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“Sへの一席”を賭け、王者組一回戦突破

SHOOT BOXING 2008 火魂(たまし)其の四
2008年7月21日(月) 東京・後楽園ホール
 11月に開催が決定したSBの最大イベント「S-cup」へ向け、日本人出場枠を賭けた4人トーナメントが開幕。2階級タイトルマッチも兼ねるこの戦いは、王者の宍戸と金井に、2人のチャレンジャーが全身全霊を傾けた戦いを仕掛け、王者の牙城を揺るがしかねない接戦となった。 
第10試合 SBウェルター級(67kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
○宍戸大樹(シーザージム/王者)
×山口太雅(寝屋川ジム/挑戦者)
判定3-0 (49-46/50-48/49-46)
※宍戸が防衛

 今回の“Road to S-cup”出場者四人の中では最も実績的に劣る山口が、抜擢に応えて覇気のある試合を繰り広げてみせた。

 序盤からチャレンジャーらしく積極的に左右のフックを振って、プレッシャーを掛ける。接近戦ではアッパーにヒザ、離れ際には宍戸の得意技であるバックブローまで繰り出す怒濤の攻め。宍戸は前蹴りでその出足を止めようとするが、パワーに勝る山口の重戦車的な突貫攻撃に、防戦ぎみの展開が続く。山口の作戦はスロースターターの宍戸のペースを序盤で崩してしまうことにあったようで、その背後には“浪速の知将”吉鷹弘の影が色濃く匂った。
 
 方や、それを言うなら宍戸もシーザー武志の魂を受け継ぐ男。
 精度より手数とばかりにガード上から遮二無二パンチを振ってくる山口の勢いに対し、アゴへのエグい前蹴り、至近距離では突き上げるヒジと、効果抜群の切り返しで応戦。じわじわと、しかし確実に“攻めダルマ”のバランスを崩して行く。さらに得意のソバット、ミドル、ヒザと山口の腹に攻撃を集めると、さすがに山口の攻めから当初の勢いが削がれ、中盤あたりから次第に手数も減った。投げの選手ではない彼が自分から組み付く場面が増えたのは、積み上げられたダメージの証左だったのかもしれない。

 だが、この日山口はそこで折れる事がなかった。ミドルで腹を打たれ、一瞬苦しそうな表情を見せながらも、また果敢にパンチを振り、血のにじんだ口元には笑顔すら浮かべて突進してくる。ダメージ的にはかなりのアドバンテージをとりながら、宍戸はこの山口の気力を折る事が出来ない。4R終盤、右のミドルが腹に刺さり、さすがに上体を折って苦悶した山口だったが、そこに宍戸がドドメとばかりにパンチラッシュを浴びせても倒れず。最終ラウンドようやくヒザからのパンチラッシュでスタンドダウンを奪ったものの、最後まで山口をマットに這わせる事はできなかった。スコア的には大差がついたが、王者宍戸に「これまで対戦したすべての選手の中でも一番気持ちの強さを感じた」と言わせしめた挑戦者の精神力は特筆に価する。

 宍戸は、試合後の会見でも「今、S-cupを目指して行くこの時期に山口選手と闘えたのはうれしかった。がむしゃらさを頂いた感じ。このカードを今の時期に組んでくれた(シーザー)会長にも感謝したい」とこの一戦の意義を改めて口にするほどであった。


第9試合 SB日本スーパーウェルター級(70kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
○金井健治(ライトニングジム/王者)
×大野 崇(Unit-K/挑戦者)
判定3-0 (50-45/50-46/47-46)
※金井が防衛

 昨年11月の山口太雅戦でのKO勝利を皮切りに、王座を奪取した菊池戦、そして出世試合と言ってもいいK-1ファイター・アンディ・オロゴン撃破と連勝街道を突っ走り、今一番勢いにSBでも最も上昇気流に乗っている選手といえば金井だろう。その快進撃に待ったを掛けるべく、王座挑戦をぶち上げた大野だったが、やはり時の勢いを変えるのは難しいかったようだ。

 試合前の煽りビデオで奇しくも大野自身が語っていたように、勝負は「打たれ強い人と打たれ弱い人、蹴りの人とパンチの人、髪の毛の有る人と無い人。すべての面で対照的な勝負」ーー(最終項目は勝負とは関係ないにしろ)自分の揚げた対照軸すべてで皮肉にも自分が割りを食う展開となってしまった。

 ミドルを中心にハイを織り交ぜつつ、自身の言葉通り蹴りでペースを作ろうとする大野だったが、金井のパンチ攻撃がそれを分断する。早いステップワークと上下に打ち分ける多彩なパンチのコンビネーションを見せた金井は、フィニッシュの左フックに繋ぎ、何発もクリーンヒットを奪う。コーナーに詰められてパンチを浴びた大野は、早くも2R頭の段階で眉根をカット。

 くわえて、金井は2Rを除く全ラウンドで投げによるシュートポイントを奪取し、着実に大野を追い込む。だが、メイン同様“王座&S-cupへの道”が掛かった一戦に、挑戦者はどうあっても倒れる訳には行かない。金井のパンチに、眉のカットと鼻血で赤鬼のような顔にされつつも、大野はヒジの多用で逆転を狙う。意地になってヒジにはヒジをと打返す金井だったが、これが盤石だった攻めのペースを狂わせた感もある。距離の狂いと足が止まった事もあって、金井のプレッシャーが薄れたのだろう。3R以降は次第に大野のローとヒザが効力を発し、金井はいい蹴りを貰うたびに腰を引くシーンが見られる。また面白いように大野の顔面を捉えていた左フックも、前半で多用し過ぎて拳を痛めたためか、有効打がめっきり減り、勝負の行方は俄然混沌とし始める。

 ただ、この大野の追撃もダウンを奪うまでにはいたらず。最後は攻め疲れもあってか、最終ラウンドのゴングとともにマットにへたり込んだのは大野の方であった。結局判定はダメージの蓄積と、投げで確実にポイントを稼いだ金井の“貯金勝ち”となった。

 試合後「強気で行くつもりだったけど、ヒザを警戒し過ぎた」と反省しきりの金井。ただ、次の宍戸戦に関しては「キツい相手でうれしいというか、美味しい。勝って行けばいつかは闘わなければ相手だと思っていた」と前向きなコメントを発して、“Sへの通行手形”を巡る決戦に正面からぶつかる姿勢を見せた。


第8試合 57kg契約 3分3R(無制限延長R)
○ファントム進也(龍生塾/SB日本スーパーバンタム級王者)
×ニコ・ファレイゼン(ベルギー/チーム・サワー/WAKOベルギー・スーパーフェザー級王者)
判定2-0 (29-29/30-29/29-28)


第7試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(無制限延長R)
−石川剛司(シーザージム/1位)
−歌川暁文(U.W.F.スネークピットジャパン/2位)
3R 1'57" 無効試合 (両者負傷)


第6試合 ヘビー級 3分3R(無制限延長R)
○アレックス・ロバーツ(米国/空柔拳会館/SB日本ヘビー級1位)
×マジェスキー・ザ・ハリケーン(ブラジル/チーム・ブラジリアン・ディザスター)
1R 1'41" KO (3ダウン:膝蹴り)


第5試合 ヘビー級 3分3R(無制限延長R)
×岩下雅大(龍生塾/SB日本ヘビー級2位)
○ミュン・ホンマン(韓国/AN SUNG SUL BONG GYM) 
判定0-3 (28-29/27-29/28-29)


第4試合 女子51kg契約 2分3R(延長1R)
○レーナ(及川道場)
×富田美里(シーザージム)
4R 判定3-0 (10-9/10-9/10-9)       
3R 判定1-0 (29-29/30-29/29-29)




第3試合 60kg契約 2分3R(延長1R)
○島田洸也(シーザー力道場)
×木滝諒栄(フリー) 
2R 終了時 TKO (ドクターストップ:肩の脱臼)     

第2試合 57kg契約 2分3R(延長1R)
○伏見和之(シーザー力道場)
×大沢豊慶(大村道場) 
判定3-0 (30-27/30-28/30-28)      

第1試合 65kg契約 2分3R(延長1R)
○鈴木博昭(ストライキングジムAres)
×湯田達巳(シーザージム)
判定3-0 (30-26/30-26/30-26)

・写真:ひっとまん大場。

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