Home > REPORTS > K-1 > ハリ、イグナショフに判定勝ち。京太郎がアーツをKO

ハリ、イグナショフに判定勝ち。京太郎がアーツをKO

  • K-1
  • 更新・2010-04-05 (Mon)12:00
FieLDS K-1 WORLD GP 2010
2010年4月3日(土) 横浜アリーナ
 暴行事件の容疑をかけられ、前日来日という厳しい状況での試合となったバダ・ハリ。18歳の時に一度KO負けを喫したことのあるイグナショフが相手だったが、今の力の差をまざまざと見せつけ、かつてのブライテストホープを“過去の遺物”として一蹴した。
  レポート:井田英登(第7~5試合)、井原芳徳(その他の試合)  写真:井原芳徳

  関連記事:【Review】「さよなら武蔵、さよならイグナショフ」 井田英登


第7試合 3分3R(最大延長2R)
○バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)
×アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/バルモラル・リー・ガー)
判定3-0 (30-26/30-26/30-26)
※2R左フックでイグナショフ1ダウン

 今回久々の参戦となったイグナショフは、2000年代初期にはK-1ニューリーダーとして嘱望され、爆発的な膝でKOの山を築いた“かつての天才児”。その全盛期真っ盛りの彼は2003年6月にオランダのIt’s
Showtimeで、まだデビュー7戦目若干18歳のバダ・ハリと対戦、レバー打ちの一撃で沈めて、格の違いを見せつけている【参考映像】。無論、当時両者には二十キロ近い体重差もあり、キャリア的にもイグナショフは遙かに場数をこなしていたこともあって、現在とはあまりに条件が違ってしまっており、この試合の行方を占う材料として持ち出すには若干弱いかもしれない。

 なにしろ既に7年という年月が経過している。その間、バダは持ち前の才能と悪童キャラを開花させK-1を牽引するメインアクトに上り詰めたのに対し、イグナショフは自らの不摂生やマネージメントとのトラブルによって五年間来日が途絶え、すっかりトップコンテンダーの座から転げ落ちた“崖っぷち”状態。すっかり両者の立場は入れ替わってしまったのだ。

 今大会直前に暴行の容疑が持ち上がり、来日が危惧されたバダ・ハリだったが、リング上の立ち姿、表情からはそうしたトラブルのせいもあってか、全盛期のバンナやアーツが感じさせた、神がかった“威圧オーラ”が漂う。

 序盤から、試合はそのバダの発散する殺気が支配した。
 クラウチングガードに構え、ただステップするだけでプレッシャーを感じさせるバダに、軽くステップしながら自然に下がって行ってしまうイグナショフ。コーナーを背負わせると、途端に速射砲のようなバダの左右のフックが襲いかかる。無論7年前勢い任せに遮二無二振りまわしていた軽いパンチではない。まず空気を切り裂く音が違う。スピード面でまず当時を凌ぐものがあり、当たればそのまま首ごと持って行かれそうな、危険なバズーカ砲のようなヤバい重さを感じさせる。

 ただのこけおどしではない実質を伴った殺戮者の気配に、イグナショフは試合の主導権を明け渡す他ない。右へ左へ、そしてスウェイにウィービング。持てる“逃げ”の技術を総動員して、リングを逃げまどうばかり。

 焦れたバダは、遠い距離をキープしようとする相手に、ボディパンチや前蹴りまで繰り出して、なんとかその足を止めようとする。1R終了直前には、左フックのヒット皮切りに、ロープを背負ったイグナショフの顔面に嵐のような左右の連打が飛んだが、かろうじてゴングに救われる。2Rもほぼこれと同じような展開が続くが、コーナーに追い込まれたイグナショフがバダの渾身の右フックを避けようとしてしゃがみ込んだ直後、ガードごと相手を吹き飛ばす勢いのバダの左右のパンチがヒット。コーナーポストの叩きつけられるように崩れたイグナショフにはダウンが宣告される。

 結局このダウンで付いた差と圧倒的な手数で、判定は文句なしにバダの勝利。かつてのブライテストホープを“過去の遺物”として一蹴してしまった。

 なお、バダは試合後のコメントで、暴行容疑の一件について「容疑者として警察に呼ばれましたが、自分は無関係と分かってもらい、こうして来日できました。無実は証明されていて、何の罰を受けることもありません」と説明した。


第6試合 K-1スーパーヘビー級タイトルマッチ 3分3R(最大延長2R)
○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/王者)
×エロール・ジマーマン(キュラソー島/ゴールデン・グローリー/挑戦者)
判定3-0 (30-27/30-27/30-28)
※シュルトが4度目の防衛

 ゴールデン・グローリーの若手ナンバーワンとして、グラウベ、テイシェイラと極真の二枚看板を連覇し、敗れはしたもののバダ・ハリからもダウンを奪取するなど、破竹の勢いで頭角を現してきたジマーマン。ついには同チームのエースであり、K-1五冠王(GP4度制覇とスーパーヘビー王座)として君臨するシュルトに挑戦状を叩きつけることになった。カード決定以来両者はチームとしての合同練習も避け、緊迫状態を高めてこの一戦に備えてきたという。

 とはいうものの、やはり同門対決は難しい。手の内を知り尽くした相手でもあり、お互いに非情になりきれるかがポイントとなったこの試合だが、“下克上”を期して追う立場のジマーマンの覚悟が際だった。

 フットワークを活かしてのジャンピングパンチや、上下からの角度あるパンチの応酬で、シュルトとのリーチ差を必死に克服。序盤から何度もシュルトの顔面を捕らえる展開を作り出す。だが、王者も然る者で、前蹴りやローと、そしてもはやジャブとは言い難い“拳二つ”伸びるショートパンチでぐいぐい押し寄せてくる。

 だが、やはり全般に距離を制し、有効打を重ねていったのはシュルト。中盤以降は、前蹴りのカウンターに飛び込んでくるジマーマンの攻めパターンを読んで、ディフェンス面でも危なげがなかった。

 難攻不落の巨大戦艦と真っ向から打ち合い「やれることは全てやったので満足」と試合後語ったジマーマンだったが、終わってみればスコア的に一度もシュルトを追い込むことはなかった。


第5試合 K-1ヘビー級(100kg)タイトルマッチ 3分3R(最大延長2R)
○京太郎(チームドラゴン/王者)
×ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ/挑戦者)
2R 1'56" KO (右フック)
※京太郎が初防衛

 試合直前の3月22日に祖母が急逝した京太郎だが、リビング・レジェンドであるアーツを挑戦者に迎えての一戦に備え、結局葬儀には出席もしなかったという。一方アーツも、本来の適正体重である110キロ前後から、なんと計量時97キロまで体重を絞り込んで、ヘビー級ベルト奪取に執念を燃やした。
 だが、40歳になんなんとするベテランの過酷な減量はやはり無茶だったのかもしれない。胸筋も小さくしぼみ、頬のこけたアーツからはかつて「暴君」と呼ばれた威圧感がすっぽり抜け落ちており、いつものようなプレッシャーが掛からない。繰り出すパンチも妙に泳いだ形で踏ん張りが効いていない印象があった。

 こうなってくると、試合のペースは京太郎が易々と握ってしまう。
 これまで、念入りな対戦相手研究で練り上げた作戦を授け、京太郎を勝利に導いてきた前田憲作会長だったが、今回はそうした指示を一切出さず、ただ試合直前に「今日は下がるな」とだけ命じたという。その積極策が功を奏したのか、いつも通りのネズミ花火のようなめまぐるしいバックステップも使うものの、アーツの攻撃を縫うように積極的にパンチとローを繰り出す京太郎。1R終盤には、その左右の回転の速い連打が見事にアーツの顔面を捕らえ、コーナーに崩れ落ちるようなフラッシュダウンを奪取する。
 ファイティングポーズこそとったものの、まだ目つきが定まらないアーツ。攻めどころと見た京太郎がさらにラッシュを仕掛け、再び左右のマシンガンパンチを見舞う。これを顔面に浴びたアーツはたまらずマットに突っ伏す。あわや、二つめのダウンかと見られたが、ほぼ同時であったゴングに救われた形に。

 ラウンドがあけて、追う立場のアーツは気負って前に出てくるが、焦りが逆に空回りとなるのか、繰り出すパンチに正確性がなく空を切る。逆に精神的に圧倒的に優位となった京太郎は、もはや下がらない。パンチの距離を作りに数歩下がることはあっても、すぐ短いパンチを連打で重ねて、ぐいぐいアーツを押し返す展開となる。お互いに前に出るためクリンチが増え、それを嫌って今度は単発のロー距離を開けあうことになる。この不用意な距離が、最後はアーツの命取りになった。
 遠い間合いになった所で、大きく前に踏み込んで右ストレートを繰り出そうとしたアーツに対し、京太郎は捨ての左ジャブで牽制しておいて、右の短いストレートをカウンターで繰り出したのだ。コンマ数秒の差で“後の先”を制した京太郎のパンチが、アーツの前傾してきたアゴを打ち抜いたのである。

 ドンと前のめりに倒れるアーツ。レフェリーのカウントを待たずゴングが乱打される。文句なしのKO。大の字になって歓喜した京太郎は、そのままリングを駆け下り客席の母親から祖母・妃沙子さんの遺影を受けとって胸に抱いた。死に立ち会うことの出来なかった祖母への孝行を、王座防衛という形で果たしたのだ。
 奇しくもこの日は、この試合の前に、長年日本人エースとしてK-1を支えてきた武蔵が引退セレモニーを行ったばかり。彼が身体を張って守ってきた松明の火は、ようやく次のランナーを得たのかもしれない。




第4試合 3分3R(最大延長2R)
○アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)
×ジャバット・ポトラック(ボスニア・ヘルツェゴビナ/ジャムラックジム/チーム・ポトラック)
1R 2'40" KO (右膝蹴り)

 いまやシュルト、ハリと並ぶK-1 3強ともいえる地位になったアリスター。今回もその破壊力をいかんなく発揮し、離れ際に軽く当てたような右フックでポトラックがダウン。最後は左フックで後退させると、突き上げるような右膝蹴りをポトラックの顔面に叩き込みKOした。


第3試合 3分3R(最大延長2R)
○ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナ・エクストリーム・チーム)
×タイロン・スポーン(スリナム/ブラックレーベル・ファイティング)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
※1R右ストレートでスポーンに1ダウン



 6年前にシュートボクシングに参戦した時はスーパーウェルター級(約70kg)の選手だったスポーン。バンナとの体格差は歴然としていたが、試合前の睨み合いから一切目を逸らさず、バンナのパンチラッシュも落ち着いてブロック。蹴りのカウンターで右ストレートをもらい、1Rにダウンを喫したものの、2R以降は右のミドルや膝蹴りの手数で上回り、3Rには1ポイントを奪い返す健闘ぶり。しかも試合後のコメントでは、「2発めのパンチで右拳を怪我して握ることが出来なかった」厳しい状態だったという。敗れたものの、観客にしっかりと印象を残した。勝ったバンナも、デビュー当時に練習したことのあるチャクリキジムに戻り「様々な部分でプラスになった。新しい自分を出せた」と満足げ。悲願のGP制覇に向け、まずまずのスタートを切った。


第2試合 3分3R(最大延長2R)
○グーカン・サキ(トルコ/チーム・レベル)
×シング“心”ジャディブ(インド/パワーオブドリーム)
判定3-0 (30-27/30-28/30-28)

 体格で劣るサキだが、無駄の無い動きでパンチを振り回し、バックスピンキックなどといったトリッキーな技も絡めて1Rから主導権。随所で左フックを的確に当て続け、シングにほとんど攻めさせないまま完勝した。


第1試合 3分3R(最大延長2R)
○セルゲイ・ラシェンコ(ウクライナ/キャプテン)
×佐藤 匠(極真会館)
判定3-0 (30-28/30-29/30-29)


オープニングファイト第2試合 3分3R
×野田 貢(シルバーアックス)
○プリンス・アリ(イラン/イラン大誠塾)
判定0-3 (27-30/27-29/27-29)
※2Rパンチ連打で野田に1ダウン


オープニングファイト第1試合 3分3R
○高萩ツトム(チームドラゴン)
×上原 誠(士魂村上塾)
判定2-0 (30-29/29-29/30-29)

Home > REPORTS > K-1 > ハリ、イグナショフに判定勝ち。京太郎がアーツをKO

 - PR - Martial World presents Gym Village
Gym Village でジムを探そう!
Gym Village おすすめジム

センチャイムエタイジム
JR中央線・東京メトロ東西線「中野」徒歩9分
ラジャダムナン&ルンピニーの元ランカーが本物のムエタイを個人指導。親子でムエタイを学べるコースも土曜昼オープン!

さらに詳しく

おすすめジム欄へのジム広告掲載について