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吉田、引退戦は判定負け。ASTRA継続の鍵は小見川?

DHC presents 吉田秀彦引退興行 ~ASTRA~
2010年4月25日(日) 日本武道館
 吉田のプロ8年の最後は、弟分の中村和裕との戦い。惜しくも敗れたが「腹いっぱい総合格闘技をやりました。この思いを忘れず、柔道界に戻ります」と晴れやかに去った。主催の國保尊弘氏は「ASTRAの継続は考えていません」と談話。事実上の吉田道場のエースとなりつつある小見川は、WECへのリベンジに興味を示した。
  レポート&写真:井原芳徳


第8試合 メインイベント 無差別級 5分3R
×吉田秀彦(吉田道場/113kg)
○中村和裕(吉田道場/95.7kg)
判定0-3 (平28-30/礒野28-30/松本28-30)

 吉田秀彦の総合格闘技8年の集大成となる一戦は、ゲストも豪華に。国会斉唱はASKAさん、リングアナはつんく♂さん、花束贈呈はネプチューンの名倉潤さん、大会主催のJ-ROCKとマネジメント契約を結んでいる藤川優里・八戸市議が務める。リングサイドでは、吉田の引退試合の相手に計画されていたエメリヤーエンコ・ヒョードルが見守り、FEGの谷川貞治代表、DREAMの笹原圭一イベントプロデューサーら、過去に吉田と仕事した関係者の姿も見える。12,093人(主催者発表)の観衆の見守る中、最後の試合のゴングが鳴る。

 試合は同門対決ということもあり、互いに慎重な出だし。左ジャブで様子をうかがい、時折右フックを振るうが、フェイントの動作を知り尽くしているせいもあって、空振りが続く。

 2Rに入ると、吉田も積極的に攻撃を出すように。アゴを突き出して中村を挑発し、中村も自分の頬を叩くと、足を止めて打ち合いを繰り広げ、場内は歓声に包まれる。終盤になると吉田の足元がふらつくように。中村は軽々とテイクダウンに成功すると、パウンドと頭部への膝蹴りを狙うが、やや躊躇している感じだ。

 2Rが終わると、吉田は「熱くてやりにくかった」ことから柔道衣の上着を脱ぐ。セコンドの高阪剛氏らとハイタッチして最後のラウンドへ向かう。しかし余力は既になかった。中村に3度テイクダウンを許し、マウントを奪われ、腕十字を狙われる展開が繰り替えされる。吉田は必死で両腕のクラッチを維持し、中村もそれを切ろうとするが、最後まで切れず。悲鳴と歓声に包まれたまま試合が終わると、吉田はマットに大の字に。両者がレフェリーを挟んで並ぶと、場内は大きな拍手に包まれ、中村の勝利が宣告された。

 試合後の引退セレモニーでは、桜庭和志、藤田和之、ミノワマンらが吉田を祝福。両親から花束をもらうと涙を流した。10カウントゴングを聞き、花道を退場し入場ゲートに立った吉田は、純白の柔道衣に着替え、最後の挨拶。「この8年間、総合格闘技をやって悔いはありません。腹いっぱい総合格闘技をやりました。そしていい仲間に会うことができました。この思いを忘れず、柔道界に戻ります。また柔道に精進したい。最後に、総合転向してからずっと支えてくれた國保尊弘(J-ROCK代表)にこの場でお礼を言いたい。國保尊弘、最高!。ありがとうございました。気をつけ、礼!」と話し、吉田道場のちびっ子たちと一緒に姿を消した。

 バックステージでのインタビューで吉田は「向こうは遠慮している部分があったと思うけど、パンチが痛かった。全身アザだらけです」と最後の激闘を振り返り、今後の柔道界での活動については「僕が格闘技に入った時は柔道界に戻れなかった。今は(プロを辞めれば)1年で戻れるようになったけど、そういう(プロとアマの)壁を取り除きたい。プロのリングは職業で、職業選択の自由はある」と話した。

 また、リング上での挨拶で吉田は「総合格闘技ASTRAをカズに続けてもらえばいい。ASTRA、中村和裕への応援をよろしくお願いします」と話したが、國保氏は「ASTRAの継続は考えていません」「どんな舞台であれ、頑張っている選手が出場できる状態が保てるなら、そこに協力したい」と説明。「今大会は吉田が8年間お世話になった人と引退試合を行いたいというコンセプトがありました。一時は戦極とDREAMという別々の大会をやっていましたが、関係が悪かったのではないですし、今回もFEGの方々にもお世話になり、修斗さん、ZSTさん、DEEPさん、慧舟會さんと多くのプロモーションに協力していただきました」と話し、他団体との友好関係をアピールした。

 一方、来場したヒョードルとの今後の交渉可能性について尋ねられると、國保氏は「ASTRAが継続したり、別の興行を用意している状態なら、今すぐでも交渉したいですけど、全く白紙状態です」と、今後の継続に若干の含みを持たせていた。

 しかし吉田道場の主力の一人である小見川は、今回の試合後「国内外問わず世界の一番強いリングに上がりたい。アメリカのWECでジョセ・アルドとユライア・フェイバーが戦いましたよね。あの辺とも闘わないといけない。とりあえず世界で強いやつを叩きたい」と語り、気持ちはWECに向いている様子。中村は「吉田さんのような引っ張り方はできないと思うけど、自分のできる範囲で引っ張りたい」と話したが、瀧本誠も引退し、小見川が海外となると、中村には荷が重すぎる状態になってしまう。國保氏は小見川の今後の戦場について「これから選手と相談して決めたい」と話し、FEGの谷川氏は今大会後のTwitterで「出てほしいです」とDREAM参戦のラブコールを送っている。

 今大会は有名人の吉田の引退興行というプレミア性があったものの、DHC、HIS、パーク24といった大手スポンサーがつき、戦極の2年間と芸能分野で培った興行ノウハウが活かされ、J-ROCKが『箱』をいつでも用意できる状態にあることを示した。ASTRA継続の可否は、実力も評価も急上昇し、事実上の吉田道場のエースとなりつつある小見川の動向次第となりそうだ。

 なお、この日の大会の休憩明けには、ヒョードルがリング上でファンに挨拶。「吉田選手が引退すると聞き、ぜひ応援に駆けつけないとと思いやって来ました」「日本が大好きなので、今度はぜひ試合をしに日本へ来たいです」と話し、ファンの喝采を浴びた。ヒョードル来日の経緯について國保氏は「今だから言えますが、最後まで吉田の相手に交渉したのはヒョードルでした。新聞にスクープが出たときはどこで情報が漏れたのかと驚きました。一番の問題はヒョードル選手の拳の怪我でした。グラップリングの試合案もありましたが、最後は総合の試合にしたいという吉田の意向もあり断念しました。しかし吉田の最後の試合ならぜひ来たいとヒョードル選手は来日してくれました」と説明した。


第7試合 セミファイナル フェザー級 5分3R
○小見川道大(吉田道場)
×ミカ・ミラー(米国/アメリカン・トップチーム)
判定3-0 (平30-28/礒野30-29/松本30-29)

 身長168cmの小見川に対し、ミラーは183cm。15cmもの差に小見川は「思っていたよりも距離感がつかめなかった」といい、打撃よりもグラウンド勝負主体に。1R、ミラーがグラウンドに引き込むと、小見川は上からギロチンを仕掛けるが、ミラーも落ち着いて体を反転させて対処。執拗なラバーガードと、スタンドに戻ってからは鋭い膝蹴りで、小見川を苦しめる

 2R、序盤のスタンド戦ではミラーの右ジャブが的確にヒット。グラウンドの攻防に移ると、ミラーのオモプラッタにつかまりかけた小見川だが、振りほどいてハーフガードで固めるとパスガードに成功。肩パンチでプレッシャーをかけ、ミラーが立ち上がった後も背後からしがみつき、主導権を譲らない。

 3Rも上になるのは小見川。ミラーの三角絞めにつかまりかけるが、ミラーを前方に畳んで脱出すると、一気にバックを狙いに行く。しかしミラーはバックを取らせず、反転して上に。腰を浮かせてパウンドや踏みつけで小見川を脅かす。スタンドに戻るとミラーは膝蹴り、小見川は右フックで激しい攻防。最後は小見川が組み付いてテイクダウンに成功。その先の攻めは乏しかったが、印象を良くする。

 小見川に大きなチャンスはなかったものの、逆にミラーのチャンスのきっかけを一個一個丁寧につぶし、自身の攻勢のタイムを長くすることできっちりポイントを稼ぎ、判定勝利を奪った。当人は「今日は勝ちましたけど、小見川道大、くそったれ!」と、マイクアピールで試合内容を反省したが、総合格闘技の戦い方が骨の髄まで染み込んでいるからこそ、奪い取れた勝利といえよう。続けて小見川は「吉田先輩からはずっと『どんな泥臭くてもいいから勝て』と言われ続けました」とも発言した。吉田のイズムは、しっかりと後輩に受け継がれていることを感じさせられた一戦だった。


第6試合 95kg契約 5分3R
○エンセン井上(米国/PUREBRED)
×アンス・“ノトリアス”・ナンセン(ニュージーランド/ETK)
1R 2'10" 腕ひしぎ十字固め

 1度めの脇の差し合いで寝技に持ち込めなかったエンセンだが、バックブローの奇襲でナンセンをぐらつかせると、今度はテイクダウンに成功。軽々とサイド、マウントとポジションを移行させると、きっちりと腕十字でタップを奪い、6年ぶりの総合の試合を白星で飾った。今後の試合については「オファーがあれば考える」と話している。


第5試合 ウェルター級 5分3R
×長南 亮(TEAM M.A.D.)
○チャ・ジョンファン(韓国/CMA KOREA/冠岳BJJ)
2R 1'26" TKO (レフェリーストップ:右スーパーマンパンチ→グラウンドパンチ)

 1Rはスタンド主体の攻防。長南の突き出した手がジョンファンの目に入り、一時中断するアクシデントはあったが、再開後のジョンファンはダメージを感じさせず、リーチの差を活かして長南の前進を防ぐ。2R開始すぐ、長南がジャンプして右のスーパーマンパンチで奇襲を仕掛けるが、ジョンファンは軽く防御。逆にジョンファンが右のスーパーマンパンチをクリーンヒットさせて長南をダウンさせると、パウンドの連打で失神KO。試合前の談話、「私が鮫になり、リングにピラニアを埋める」を見事に有言実行してみせた。


第4試合 ライト級 5分3R
×小谷直之(ロデオスタイル)
○ホルヘ・マスヴィダル(キューバ/米国/アメリカン・トップチーム)
判定1-2 (平29-30/礒野30-29/松本30-30○)

 1R、小谷がタックルで2度上になるが、パスガードに成功しそうになると脱出を許し、終盤にパウンドを浴びてしまう。2Rは互いに上になるが、決め手に乏しい状態。3Rは序盤からマスヴィダルが右のフックで小谷をぐらつかせると、中盤以降は上からパウンドを当てるなど主導権をキープ。互いに大きなチャンスの乏しい内容となってしまったものの、3Rに主導権を握ったマスヴィダルに軍配が上がった。


第3試合 ライト級 5分3R
○中村大介(U-FILE CAMP.com)
×天突頑丈(PUREBRED大宮)
判定3-0 (礒野30-28/松本30-26/平30-25)

 1R、中村がグラウンドに持ち込むと、アームロックを主体とした攻めで主導権。2Rは左ジャブを何発も当て、終盤にはパウンドのラッシュと腕十字でチャンスを作る。3Rは天突のパンチをもらって下がってしまう場面が多かったものの、左ジャブを随所で返して手数では五分にし、失点を許さず判定勝ちをおさめた。


第2試合 ウェルター級 5分3R
○白井祐矢(チームM.A.D./DEEPウェルター級王者)
×チェ・ミルス(英国/M-1グローバル/チーム・トロージャン)
1R 3'59" 腕ひしぎ十字固め

 チェのオモプラッタやオンブからのチョーク狙いに防戦となる場面もあった白井だったが、中盤に上になりパスガードに成功すると、素早く腕十字を極めタップアウト。付け人をしていた吉田の引退に花を添えた。


第1試合 フェザー級 5分3R
×長倉立尚(吉田道場)
○毛利昭彦(毛利道場)
1R 1'04" TKO (レフェリーストップ:左フック→グラウンドパンチ)


オープニングファイト



第3試合 ヘビー級 5分2R
×誠悟(フリー)
○バル・ハーン(モンゴル/チーム新日本)※星龍 改め
判定0-3 (17-20/19-20/18-20)

第2試合 ミドル級 5分2R
×長井憲治(U-FILE CAMP.com)
○坂下裕介(チーム・クラウド)
1R 2'04" TKO

第1試合 62㎏契約 5分2R
×小森亮介(吉田道場)
○村田卓実(和術慧舟會A-3)
判定0-3 (18-20/18-20/18-20)


※ASTRAルールは5分3R制、インターバル90秒。一般的な総合格闘技のルールで、グラウンド状態の相手の頭部へのサッカーボールキックは禁止だが、膝蹴りと踏みつけは有効。判定は各ラウンドごとに最大10点でポイントをつけ、合計が同じ場合は必ずどちらかに優劣をつける。

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