション(尿比重検査)&体重の作り込みと、キャッチウェイトになるまでの判断は非常に大変な思いをしている印象がありました。試合までの取り組みを振り返っていただけますか?
平田 1回目の計量がダメで、2回目もダメだった時は「もう試合したくないな」と思って部屋に引きこもって。試合になってもどうなのかな、良い試合できなさそうだなって思ったり…。色んな人からメッセージもらうのも嬉しい反面、出来なかったら申し訳ないと色々考えていました。試合出来るような気持ちでは出来なかったです。当日の朝もやるか分からない、相手次第と言われてて。ギリギリ12時にやるって決まって、そこから全部力が抜けて軽くなった感じで、「ああ、やるって決まったんだ」と。そこで、すぐに髪の毛しばり始めてから気合いが入りました。
――相手は実際に組んでみて、想定内でしたか? それとも想定外?
平田 想定外でしたね、もっと前に出てくると思っていたので。打撃も来なくて、組んでみたら腰も強くて倒れないし全部逆でしたね、重たいと思いました。投げた後も対策されていたようで一回袈裟固めで抑えたのに返されたので。
――そうですね、一度返されましたよね。
平田 返された時、セコンドの横田(一則)さんの方を見てて指示聞いてたら返されて(笑)試合が終わった後、横田さんに「俺のせいだ」ってすごく謝られて(笑)
――よそ見してたって事ですか?
平田 そうなんですよ(笑)。セコンドもみんな気づいてて目が合ってそのまま引っくり返されて。自分でもビックリしました。試合を見ていただいたら分かるんですけど、自分でも何やってんだよー!って思いました。
――横三角の展開にもなりましたね。極めようと思ってましたか?
平田 極める予定でした。けど、自分の足もきつかったんで、極めにくかったです。
――その後アームロックを狙っていましたね。
平田 何度か腕狙ったんですけど相手のクラッチのパワーがすごく強くて、やりづらかったです。
――あの流れから前回の極め技の洗濯バサミもあったかと思うんですが。
平田 (洗濯バサミも)狙ったんですけど、同じフィニッシュじゃつまんないって試合中に思って。あのアームロックからいけるんですけど、同じじゃダメかもしれないと。
――あの時とっさに(同じ極め技じゃ)面白くないなと思ったんですね(笑)
平田 同じ技は嫌だなと。多分いけたと思いますけど、あえて違うフィニッシュで…
――あのダンスは無意識で体が動いたんですか?
平田 本当に無意識です。あんなのやる予定なかったんですけど、何だろうな…テンションがアガってしまって試合が本当に楽しかったです。舞い上がり過ぎてしまいました。
――2ラウンド目にいけるって思いましたか?
平田 はい。相手の口もずっと開いてて絶対に仕留めようと思いました。
――3R目は打つごとに掛け声がかかって(声を出しながら打って)ましたね。
平田 完全スイッチ入ってました。相手もどんどん(体力が)落ちてきたので、これはチャンスだ、全部出そうと思ってそうなりました。
――(ダンスを踊ったり、打つときに無意識に声が出る現象について)前回のインタビューでは魔法にかかっていると表現してましたが。
平田 魔法かかってます!!完全にかかってますね(笑) 全部無意識ですね…
――どんな感覚ですか?
平田 何だろう..絶対倒してやろうって感覚ですね。一回一回のパンチに全力を尽くして何が当たってもいいように全力で打ってます。
――テイクダウンからのパウンド、ヒジも強烈でしたね。レフリーストップが入ってくると思いましたか?
平田 2Rで本当は来るとは思っていたんですけど、3ラウンドいつ止めてくれるかなって思って。結構相手も嫌がってたので、最後追い打ちをかけてやっと終わったので良かったです。
――終わりはTKOでした。
平田 本当は全部寝技で極めたかったんですけど、色々やってみて今回はパウンドが一番良かったので。
――別の話になりますが、ドラゴンボールの「人造人間18号」にそっくりだと試合前にすごく話題になりましたね。
平田 バズりましたね (笑) 海外の選手もそうですけど、海外のファンの人達も「アンドロイド18だ」って言ってくれて。
――すごいコメントの嵐でしたね。ご自身受けてみてどうでしたか?
平田 良かったと思います。もっと人造人間18号を超えられるくらい強くなりたいので、もっと頑張ります(笑)
――フェイスブックのシェアは4700、いいねは1万2千を超えました。
平田 遂にキャラが一緒になりましたね(笑)
――今後は試合以外でどのような活動をしてみたい?
平田 色んなことしてみたいです。格闘技以外のスポーツもしてみたいし、食事面の勉強もしたいし、周りの選手のサポートも出来ればと思います。
――アトム級で一番警戒している人はいますか?
平田 スタンプ選手ですかね。まだまだアンジェラ・リー選手には届かないし、タイトルマッチなんてまだまだなので。スタンプ選手とはやりたいですね。今、同じ戦績くらいなので。
――いつ頃試合をしたいですか?
平田 4月、5月にはすぐに試合したいです。
――今後の課題は?
平田 今まで通り寝技も打撃もやりたいので、試合に出るとデビュー戦よりどんどん良くなってきていると思うので、もっと勉強して色んな技術取り入れたいです。打撃の方をもっと力入れたいです。
――スタンドでもKOを狙う?
平田 はい、そうですね。女子っぽい試合はしたくないので、アグレッシブな見てて面白い試合をしたいです。
――もっと強くなりますか?
平田 もっと強くなりたいですし、強くなれる自信はあります。
――応援してくれるファンの方々へメッセージ
平田 試合の応援ありがとうございました。計量とか試合前とか沢山の人に支えられて感謝しかないです。相手の選手にも感謝しかないです。次の試合はしっかりコンディションバッチリにして臨むのでこれからも応援よろしくお願い致します。