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新大会旗揚げ。横山剛、戦極参戦前に完勝:12.5 熊本

神風塾熊本本部主催「火の国格闘伝説 Legend 1」
2010年12月5日(日) 熊本・益城町総合体育館メインアリーナ
  レポート&写真:井田英登

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第10試合 ダブルメイン(2) 70kg契約 3分3R
◯横山 剛(CRAZY WOLF/CMA KPWミドル級王者、士道館全日本4回優勝、2003年正道会館全日本軽量級優勝)
×勇気(神風塾熊本/国際チャクリキ協会ミドル級2位)
3R 0'29" TKO (レフェリーストップ:ボディへの膝蹴り)

 10月に我龍真吾を下し、年末にはビッグイベント「戦極 soul of fight」への出場の決まった横山にとって、これはつまづくことは許されない試合だ。逆に言えば、いかに無傷でこの試合をクリアし、なおかつ地元ファイターに格の違いを見せつけるかが課題であった。

 パンチ勝負で前に前に出てきた勇気に対し、横山は前蹴りで距離を作り、呼び込んではロー、組んでは膝と自在にペースを握り、1R中盤には左ハイでダウンを奪うワンサイドゲームを演出した。無論、勇気も前に出てパンチを振るうが、なかなか有効打を得ることが出来ない。2Rも序盤には逆に横山がパンチ連打を重ねて、ロープ際に追い込んで再度のダウンを奪取。コーナーに詰めて膝。胴回し蹴りなどトレードマークの“飛び技”を織りまぜて、余裕の戦いぶりを見せる。
 特に相手の膝あたりを軸足の踏み台にして、ハイキックを見舞うこの胴回し風のアクロバティックな蹴りは、テニスの錦織のスマッシュに倣って“エアK(ick)”とでも呼びたくなるような華があり、初見参の熊本の観客にもウケはよかった。ただ、こうしたトリッキーな攻めは、よほどシビアにタイミングを謀るのでない限り、競技的には苦し紛れの掛け逃げで終わるし、多用すればするほどシビアな勝負論の中での効用は薄れていく。
 初のベルトを巻いてプロ意識の芽生えてきたであろう横山にとって、観客サービスの側面が大きいのかもしれない。衣装や髪型にも凝り、往年の魔裟斗を彷彿とさせる自己演出にも余念のない彼は、格闘技界全体が低落基調にある現在、本来ならスター候補生として、もっとプッシュしたい存在ではある。

 ただ、格闘スポーツの魅力は白黒の明快さ、煎じ詰めて言えば「強さ」をどう見せるか、が総てに優先する。シビアな勝負論がベースにあってこそ、他のスポーツにない迫力と説得力を生むわけで、技のサーカスではシビアな観客のニーズは満たせない。
 晩年のアンディ・フグのかかと落としのように、使うことが“お約束”になり、相手も十分対策が出来てしまっては、武器とは呼べない。あくまで視野の外である頭上から落ちてくる“想定外”の技であり、きちんと相手にダメージを与えられたからこそ、かかと落としは脅威だったのだ。予め“横山は飛ぶぞ”と警戒されてしまうのでは、“必殺技”の“殺”の部分が弱まる。ボンヤスキーのフライングニーが、通常パンチキックで十分勝負を決することができる地盤の上で、“いつ飛んでくるかわからない”という脅威感を感じさせるのとはまた話がちがうのだ。
 横山が、あの華麗な空中技を真の意味での「伝家の宝刀」として磨き込めるか否かは、プロとして“何を伝えるためにリングに上がるか”という問題とも密接にリンクしてくる。いずれ、彼の進路を大きく分ける要素になるだろう。特に、彼が“ポスト魔裟斗”の座を狙うのであれば、広く一般社会にまで浸透した魔裟斗の真の魅力は何処にあったか、今一度深く考えてみて欲しいとも思った。

 さて、余談が過ぎた。試合レポートに戻ろう。
 2R終盤、両者の実力差故に生じた怖いシーンがあった。
 横山はラスト10秒を告げる木拍子に合わせるように、ハイを放ち、ぐらついたところに膝を浴びせたのである。勝負あったかと見えた瞬間だったが、勇気はかろうじて倒れること無く踏みとどまり、ゴングに救われる。この最後の一連の攻撃は明らかにダメージが大きく、ダウンを採るかは別にしても、レフェリーは、勇気の戦意確認を行っても良かったように思えた。ここまでの試合、選手の安全確保のため、レフェリーストップによる試合終了が多かったが、それ自体は非常に素晴らしい判断であると感じていた。それだけに、この最終試合の続行には、少し違和感が残った。

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 ただし、そこに至るには、レフェリーと選手双方に理由のある微妙な伏線があった。
 この大会では通常のキックルールではなく、K-1スタイルの「掴み一回につき一撃の膝」が採用されている。すなわち二発目は禁止、ブレイクされる変則ルールであり、当日試合を裁いたNJKF山根レフェリーが裁く通常のルールとは、基準が大きく異なる。そのせいもあってか、ブレイク指示を告げる判断が遅れる瞬間があったように思えるのだ。
 事実、試合中、横山は膝攻撃の後、背中を叩いてストップを掛けたレフェリーの指示に気づかず、ブレイク宣告後にパンチを重ねてしまった。コンビネーション自体は膝一発→パンチであるからルール違反ではないが、ブレイク宣告が挟まれば選手は動きは止めねばならない。
 そこに時差がなければ問題はないのだが、横山にすれば既にパンチ動作に入った後のブレイク指示に感じられたのだろう。選手はコンビネーション攻撃中にそう簡単にストップできるものではないから「止めたいなら、割って入ってもっと明示的に止めろ」と言いたくなるであろうし、レフェリーサイドは慣れない変則ルールの、コンマ数秒判断の間に、容赦なく突っ走る横山の攻撃に不信感を生じさせていたようにも思う。
 こうした両者の意識のすれ違いを埋めるべく、山根レフェリーは、横山にブレイク指示の順守を注意するため、ゴングを聴くや否や赤コーナーに直行してしまったのである。
 実はこのインターバル中、勇気はセコンドに「マウスピースが噛めない」と訴えていたそうであり、 試合後、顎の骨折で入院している。レフェリーが赤コーナにではなく、青コーナーへ赴き、ダメージ確認をすることが可能であったなら、この怪我は最低限で抑えられたのではないかとも思うのだ。(無論、セコンド判断ででタオル投入しても良かったわけだが)
 いずれにせよ、勇気の負ったダメージは著しく、最終ラウンド開始早々、ボディへの膝を浴び、血を吐いて腰を折ってしまった。その姿にようやく続行不可能との判断が下り、試合は止まった。ただ、選手の安全面を思う上で、若干後味の悪いフィニッシュとなったのは否めない。

 一方、試合後マイクを取った横山は「勇気選手は気持ちが強くて、なかなか倒せませんでした。12月30日有明コロシアムの戦極で、山内佑太郎選手と対戦します。もっともっと強くなって、もう一度熊本に帰ってきたいと思います」と満場の観客に挨拶。
 試合中の葛藤はおくびにも感じさせず、メインイベンターにふさわしく、場を綺麗に締めくくった姿は評価に価する。一見イージーファイトに見えた試合の中で、競技面と観客論の狭間に揺れつつメインの重責を荷なったことは、まだまだ道半ばの横山にとって大きな経験となったことだろう。
 奇しくも熊本は約十年前の2001年、まだMAX勃興期にK-1のヘビー大会が開催された場所でもある。並み居るヘビー勢に混じって魔裟斗がリングに登場し、話題をさらった大会だ。偶然、今回のLegendの開場を待つ長蛇の行列を撮影していた時、その当時の興奮を得得と友人に語るファンを見かけた。観客とはかくも熱狂の記憶を残しているものかと、印象に残った。
 本日会場を埋め尽くしたファンたちが、真にこの大会を「Legend」として語り継ぐか否かは、メインを務めた横山が、年末の山内との一戦に、そして今後のキャリアで、如何なる結果を出すかに掛かっているのかも知れない。


第9試合 ダブルメイン(1) Lady's Fight 63.5kg契約 2分3R
◯モニカ(スウェーデン/DRAGON GYM/MUAYTHAI AGAINST DRUG 66kg級王者)
×神風萸暉美 [ゆきみ](神風塾熊本)
2R 0'45" TKO (レフェリーストップ:ボディパンチ)

 モニカは、今年8月に「タイ王国王妃誕生記念興行 Queen's Cup 2010」で、Muaythai Against drugsのタイトルを奪取したばかり。プロ五戦目にしてこの快挙を成し遂げた新鋭をいち早く起用したあたり、この大会のプロモーターの嗅覚の鋭さを感じさせる。



 しかし、タイトルホルダーであるモニカの実力は当然高い。184センチの長身から繰り出すストレートは、対戦相手には雲の上からの爆撃であり、コンパスのような急角度で、腹や顔面に突きあげられる膝は、まさに急所を“抉る”殺人兵器と化す。彼女のリーチで戦えば、まず対戦相手の反撃はモニカの頬を掠ることもできない。いわば、女子版セーム・シュルトとも言うべき恐るべき存在なのである。

 神風ジム代表としてこの難敵に挑んだ神風萸暉美は、二年前同じ熊本で開催された「激突」でラウンドガールを務め、後に神風塾の門を叩いた異色の選手。入門半年でNJKFのプロライセンスを取得。以後4戦2勝1敗と戦績を重ねている。モニカの北欧系の整った美貌との取り合わせは、まさに「美女対決」のキャッチフレーズをつけたくなる誘惑に駆られるが、リングの上で美を讃えても意味が無い。そこで争われる価値感はあくまで強さのみだ。

 般若の面を被り、日本刀を手に入場した萸暉美の想いは、女性らしいたおやかさを裁ち切り「私の強さだけを観て」という決意表明と受け取っていいだろう。しかし、その意志は、逆にRAJAの文字が刻まれたピンクのキックパンツに、おそろいの色でコーディネートされたモンコンと腕輪。少女っぽい可愛さをコスチュームに刻み込み、萸暉美とは対局のベクトル=「強い女が可愛さも求めてはダメですか?」と全身で主張するモニカの猛攻の前に、見事に蹂躙されることになる。


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 大振りなフックを撃ってくる萸暉美に対し、オーソドックスに構えたモニカは、圧倒的有利なリーチで左ジャブを打ち下ろしていく。これだけでストレート並みの衝撃になるのは前述のとおり。萸暉美は試合開始早々から、顔面を赤く腫らすハメになる。前に出ようとする意志は強かったが、モニカはその出足を前蹴りで突き放し、さらにパンチを浴びせるので、神風はまっすぐ足を揃えて下がる一方となる。モニカの右ストレートに対して、萸暉美が左のクロスを振って懐に飛び込んでくると、今度は組んでボディに膝をぶち込む。
 モニカは、シンプルだが的確なこの戦術を徹底しており、防戦一方に追い込まれた萸暉美が棒立ちなったところに、女子の最大の弱点であるボディへのパンチが打ち込まれ、萸暉美はあえなくダウンを喫する。だが、このピンチに萸暉美はなんとか気力で仁王立ちに立ち上がる。ともすればファイティングポーズも辛い気配の萸暉美だったが、なんとか試合再開を勝ちとり、1Rはコーナーに生還する。 しかし、2Rを迎えると、一気に勝負を決める勢いで、モニカがスタートダッシュを掛ける。まずダメージが明らかなボディに膝を浴びせ、さらに右のボディアッパーで再びダウン奪取。マットを叩いて立ち上がった萸暉美だったが、視線を確認したレフェリーは首を振り、試合終了が宣告された。

 地元のメディアでも取り上げられることの多い萸暉美の敗戦で、場内は沈鬱な雰囲気に支配されかかったが、そこでマイクを取ったモニカが「ユキミ選手は気持ちが強かったのでワタシにもとても勉強になりました。ありがとう」と、意外にも流暢な日本語で喋り始めたため、アウェイ一色だった会場の空気感が一変。試合中の険しい表情とは打って変わって、春風駘蕩な笑顔を振りまきながら花道を下がるモニカに、ファンからは好意的な掛け声が飛んでいた。


第8試合 セミファイナル 65kg契約 3分3R
◯中村広輝(赤雲会/J-NETWORKライト級5位・OMAFライト級王者)
×海戸 淳(y-park/NJKFライト級2位・元全日本ライト級1位)
判定3-0 (30-29/30-28/30-28)

 神風塾vs県外ファイターの対抗戦が並ぶマッチメイクの中で、唯一例外となったこのカードは、中央のキックファンにとっても興味深い内容となった。
 昨年、J-NETを中心に本格的に本土進出を果たし、ナチュラルな体格ながら130キロのウェイトを上げる筋力を活かした破壊力抜群の右で、KOパンチャーとしての存在を知らしめた中村。今回はその才能を早くから認め、沖縄格闘技連盟時代から重用してきたMr.神風の熊本旗揚げ戦であり、中村は当然のように神風塾客分的な位置づけでセミファイナルに名前を連ねることとなった。
 対戦相手に起用されたのは、元テコンドーITF三階級王者にして、元全日本キックライト級1位、テコンドー仕込みのトリッキーな蹴りを武器に、移籍先のNJKFでもライト級2位を維持。実績面では中村を上回る海戸。
 こんな団体をまたいだランカー対決が実現してしまうのは、地方イベントならではの醍醐味だが、新進気鋭のハードパンチャー中村と、蹴りを駆使するベテランである海戸の対決は、両者のコントラストが明快なだけに、中央でもマニアが注目するカード編成であるといえよう。

 実際、勝負は中村が一撃必殺の右を炸裂させるか、基本ムエタイスタイルで軟投型の海戸が、その勢いをどう殺して自分のペースに持ち込むか、それぞれの主導権争いに焦点は絞られていたと言えるだろう。
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 予想通り、序盤は海戸がミドルと前蹴りそしてジャブを駆使しながら、安全な距離をキープしようとする展開で幕を開けた。一方、その明らかな軟投ぶりに眉を釣り上げた中村は、ひたすら打ち合いを迫ってパンチ勝負を仕掛けていくが、やはり右一発を狙って露骨に拳を振り上げるため、なかなか海戸を立ち止まらせる事が出来ない。
 焦れた中村は2R開始早々飛び蹴りを見舞い、打ち合いに応じない海戸にフラストレーションをぶつけていく。対する海戸は、得意のバックスピンキックで応じて、さらに中村をスカせる戦法に出る。この時うっかり中村の肘を巻き込んだことで、中村は悲鳴を上げて抗議。素早くレフェリーが分けて大事には至らなかったものの、このアクシデントでその苛立ちはピークに達したと言えるだろう。
 中村がプレッシャーをかけて前に出ると、海戸はローを打って下がり、さらにバックスピンキック、踵落としでその勢いを躱そうとしていく。ただ、このまま逃げ続けても、ポイントは動かない。焦らし続けても、そのままでは海戸も勝利は望めない。ラウンド終盤、中村のイライラプレッシャーの重圧に耐えかねたのか、パンチの打ち合いに応じてしまった。千載一遇のチャンスに、中村は待ってましたとばかりに、右のクロスを振っていくが、これは紙一重のウィービングで回避。ここまでは海戸の老獪さが功を奏した形で、最終ラウンドまで勝負はもつれる。
 前ラウンドのパンチの攻防の余韻が残っていたのか、あるいは眼を見開いてグイグイ前に出てくる中村のプレッシャーに耐えかねたか、海戸も首を沈めて直撃を避けながらではあるが、左のクロスで打ち合いに応じていく展開となる。
 やっと自分の土俵にあがってきた相手に、中村はひたすら右を突き出す攻めダルマと化す。無論海戸の狙いはカウンターだが、首を引いて先に逃がしている分精度が足りないし、振り切ると身体が開くので効果は期待しがたい。結局アテ感頼りに振る彼の左も中村の顔面を捉えることは出来ない。

 咬み合わないパンチの交錯に、結局判定勝負の気配がちらつきだした中盤、ようやく中村の短い右が海戸の顔面を捉えることに成功する。その一発で海戸の腰が崩れたのを観て、中村は「行けたんじゃない?」と、KOを確信した雄叫びを発する。それだけ延々続いた精神戦に消耗した証拠であろう。だが、当たりが浅かったのか、海戸は8カウントで生還する。
 しかし、これで明らかに戦況は動いてしまった。さらに飛び膝、ショートの連打を繰り出し、なんとかKOで決めたいと追撃をかけた中村だったが、この攻めは雑でもあり功を奏さない。後のなくなった海戸も、此処に至って正面からに打ち合いに応じるが、有効打はない。苦し紛れの飛び膝も的中しないまま、試合終了を迎えた。

 試合終了後、海戸は敗戦を振り返って「元々戦い方を変えていきたいと思ってて、パンチャーと戦いたいと会長に頼んでいたので、自分に回ってきたんだと思います。結局、打ち合っちゃいましたね。パンチは“効いた”というより、もっとストレートに“痛かった”。沖縄のヒトの特徴ですかね」と語り、素直に中村の勝利を讃えた。一方、中村は単調に終わった展開を悔やむ様子をのぞかせ「とにかく倒したかったんで、一発を狙いすぎましたかね」と反省しきりであった。
 内容の濃さや緊張感、そして両者のファイトスタイルの明快な対照の妙が客席にも伝わったらしく、地元勢の絡まない試合にも関わらず、客席が最も湧いた試合ではなかっただろうか。


第7試合 Lady's Fight 53kg契約 2分3R
×神風Rio(神風塾熊本)
◯谷村郁江(リアルディール/J-GIRLSバンタム級6位)
判定0-3 (28-30/27-30/27-30)

 女子高生格闘家として、地元の熊本朝日放送の密着取材を受けるほど注目度の高い神風Rioは、アマ戦績2勝2敗1分、NJKFのプロライセンス取得済みで、今回がプロデビュー戦となる、神風塾期待のルーキー。ルックスの爽やかさを売りたいのであれば、同格の新人かせいぜいデビュー数戦の相手をマッチメイクされていたであろう。だが、実際には先輩の神風萸暉美同様、あえて門下生を千尋の谷に突き落とす、サディスティックなまでの試練マッチとなった。
 J-Girlsの現役ランカー谷村にしても、逆に新人のデビュー戦の相手というのは、リスクが高い。勝って当然、食われればこれまで積み上げてきた実績が、一気に水泡に気してしまうからだ。

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 そんな谷村の選んだ戦術は、ひたすらマシンガンのように左右のパンチを打ち続け、一切の反撃を許さない絨毯爆撃戦術だった。この身も蓋もない叩きつぶし攻撃に対して何らかの工夫を凝らすには、デビュー戦の重圧や、友人たちの応援、あるいはテレビの密着取材など、背負う物の多すぎる高校二年生は、あまりに余裕がなさすぎた。
 ひたすらパンチを打ち続けてくる谷村の右ストレートをモロに食らい、序盤から鼻血に顔を染めるRio。さらに連打される拳の嵐に気圧されて、まっすぐ下がり、防戦一方の展開となる。ようやく組んでパンチの雨が止んでも、膝を先行してくるのは谷村であり、Rioは前蹴りでその勢いを削ぐしか手立てがない。押しかえされても、谷村の前進は繰り返され、Rioの攻撃は下がりながら大ぶりのパンチを振るにとどまった。
 経験差に加えて、気持ちの余裕の無さが露骨に試合に出た、苦いデビュー戦であった。


第6試合 総合格闘技ルール 無差別級 5分2R
×モーリス(米国/天下一道場)※負傷のWALKER(米国/天下一道場)から変更
◯恭平(MMAチーム神風)
1R 1'50" 三角絞め

 神風陣営の唯一の白星を飾り、全敗をまぬがれたポイントゲッターは、マイティー・モーの所属でも知られるシャークタンクで一年間格闘技留学を経験したMMAファイターの恭平だった。ただこの対戦、ウェルター級70Kgの恭平に、94Kgのモーリス――約25Kgのハンデ戦でもあった。上背も20センチ近い差があるといい、正直恭平の勝利を予想するのは難しかっただろう。

 だが、アメリカでも数戦をこなしたという恭平の戦いぶりは落ち着いており、パンチを掻い潜ると、組みついて自らスライディング気味に引きこむという柔術家の常套戦法に出た。ガードポジションで捕らえ、じわじわと下からの腕十字・三角絞めを狙う恭平。シングルハンドのハンマーパウンドでなんとかその戒めを解こうとしたモーリスだったが、ゲームメイクは恭平の手中にあり、後手に回った彼のパウンドは徐々に首周りを締め上げてくる足のフックの前に、強さを失っていった。


第5試合 総合格闘技ルール 無差別級 5分2R
×クリストファー・ラム(米国/ワイルドシーサー沖縄)
◯松本雄城(フリー)
1R 0'16" TKO (レフェリーストップ:鼻骨骨折)
※当初の記事で勝敗が逆表記になっておりました。修正してお詫び申し上げます。

第4試合 63kg契約 3分3R
△娑虎士(虎の穴/全沖縄ライト級王者)
△真斗(神風塾熊本)
判定0-1 (29-29/29-30/30-30)

第3試合 57kg契約 3分3R
◯潮風力也(赤雲会)
×MASASHI(神風塾熊本)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)

第2試合 70kg契約 3分3R
◯平山 迅(クレイジーウルフ)
×丈一朗(神風塾熊本)
3R 1'22" TKO (レフェリーストップ:膝蹴り)

 ローのガードの甘い丈一郎に対し、平山は腿の内外にローを打ち分け、試合のペースを握る。ノーガードでパンチの打ち合いに誘う丈一郎だったが、平山は乗じず。ローで出足を止め、膝で腹を攻め立て、一方的にダメージを重ね、スタンドダウンの連取で押し切った。


第1試合 70kg契約 3分3R
◯MINOタイガー(虎の穴/全沖縄ミドル級3位)
×モリオ(神風塾熊本)
3R 1'30" TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
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オープニングファイト 60kg契約 3分2R
◯山口竜司(リアルディール)
×健太(神風塾熊本)
1R 2'59" KO

オープニングファイト 60kg契約 3分2R
◯山下大希(S-cute)
×ケンシロウ(神風塾熊本)
判定3-0 (20-19/20-18/20-19)

オープニングファイト 60kg契約 3分2R
◯笹本 聖(リアルディール)
×龍太(神風塾熊本)
1R 0'23" KO


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