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ロシア、圧巻の全階級制覇:第3回空道世界選手権

北斗旗第3回空道世界選手権大会
2009年11月14日(土)〜15日(日) 東京・国立代々木競技場第二体育館
  レポート:高田敏洋  写真:井原芳徳


閉会式後、ロシアの入賞者らが記念撮影
 決して事前に予想し得なかった結末ではない。だがそれにしても、これほどとは。

 男女含めて7階級の決勝に進出した14名の選手中、実に10名がロシア選手。特に270+, -270, -260という重量級3クラスは全てロシア選手同士による決勝対決となった。
 これに対して決勝進出を果たした日本選手は東北支部所属のアレクセイ・コノネンコを含めても3名。しかも彼らのロシア選手との決勝戦は、率直に言って接戦とは言いがたい内容での敗北だった。日本対ロシアの対戦は本大会において合計21試合あったが、その戦績は何と3勝18敗である。
 総じて、試合の駆け引きや技術力を比較する以前に、基本的な力の差で圧倒されてしまった印象を受ける試合が殆どだった。前回4年前の第二回世界大会では古式武術にヒントを得た藤松泰通や、カポエイラ等多彩な技術体系を取り入れた岩木秀之など、人種的な基礎体力の劣勢を技術でカバーして勝敗を制してきた。だがこうした個々の選手の技術体系の多角化に伴い、愚直に打ち合ういわば「不器用」なスタイルが拡散していくことに違和感も評していた東孝塾長の懸念は、まさに今大会で現実のものになった。
 前大会ではまだ若干開きのあった技術力の部分でも、日本と同等あるいはそれ以上に進化を遂げていたロシア勢に対し、それに拮抗できるだけの新たな何かを見出すことが出来ないまま、その暴風に晒された日本勢。最早、空道の主軸は母国日本に在らず、北の大国にその座を移した。そう書かざるを得ないほどのロシアの圧勝劇だった。


-230級


準決勝
○ 中村知大(日本・早稲田)ー 高橋 腕(日本・新潟)×
本戦判定5-0

× 平安孝行(日本・中四国)ー コリャン・エドガー(ロシア)○
本戦一本(上段後回し蹴り)

決勝
× 中村知大(日本・早稲田)ー コリャン・エドガー(ロシア)○
本戦引き分け
延長判定0-5(コリャンに効果1)

コリャンの蹴り
 ロシア旋風の猛威の中、辛うじて日本選手団の希望の灯になったのが、リザーバーから出発して遂に決勝まで歩みを進めた新鋭・中村の存在だった。ここまでの対戦カードを眺めても、ヴィノクロフ(ロシア、09年ロシアカップ優勝者)、宮地 孟、高橋 腕と、いずれも錚々たる猛者に勝利しての決勝進出である。
 しかしその中村の勢いをもっても、準決勝で日本選手最右翼に目されていた平安孝行を上段後回し蹴りの一撃で昏倒させ、全試合一本勝ちで勝ち上がってきたコリャン・エドガーの世界大会連覇を阻止することは出来なかった。
 ロシア選手を語るとき往々にして日本人との骨格、筋力などの体質的な差が指摘されるが、この試合でも両者の基本的な体力差は無視できないものがあった。二人の身体指数はほぼ同数だが、169cmの中村は身長でコリャンを10cm上回り、その分体重は軽い。全身のウエイトを一つ一つの攻撃に乗せてくるパワフルなコリャンの打撃を、紙一重でかわし続ける中村の技術力の高さには目を見張ったが、本戦延長と試合が長丁場になるにつれ、基礎体力の差がスタミナに影響してくるのは避けようがなかった。
 延長後半に入ってグラウンドで効果1を奪われると、それが決勝点となって判定は5-0。北斗旗ルールには、本戦延長通じて効果ポイント1の僅差であれば再延長もありうる、と規定されている。にも関わらずいずれの審判もコリャンに旗を上げていることが、結果的に両者の差がポイント以上に明確だったことを示していた。
 コリャンは優勝に加え、最優秀勝利者賞、サブミッション技能賞と各賞を総なめ。ロシア勢の大躍進を象徴する選手となった。


-240級


準決勝
× 我妻 猛(日本・角田)ー 田中俊輔(日本・吉祥寺)○
本戦引き分け
延長判定0-5(田中に効果1)

× 堀越亮祐(日本・総本部)ー アブドゥルケリモフ・シャミル(ロシア)○
本戦判定0-5(アフドゥルケリモフに効果1)

決勝
× 田中俊輔(日本・吉祥寺)ー アブドゥルケリモフ・シャミル(ロシア)○
本戦引き分け
延長一本(上段突き)

アブドゥルケリモフのパンチ
 現在のロシアと日本の実情を象徴するような一戦だった。
 -230級の中村対コリャン戦でも感じた体力差はこの試合でも明白だった。選手表に記載されている身長体重には殆ど差がないのに、実際に対戦している両者を見比べるとアブドゥルケリモフの体格の方がどうしても充実しているように見えるのだ。その体力にものを言わせて、体ごと突進しながら切れのある突き蹴りを連打してくる典型的なロシアン・スタイルの組手。これに対し田中は捌きながらカウンターのチャンスを狙う。
 体軸を大きく回転させる連打を続ければ体力の消耗も大きいはずだが、延長に入ってもロシア選手は全くスタミナ切れしない。その動きからは日々の充実した鍛錬が想像出来る。また前回第二回世界大会ではレスリング等他競技の素養をベースにスタイルを組み立てていると思われる選手もいたが、今大会では打撃の精度や技術が格段に向上し、寝技でのポイント獲得に頼らずとも試合を制することが出来る、総合的な「空道スタイル」をどの選手もきっちりと身に付けていた。その典型といえるのがアブドゥルケリモフだった。

敗北後しばらく立ち上がれなかった田中
 試合中の表情を見る限り、田中も自信を持って相手の打撃を捌いていたはずだ。だが非常に酷な言い方になるが、田中に、あるいは日本選手団全体に誤算があったとすれば、彼らの想像以上にロシア選手団は総合的にレベル・アップが図られていたということではないだろうか。拮抗したせめぎ合いの中で相手のほころびを突こうとしていた田中だったが、実はその「拮抗」自体が幻であったのかもしれない。結局相手の攻撃に対して反撃の端緒を見つけ出すことが出来ないまま、軽量級とは思えないアブドゥルケリモフのパンチを遂に頭部に被弾してしまう。そして一本の旗が上がる前に再び立ち上がることは出来なかった。


-250級


準決勝
× ケレカサエフ・ラスラン(ロシア)ー アレクセイ・コノネンコ(日本・東北)○
本戦判定0-5(コノネンコに効果2)

× ストレチェンコ・オレクサンダー(ウクライナ)ー ケリモフ・シャンハル(ロシア)○
本戦判定0-5

決勝
× アレクセイ・コノネンコ(日本・東北)ー ケリモフ・シャンハル(ロシア)○
本戦引き分け
延長判定0-5(双方に効果1)

-260級


準決勝
○ カリトノフ・アレクセイ(ロシア)ー 佐々木嗣治(日本・帯広)×
本戦判定5-0(カリトノフに有効1+効果1)

× サモヒン・マキシム(ウクライナ)ー カリエフ・アダン(ロシア)○
本戦引き分け
延長判定0-5

決勝
× カリトノフ・アレクセイ(ロシア)ー カリエフ・アダン(ロシア)○
本戦引き分け
延長判定0-5

-270級


準決勝
× 伊藤征章(日本・ニューヨーク支部)ー パノフ・ユーリ(ロシア)○
本戦一本(上段突き)

× トマス・スヴィアザス(リトアニア)ー ビノグラドフ・アレクサンダー(ロシア)○
不戦勝

決勝
○ パノフ・ユーリ(ロシア)ー ビノグラドフ・アレクサンダー(ロシア)×
本戦引き分け
延長判定5-0(パノフに効果2)

270+級


準決勝
× カプジー・ダニロ(イタリア)ー ビンゲルト・ニコライ(ロシア)○
本戦一本(中段膝蹴り)

○ ラーサノフ・イブラギン(ロシア)ー 三木善靖(日本・早稲田)×
本戦判定5-0(ラーサノフに効果1)

決勝
× ビンゲルト・ニコライ(ロシア)ー ラーサノフ・イブラギン(ロシア)○
本戦引き分け
延長判定0-5(ビンゲルトに効果1、ラーサノフに効果2)

女子


準決勝
○ イワノワ・ダリナ(ウクライナ)ー インガ・ケイルダイテ(リトアニア)×

○ ラジィオノワ・ルドゥミラ(ロシア)ー 前原映子(日本・北本)×
本戦判定5-0

決勝
× イワノワ・ダリナ(ウクライナ)ー ○ ラジィオノワ・ルドゥミラ(ロシア)
本戦引き分け
延長判定0-5

各賞受賞者


最優秀勝利者賞 コリャン・エドガー(-230級優勝)
サブミッション技能賞 コリャン・エドガー(-230級優勝)

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