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バンナ、引退戦は逆転勝ち「日本のファンに恩返ししたい」:8.4 フランス

Fight Night Saint-Tropez III
2015年8月4日(火/現地時間) フランス
 42歳のジェロム・レ・バンナが母国の港町で引退試合。アビディ、ボンヤスキーも見守る中、24歳のアメリカ人・ロバーソンのパンチで先にダウンするが、右ミドルでダウンを取り返し、逆転判定勝ちで有終の美を飾った。試合後は「試合をできるかは分からないけど、愛する日本のK-1ファンの前でも何らかの形で恩返ししたいと思ってるよ。K-1と日本あっての俺だからね」と語った。
  記事提供:番名比呂  写真提供:番名比呂、ヴィクター・ポトガルスキー
  (前日計量の記事はこちら)


 K-1での大活躍に加えて俳優としても活動によってバンナはキックボクシングがマイナーなフランスにおいて突出した知名度を誇る。加えて敵地オランダでレミー・ボンヤスキーと対戦しても格上が使う赤コーナーに選ばれ、ブーイングを上回る歓声を浴びるほどヨーロッパ人気の高さ。日本は言わずもがな、韓国や中国などのアジアでも高い人気を誇る。セレブが集まる夏のリゾート地として知られるサントロペだが、町内に空港は無く電車も通っていない不便な場所にある。しかし、それでも高額チケットと宿泊費を払った一般客によりチケットは完売。

 会場はサントロペ最大の名所である城砦CITADELLE DE SAINT TROPEZでの開催。山頂の趣ある城がショーアップされ、大会テーマ曲や入場曲の生演奏、さらに会場が海に面しているため美しい夜景が見られ、ゴージャス感を増幅させた。



 かつて試合の度にセコンドが代わっていたバンナだが、喧嘩別れしたトレーナーも来場し、ロサンゼルス五輪ボクシング銅メダリストで元WBA世界スーパーミドル級王者クリストフ・ティオーゾ、K-1で世代闘争を繰り広げたボンヤスキー、映画界からクロヴィス・コルニアック、ジェラール・ランヴァン、ニコラ・ジロー(ジェロ)など、格闘技界、映画界、音楽業界から多くの大物が多忙な中、都合をつけて来場し、当初の予定を遥かに上回ったため、リングサイドのVIPテーブルの椅子を急遽追加する事になった。これもバンナの戦いぶりと人間性の魅力ゆえだろう。

(なお、バンナを兄のように慕うWBC世界ヘビー級12位のジョアン・デュオーパは「藤本京太郎と対戦したい!(マネージャーが「京太郎のスパーリング相手として招聘を検討している」ことを伝えると)それも良いと思うけどまずは戦おうぜ!逃げるなよ!俺は日本が大好きだから日本で戦うぜ!」と再来日を熱望。なお、数日後に彼は9月26日に米国でWBC世界同級王者デオンテイ・ワイルダーに挑戦するオファーに合意したと報道された)



 驚いた事に2003年以来、バンナと犬猿の仲であるシリル・アビディまでもが来場した。ファイト・ナイト・サントロペは今年で3度目の開催だが、聞くと来場するのは今回が初との事。かつてバンナがKO狙いの姿勢を認めた数少ない選手であり、2002年までは練習仲間だった。未だにバンナとの溝は埋まっていないようだが、それでも仲間のセコンドに就くためでもないのに、わざわざ交通の便が悪いサントロペまでバンナのフランス最後の試合を見に来たのは敬意の現れだろう。

 大会はフランスの格闘技雑誌カラテ・ブシドー・マガジンの名物記者パスカル・イギリキの追悼セレモニーで始まった。日本のSRS-DXと提携して何度も記事を提供していたので覚えてるファンもいるだろう。マスコミ嫌いのバンナが友人と認める数少ない記者だった。

 バックステージで試合を待つバンナは、木陰の下で闇に紛れて椅子に座り、戦いの時を静かに待つ。来場した友人から激励を受け、時折笑顔を見せるものの、その表情には固さが見える。3月に骨折したばかりの左足には今も痛々しい傷跡が残る。2002年の左腕粉砕骨折が強調されるが、他にも95年に骨折した鼻、その巨体を支える膝、足など間近で見ると身体の至る所に傷痕がある。全盛期には117~122kg前後だった体重は、足への負担を減らすために筋肉を落とし計量で113kgを記録。

 一方、対戦相手の24歳のアメリカ人カール・ロバーソン。当初バンナと対戦予定だったモーリス・ジャクソンの欠場に伴い、正式な出場発表は試合前日であったが、ハングリー精神に溢れ、試合前には滑らかなパンチの連打、特に鋭いボディブローと左から返しの右フックを披露し、単なる噛ませ犬ではない事はミット打ちを一目見ただけで分かる実力者だった。ヘビー級では特に希少なサウスポーは、試合直前での相手変更でサウスポー対策が出来ていない相手に対して番狂わせを起こし易い。右利きサウスポーである事を利点としてきたバンナを逆に喰ってしまえるか。



 試合が近づき、ブリース・ギドン相手のミット打ちにも熱が入り、座って待機する間もまるで重圧を振り払うかのように、唐突に大声で叫びながら戦いの時を待つ。K-1デビュー以前から愛用するニックネーム「ジェロニモ(アパッチ戦争に身を投じたアメリカインディアンの戦士)」の衣装をメリッサ夫人から着けられ、いよいよ入場。2001年から2002年のDynamaite!まで使用していた入場曲「Back dans les bacs」の歌い手であり、その後も入場曲が流れる前にバンナを呼び込む声を担当しているフランスの人気ヒップホップグループ『NTM』のジョーイ・スターがバンナの入場曲の生歌を披露するなか、大歓声で迎えられてリングイン。

 1R、両者ともに慎重な立ち上がり。大きな差は無いが、WKNオリエンタルキックルールは選手にアグレッシブな戦いを推奨するために各ラウンドを2分とし、必ず採点に優劣を付けるため、僅かな差が優劣を分ける。K-1ルールであれば10-10となるラウンドだが、前に出て圧力をかけながら左ローをクリーンヒットさせたバンナがやや優勢と判断され10-9。

 2R、前進するバンナのガードの隙間を突いたロバーソンの左カウンターがヒット。レフェリーはスリップと裁定し、バンナに特に大きなダメージは無く、すぐに立ち上がって逆に圧力を強めて反撃していたが、ダウンをとられてもおかしくはない。組んでの膝蹴り、圧力をかけてのパンチの連打でコーナーに追い詰めるが、バックステップで避けようとしたところでロバーソンの左アッパーを浴び、追撃の連打で今度は明確なダウンを奪われる。観客からは悲鳴が起こるなか辛うじて立ち上がったバンナは、フラつきながらもファイティングポーズを構え、それを後押しする大歓声が沸き起こり、試合再開と同時にラウンド終了。10-8でロバーソン。仮にスリップをダウンとするなら10-7か 。

 3R、チャンスと見たロバーソンが攻勢に出るが、バンナもこれ以上の被弾はすまいとヘッドスリップを駆使して回避し、左のミドルとロー、左ストレートを返す。ロバーソンはボクシングがバックボーンなのか、鋭いパンチを打つ反面、ローキックのカットが全く出来ておらず、終盤にはバンナの左ローを右足に浴びて若干嫌がる素振りを見せる。明白な差を付けるには至らないが10-9でバンナ。

 4R、このラウンドもバンナが圧力をかけて前進し、ロバーソンがサークリングしながら迎撃する展開は同じ。左ローを蹴られる事を嫌ってロバーソンは時折オーソドックス構えにスイッチする。中盤にバンナが右ミドルキックを腹部にヒットさせるが、ロバーソンはローブローをアピールしながら倒れ込む。レフェリーは迷いながら一度はローブローと裁定するが、リングサイドのサブレフェリー二人はダウンと判断。スリップの裁定を覆す事は出来ないが、ロバーソンがレフェリーの試合再開の指示に応じずに休もうとしたためダウンを宣告し、カウントを数え始めた(テレビ中継ではダウンカウントを数えている最中にちょうどVTRが流れていたため視聴者に困惑を招いたようだ)。 高画質のVTR映像を見ても下から刷り上げる蹴りではなく横からの蹴りがロバーソンのベルトラインの上にヒットしているのが確認できる。10-8でバンナ。

 最終5R、両者ともに疲労で苦しくなるが基本的な展開はこれまでと変わらず、前に出るバンナ、サークリングするロバーソンで大きな差はないまま終了。結果はバンナが3-0の判定勝ちでWKNオリエンタルキックボクシング世界スーパーヘビー級王座の防衛に成功した。

 試合後、ロバーソンは「2R終了直前のダウンを奪った後、再開前にレフェリーがロープ下の広告がずれてリング内に入ってきてるのを直すように指示してるのを見た時は“バンナを回復させるための時間稼ぎがしたくてリング脇のカメラマンがワザと広告をズラしやがったな!”とムカついたけど、映像を見直してみたら広告をズラしたのはフットワークを使った俺自身だった(苦笑)。4Rのは正直言うとダウンだね。ジェロムの左の蹴りが強いのは知ってたけど、右の蹴りはローだけだと思ってたから右ミドルがくると思ってなかった。ちょうど呼吸の合間で力が抜けてる時にくらったから効いてしまった。ローブローにしてもらえそうだったけど、レフェリーはよく見てたね(苦笑)。2Rに左を当てて倒したのにダウンにならなかった事だけが不満だけど、それ以外は公平なレフェリーだったし、あれがダウンになったとしても採点では俺の負けは変わりないし、試合中にいきなり採点ルールが変更されたわけじゃないからね。スーパースターのジェロムと対戦できて光栄だった」と負けを認めた。

 一方、重圧から解放されたバンナは「今はもう大丈夫だよ。試合中は大丈夫じゃなかったけどな(苦笑)。たくさんのファンが見てくれたのに、だらしない試合をして申し訳ない。1Rから足が全然動かなかった」と悔しそうに振り返った。引退を表明した昨年、怪我の治療に専念した事で、まるで全盛期を思わせる驚異的なパワーと身体のキレを発揮しており、世界的な強豪を倒して有終の美を飾る事に手応えを感じていただけに、3月の足の骨折は体調よりもむしろ、勝利を期待する周囲からの重圧を背負うバンナの精神面を蝕んでいた。加えて、本人達が記事にされることを拒否したため、記す事は自粛するが試合直前に深刻な出来事があった。それでも闘争心を失うことなく 、懸命に戦い抜いた雄姿は、逆境においても諦めずに戦い続けるジェロニモ戦士、或いは侍そのものだろう。

 合計3試合を予定していた引退ツアーが自身の怪我で2試合に減ってしまった事と、自分をスターへと押し上げ、ドン底に落ちても応援し続けてくれた「日本のファンの前で試合することが出来なかった事が心残り」と語るバンナ。「今回フランスとヨーロッパのファンに感謝の想いを伝えることができた。試合をできるかは分からないけど、愛する日本のK-1ファンの前でも何らかの形で恩返ししたいと思ってるよ。K-1と日本あっての俺だからね」と自身の想いを語った。

(下写真はバンナの引退試合を報じた現地の新聞。次回はバンナのショートインタビューと雑感、キャリア総括の記事をお送りします。)


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