佐藤嘉洋の英雄伝説レポ。卜部功也勝利。郷野聡寛がアジア王者に:8.28 中国

英雄伝説アジアチャンピオンリーグ総決戦in敦煌
2015年8月28日(金) 中国・甘粛省敦煌・鳴沙山野外特設会場

  記事提供:Chinese Fighting Promotion(文・佐藤嘉洋)



第9試合 英雄伝説世界70kg級チャンピオンシップ 3分3R
×シュー・イェン(中国/王者)
〇ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア/挑戦者)
3R 1'17" KO (膝蹴り)
※ペトロシアンが王者に

 英雄伝説70kg級世界王者にスーパーテクニシャンのペトロシアンが挑むという、まるで2003年のWKA世界ムエタイウェルター級タイトルマッチの防衛戦で佐藤嘉洋がガオランを挑戦者として迎え討ったときのような一戦だ。
 試合前半こそ、シューは思い切って攻撃を仕掛けていくものの、それを見切ったペトロシアンは早々に膝でダメージを与え、またガードの隙間から綺麗に左ストレートを当てる。
 2Rにはペトロシアンが膝で2回ダウンを奪うも、レフェリーはダウンと認めず試合続行。しかし、シューの心はすでに折れているように見えた。
 最終R、バックブローなどで起死回生を図るも、ペトロシアンはそれも交わし、最後はパンチの連打からの膝蹴りでシューは力無くリングにうずくまり、これ以上立つことはなかった。ペトロシアンの完璧なKO勝利。ジョルジオ・ペトロシアン、英雄伝説70kg級世界王者に。


第8試合 英雄伝説アジア64kg級初代王座決定戦 3分3R(延長1R)
○リュウ・ウェイ(中国)
×タン・ヤオ(中国)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
※リュウが王者に


第7試合 70kg契約 3分3R
―フェン・シンリー(中国)
―ヨードセングライ・フェアテックス(タイ)
ノーコンテスト

 計量時には睨み合い、さらに記者会見でも舌戦を繰り広げた両者。ヨードセングライはK−1 70kgを制したマラット・グレゴリアンを完封している超強豪。2006年のK-1 MAXのオープニングファイトに出てきて、カマル・エル・アムラーニに何もさせずに勝利したときは、本当に衝撃を受けた。
 しかししかし、そのヨードセングライ、体調不良でまさかの試合直前で欠場となってしまった。開会式には出ていたのだが、限界に達してしまったのだろう。また生で憎らしいまでの強いヨードセングライを見たい。早い復帰を願う。


第6試合 英雄伝説アジア72kg級初代王座決定戦 3分3R(延長1R)
〇郷野聡寛(フリー)
×シンバード・シットバンク(タイ)
4R 判定3-0 (10-9/10-9/10-9)
3R 判定1-1 (29-30/30-30/30-29)
※郷野が王者に

郷野選手をはじめて間近で見たのは、2005年2月に開催された、私にとっての全日本キック最終戦だったと記憶している。彼も同様にその大会に出場していた。当時、彼はヘビー級で戦っていて、近年は中量級で試合をしているのだから、その適応力は計り知れない。
 また、総合格闘技出身ながら巧みなボクシングテクニックで長く格闘技界で活躍している猛者でもある。数年前は計量失敗の連続で評価を落としたが、今回の英雄伝説では、体重調整も慎重かつ細心の注意を払っているように見えた。ブラジルで素晴らしい減量法にも巡り会えた様子。計量は無事に一発でパスした。
 対戦相手は同じくトーナメントを勝ち上がったタイのシンバード。ちなみに、この試合は72kg級のアジアチャンピオン決定戦である。すなわち、私が持っていた英雄伝説の世界タイトルと同じ階級ということになる。
 ムエタイ特有の佇まいや間合いに、郷野は手を焼くが、首相撲でシンバードの体力を消耗させることに成功する。しかし中盤以降もなかなか攻め込ませてもらえず、試合は延長へ。
 延長Rもなかなか差がつきにくい試合内容だったが、ローキックの印象がジャッジに支持され、郷野聡寛が見事英雄伝説72kg級アジアチャンピオンの座に輝いた。


第5試合 61kg契約 3分3R
×カン・エン(中国)
〇卜部功也(チームドラゴン/K-1 WORLD GP -60kg王者)
判定2-0 (29-30/29-30/30-30)

 今大会の功也選手の相手は、長く中国ライト級のトップファイターであり続けているカン・エンだ。
 試合が始まった。カン・エンは序盤をスピードのある右ジャブ、フックでうまく戦ったのだが、卜部功也も右のパンチ、左膝を中心に反撃し、徐々にペースを握る。持ち前のアンタッチャブルなスタイルを存分に活かし、終盤はアウェイということも見据えて積極的にポイントを稼ぎ、見事な判定勝利を飾った。英雄伝説vs新生K-1の構図の対抗戦をモノにした。

 試合前日に功也選手といろいろ話をさせていただいた。新世代キックボクサーと我々旧世代のキックボクサーの違いなどを語り合った。昔はとにもかくにも打倒ムエタイが第一で、日本チャンピオンクラスになれば皆が必ずムエタイに挑んでいた。なぜなら日本のキックボクシングは、元々は「打倒ムエタイ」という意思のもとに発足したという起源があるからだ。
 しかし時は流れ、そのあり方も変容していった。だから功也はいまだに対ムエタイとの対戦経験は0なのだという。しかしながら本人に聞いてみると、ムエタイとの戦いには興味津々。「壊し屋タイプのタイ人トップと戦ってみたい」と大変意欲的だった。現在のムエタイは8割方首相撲とバランス崩しに偏重していて、K-1ルールに向くタイ人は少なくなっているのも事実。だが、ブアカーオやゲーオのようにK-1ルールでも活躍できる選手が、探せば必ずいるはず。卜部功也は、現在K-1参戦している60kg級の中では、技術的に一歩抜きん出ている。打倒ムエタイではなく、K-1ルールでムエタイトップファイターと凌ぎを削る試合が観てみたい。


※佐藤嘉洋引退記念セレモニー(中国格闘技イベント初の10カウントセレモニーとなった)


第4試合 英雄伝説アジア68kg級初代王座決定戦 3分3R(延長1R)
○メン・チンハオ(中国)
×パランチョク・シッジョンバン(タイ)
判定3-0 (30-28/30-28/30-28)
※メンが王者に

第3試合 75kg契約/3分3R>
×ジャン・ジンシュアイ(中国)
○ラムソンクラーム・チューワッタナ(タイ)
判定0-3 (27-30/28-30/27-30)

 当初、佐藤嘉洋と対戦予定だったラムソンクラームは、長くムエタイ中量級のトップ戦線に居続ける選手。対戦相手のジャンになにもさせず、キャッチからの右ストレートでダウンを奪い判定勝利。のらりくらりと戦うムエタイスタイルにジャンは対応できなかった。英雄伝説には珍しいムエタイルールの試合。


第2試合 60kg契約 3分3R
○ジュー・シュアイ(中国)
×コンパヤック・シッジョンバン(タイ)
判定3-0 (30-29/30-29/30-29)

第1試合 64kg契約 3分3R
○ヤン・ハオドン(中国)
×アレクサンドル・ヴォロンツォフ(ロシア)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)

オープニングファイト第2試合 75kg契約 3分3R
○ウェン・ジンドゥー(中国)
×ゾウ・シーイー(中国)
1R 1'00" KO

オープニングファイト第1試合 68kg契約 3分3R
○リー・チェンチェン(中国)
×ラー・ペンホン(中国)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)

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